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【終章完結】神谷神奈と不思議な世界  作者: 彼方
二章 神谷神奈と侵略者
33/608

19.3 成長――大きすぎても色々不便――

2023/11/03 文章一部修正









 穴であると神奈達が勘違いしていたのは何かの生物の目だった。

 それを認識したとき、足元が、巨大蟻の巣全体が揺れ始める。地上でも強い揺れが発生していてリンナ達も態勢を崩す。今は丘にいない笑里や才華でもその揺れは感じ取れる。


「全員一か所に集まれ!」


 何かが動く。巨大な生命体が揺れ、地上へと顔を出す。

 直後――巨大蟻の巣がいきなり崩壊した。

 下から持ち上げられるような形で、硬い土が勢いよく地上へと舞い上がる。当然その土の中に神奈達もいた。


 暗い巣の中からいきなり外に出された神奈達は目を見開く。

 目に入ってくる景色は色々だ。青い空、白い雲、緑の丘だった場所、遠い場所にある町、そして――雲に届くほどの巨大な蟻。


「でかすぎだろおおおおおお!」


「あれはおそらく女王蟻です! 成長してあそこまでに……」


「いくらなんでもあれはでかすぎだろ! 成長に限界とか作ってくれよ!」


 腕輪に叫びながら神奈は丘だったものに着地する。

 もはや綺麗な景色は溢れかえった土に汚れ、丘は蟻の重量に潰されている。大きすぎる蟻の体重はその見た目のまま重い。真下のあった土が掘り返されたこともあり丘は完全に消失していた。


「……ってリンナ達はどこだ。まさか潰されちゃったんじゃ……!」


「みんなああああ!」


 まだ動いていない巨大蟻の足元を、リンナが両手で妹二人の手を引っ張りながら走っている。巨大蟻が地上に現れた時、運よく潰されずに済んでいたのだ。丘の崩壊には巻き込まれたものの目立った怪我はしていない。


「リンナ、それに子供二人!」


「こ、この生物はいったいなんなんですかあ!」

「わあー蟻さんだあー!」

「すごーい蟻さんだあー!」


「呑気でいいな! そうだよ蟻だよ、大きすぎるけどなあ!」


 神奈が叫んだとき、さらに地面が揺れた。巨大蟻が動き出したのだ。

 ただ歩いただけで災害になる蟻など誰がどう考えてもおかしい。神奈は目の前の事態に頭を抱えつつ、ゆっくり歩く巨大蟻の進行方向を見てハッと気付く。


「……っあの方角!」

「町の方角ですね」


 今はゆっくりだが、巨体が本格的に動き出せば宝生町までの距離などすぐになくなる。町に行かれればとんでもないことになるのは神奈達全員が分かることだ。町どころか人間も滅ぶ。ここで止めなければ全人類が滅ぶことになるだろう。


 神奈は慌てて跳び、巨大蟻の側面に拳を叩き込む。

 すると少し横に地面を滑っていった巨大蟻だが、その滑った大地が抉れ、近くにあった木々も薙ぎ倒される。外殻のような体が一部爆散して蟻が痛みに悶える。丘だった場所がどんどん抉れていくうえ、全世界を絶え間なく地震が襲う。


「被害広がっちゃったよ! 存在するだけで迷惑すぎる蟻だなおい!」


「神奈さん。あの蟻を倒すにしても、殴って倒そうとすると吹き飛んで被害が広がってしまいます。それに時間もかかるでしょう。反撃でもされようものなら衝撃で町が危ないですよ」


「分かってるよ! でもそれ以外に方法がないだろうが!」


「一ついい案があります」


 腕輪からの案。神奈は悪い予感しかしない。


「その案は?」


「神奈さんが巨大蟻の体の中に入って内側から魔力弾で貫くんです!」


「普通に嫌だよ!? なんだ体の中に入るって頭おかしいんじゃないの!? 虫の中に入るとか生理的に無理なんですけど!」


「しかし……事態は一刻を争います。あの硬さと大きさでは殴っても、息絶えるまで数分かかるでしょう」


 神奈が放った一撃。かなり力が入ったものだったにもかかわらず、一部が爆散しただけで巨大蟻は元気なままだ。たとえ全力で殴ったとしても、巨大な体積のせいでダメージが激減されてしまう。体が巨大すぎて衝撃が伝わりきらないのだ。全身に行き渡る前に殴った箇所だけでインパクトのエネルギーが爆発する。


 被害を最小限にするための方法は腕輪の案しかない。

 内側から攻撃すれば外からよりも効くだろうし、重要な器官も攻撃できる。悶えて暴れ回るのはほぼ確実だろうが、素早く倒すという面では内部に侵入した方がいい。


 強制的なスカイダイビング状態だった神奈達は無事に着地する。走ってきたリンナ達もやってきて全員が合流した。


「分かったよ、私があの中に入る」


 嫌がっている場合ではない。神奈は決心して、腕輪に自分が行くと告げる。

 話を聞いていたレイは慌てた口調で叫ぶ。


「それは無理だ! あの大きさの生物なら確かに中には入れるだろうけど、消化液がある! 体内に入れば溶けてしまう!」


 レイは神奈のことを友達として心配している。

 神奈はそんなレイに笑いながら答える。


「大丈夫大丈夫、こんな無茶は慣れてるし。……そうだ悪いけど、被害を大きくしないために、巨大蟻を食い止めてくれないかな。ただここら辺に留めるだけでいいから」


「……やってみる。でも……絶対に戻ってきてね」


「分かってる、帰ったらジュースでも飲もうよ」


 覚悟を決めて二人は互いの拳を軽く合わせた。

 作戦開始として、神奈は巨大蟻に向かって跳ぶ。

 勢いよくその口元に跳んだ神奈だが、巨大蟻の口は閉じている。このままでは入れないので、至近距離にて、閉じていた口に魔力光線を放ち風穴を開けた。


 こじ開けられたことで巨大蟻は痛みで暴れ出すが神奈は口内に侵入した。

 口内を駆け、食道であろう広い道を駆ける。もちろん走っている間に攻撃として魔力弾を撃ちまくる。


 殴って攻撃しても消化液でぬるぬるして滑ってしまい意味がない。

 消化液で溶かされないのは神の加護のおかげだ。たとえ生物の中だとしても、それを環境などの害と判断して防いでくれている。


 突然、広い食道が狭まり、神奈からは「むぎゅっ!」という潰れた声が漏れた。

 普通の人間ならミンチになるが神奈には通じない。

 ただちょっと息がしづらくなるだけだ。


「神奈さんが侵入したのに気付いたからでしょう。体内の異物を出そうとしていますね」


「はあほう、なら! とっへほきのぎぶふをくへへひゃふ!」


 圧迫されているせいで声がうまく出せない。

 とっておきの異物をくれてやる……その言葉通りに、神奈は魔力弾を大量にばら撒いてみせた。爆発するものも、そのまま抉って進み続けるものもある。喉辺りを焼くような痛みが巨大蟻を襲う。


 一方。痛みが原因で巨大蟻が暴れることで、外にいるレイ達の負担が増す。

 アルファ達も作戦を知らされて一生懸命に動いている。しかし危険すぎるので、リンナは幼い妹二人を守るために全力を注いでいた。

 レイ達の頑張りあって町にはあまり進んでいない。だが丘はもはや更地になっており、見晴らしのいい景色など消失している。


 外の頑張りは見えていない神奈だが信じて疑わない。

 レイ達が食い止めているのだから町に被害が出ることもない。

 大切な人達が踏み潰されて死ぬわけもない。

 ここで一度でも疑えば心と体が重くなり、精神に傷を負う。

 何より危険なのを分かっていて引き受けてくれたレイに申し訳ない。


 無視できない痛みにより、巨大蟻の意識が逸れて圧迫がなくなる。

 途端に広がりきった食道。下り坂になっているその場所を再び駆け出す。


「うおっ! よし、どこから撃てばいい!」


「そうですね、中心辺りが好ましいですが憶測では分かりません。とりあえ――神奈さん前です!」


「え? ま、ええええ!?」


 走り続けていた神奈だが、目の前の光景に叫び声を上げる。

 その場所はもう坂も緩やかになり、今までと比べて一層広い。

 神奈は食物などを消化する胃にまで来ていた。

 そしてそこには巨大蟻が数百匹以上動き回っていた。


「嘘だろおい、なんで巨大蟻の中に巨大蟻がいるんだよ!」


「この巨大蟻達は栄養分として食べられてしまったようですね。消化されてないのは同じ種族だからか、耐性か何かを持っているのではないかと推測されます」


「同じ仲間なんじゃないのかよ……!」


「雑食すぎて仲間すら喰らう者、稀に生まれる希少種でしょう。そして神奈さん、この蟻達は獲物を捉えたようです」


 黒く大きな河が流れていく。黒くても海にある渦巻のようだった。

 いくら虫に多少の耐性があるとしてもこの光景は精神を汚す。

 黒き者達の動きが停止し、暗い瞳が小さな獲物を映している。


「獲物ってまさか……」


「はい、神奈さんのことですね」


「ふざけんなああああ!」


 神奈に向かって、一斉に巨大蟻の大群が押し寄せる。

 魔力弾を生成し、撃ちまくることで対処しても、巨大蟻は次から次へとやってきて死体を踏み越えていく。中には死んだのなら仲間ではないという思考の元、死体に口をつける個体も存在した。


 漆黒の大河が迫る現況に「あああああ!」と神奈は悲鳴をあげるしかない。

 蟻なのに、似ても似つかないはずなのに、まるで一番苦手なゴキブリのようだと認識してしまった。一度認識したならそう簡単に覆りはしない。


「神奈さん、こうなればここから撃ちましょう。特大の、全力の、魔力光線を!」


「こっからでいいのか!? あの巨大蟻は殺せるのかよ!?」


「大丈夫です! ……たぶん」


「おい聞こえたからな」


 自信がないので保険をかける腕輪に神奈は呆れた声を出す。

 やるしかないなら神奈はやる。多少の不安はあっても、外にいるレイ達の安全のためにも全力を尽くさなければならない。怖がるのも、嫌がるのも、行動を邪魔してくる感情を押し殺して対処する。


 神奈は両手を突き出し、全力で魔力を集中させる。

 エネルギーをチャージしている間も巨大蟻の行進は止まることなく、神奈の目と鼻の先にまで迫って来ていた。


「今です!」

「りゃあああああ!」


 巨大蟻が神奈の頭にかぶりつこうとした瞬間――神奈の手から極太の光線が放たれた。

 その紫紺の太い光線で胃の中を埋め尽くしたことで中にいた巨大蟻達は全滅。そしてそれは胃を突き破り、体外にまで届いて遠くの山をも貫く。


「神奈さん、そのまま上にあげて光線で切り裂いてください!」


 腕輪の指示通り、神奈は両手を徐々に上げていく。

 豆腐に包丁を入れて移動させるかの如く、まるで巨大蟻の体が柔らかいかのように紫紺の光線が切り裂いていく。光線が通った後に神奈が目を向ければ、もう夕方である外の景色が映しだされていた。


 勢いを殺さず巨大蟻の背中を光線で切り裂き終わる。

 尻部分から脳天まで、重要臓器ごと貫いたので当然致命傷である。

 巨大蟻がジタバタと暴れていたが、それもやがて止まった。

 完全に死亡したのである。災害のような巨大すぎる蟻は息絶えた。


 神奈は全力の魔力光線を放ったことで疲労していたが、早くここから出ないとレイ達が心配すると思い、重い足取りで巨大蟻の体内から出ていく。

 巨大蟻を貫通した穴から出ていくと、そこは巨大蟻へと入るまでいた更地だった。移動させないという役目はレイがちゃんと果たしてくれたらしい。


 移動していなくても、巨大蟻が暴れたせいでこの場所は大地が陥没している。地盤もズレ、巨大なクレーターもあちこちにできてしまっている。しかし被害はここだけであり、宝生町の人間に全く怪我はない。


「はあああっ……疲れたあああ」


 オレンジ色の雲に見下ろされるなか、両腕を真上にあげて神奈は地面に倒れ込んだ。一件落着だと思い、疲れを隠さずに笑う。


「神奈あああ!」


 寝っ転がっていると声がしたので、顔を向ければレイ達が焦ったように駆け寄ってきていた。


「すごい人だね、君は」

「はは、疲れたけどな。でもお前その怪我……」


 見ればレイは傷だらけであり、小さくても青い痣が所々に存在した。


「そんなになるまで頑張ってくれたのか……」


「確かに体中が痛いよ。でも君が無事ならそれでいいかな。それと騒ぎになるかもしれないから今日はもう家に帰ることにするよ」


「確かに帰った方がよさそうだ。帰ったら病院に行けよ?」


 レイは「じゃあね」と言って帰り道を歩いて行く。


「あーくっそ、今日は楽しく終えるはずだったのによぉ」


 一人その場に残った後、ぼやいたのはベータだ。

 今日は楽しいピクニックのはずだった。そう考えるのは神奈も同じ。

 イレギュラーな事態さえなければ、神奈はレイともっと仲良くなれたかもしれない。イレギュラーが起きたからこそレイが強いということを知れたものの、楽しい時間と引き換えにするほどの価値はその情報にない。


「蟻さん死んじゃったのー?」

「動かないよー?」


「……あれは悪い蟻さんだったのです。蟻に興味があるなら今度外に出たときに捕獲して、家に専用の虫かごでも作って飼いましょう」


「あはは、それは新鮮でいいかもしれないですね。じゃあ神奈さん、私達もここで失礼します」


 リンナ達御一行も帰っていく。

 一人になった神奈も疲れた体に鞭打って、立ち上がり、足を家の方へ向けて動かし始めた。

 ただのピクニックで終えるはずが、なんだか濃い一日になったと神奈は内心思う。嫌なこともあったとはいえ、もっとレイと仲良くなるという最低条件はクリアしているだろう。

 帰ってからは泥だらけの服を洗わなければならないと、微妙に面倒なことも増えたが。


 疲労から走れない神奈も歩いて家に帰る。

 帰宅してから一番始めに向かうのは脱衣所だ。

 茶色く汚れた衣服をぱっぱと脱いで洗濯機に入れ、浴室に入っては真っ先にシャワーで汚れを落とす。汚いままでいるのは清潔でないため念入りに洗った。


 頭から足先までしっかりと洗って神奈は浴室から出た。

 白いバスタオルで体を流れる水滴を拭く。早い時間かもしれないが「二人はゴリキュア」の絵がプリントされているパジャマに着替えて寛ぐ。楽な姿勢でソファーに座り、静かすぎる空間に賑やかさを求めてテレビの電源を入れる。


「あの巨大蟻、放っていたら人類が滅んでいたかもしれません。神奈さんは英雄ですね」


「蟻に滅ぼされる人類って嫌だな……」


 テレビでは情報番組を放送しており、早速巨大蟻についてニュースをやっていた。

 宝生町で町民がインタビューされている映像。あれだけの大きさで誰にも見つからないというのには無理があるため、もちろん目撃されている。宝生町だけでなく他の町の人間の視界にも入っている。

 番組は危険生物が出た現場を特定しようとしている。

 地形が大きく変わっているのですぐに見つかることだろう。


「……来客か」


 来訪を知らせるチャイムの音がリビングに響く。


「どうでもいいですけど、神奈さんその服装で出るんですか?」


「何言ってんだ。……着替えるに決まってんだろ」


 さすがにアニメの絵が大きく描かれているパジャマのまま外に出るのは神奈も恥ずかしい。見知らぬ他人には絶対に見られたくないし、知り合いだったらもっと見られたくない。とにかく適当に無地の服に着替えてから外に出る。


「お待たせしました……って、リンナにえっと……イータとシータ?」


 玄関から出て神奈が来訪者を確認すると、目に映っていたのはリンナ、イータ、シータの三人。

 幼い二人は笑顔で元気よく挨拶する。


「こんばんはあ!」

「こんにちはあ!」

「こんばんはでしょ、シータ」


 子供らしい子供という感想を神奈は抱く。

 今までで一番子供らしかったのは笑里だ。しかしぶっ飛んでいる身体能力や天然な部分であまり年相応には見えなかった。才華など小学生とは思えない部類の方が神奈の知り合いには多い。速人は中学二年生なのではと度々思っている。


「どうしたんだ? 何かあったの?」


「これあげる!」


 そう元気よく幼い二人が差し出してきたのは段ボールで作られた円盤。

 形は丸く、段ボールなので厚さは薄い。さらにその円盤にはテープで紙が輪になるように留められていた。それを見て分からない人はいない、頑張った人に贈られる勲章的なもの。


「メダル?」


「ふっふーん! 頑張って作ったよ!」

「お姉ちゃんにあげるね!」


「この子達、帰ってからそれを作ってたんです。守ってくれたのと、頑張ってあの蟻を倒したお礼だって言って……」


「そっか……ありがとうな、二人共」


 神奈は二人の頭を撫でてお礼を言った。

 ただそれだけのために来た二人は、リンナに連れられて、にこやかな笑顔で手を振りながら帰っていった。


「神奈さあん、口元がにやけてますよお?」


「うっさい」


「そろそろ私も泣いていいですかね」


 家の中に戻った神奈はリビングに入り、その貰ったメダルをテレビ台の上に置いておく。簡素なものであるし、他にテレビ以外置いていないので十分なスペースがある。

 それを見て腕輪が「あれ?」と、存在しない首を傾げるように言葉を発した。


「嬉しいというわりにはそこに放置するんですね?」


「……まだ、これを首にかけるのは早いんだよ」


 全ての事件を解決するまで、神奈はメダルを首にかけないことを誓う。

 宇宙人の魔の手はまだ欠片も消えてなどいないのだから。


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