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【終章完結】神谷神奈と不思議な世界  作者: 彼方
四章 神谷神奈と運動会
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53 最終種目――ラビリンスシューター――


 騎馬戦から十分後、ついに最終種目が始まろうとしている。

 点差は現在ゼロなので最終種目で文字通り終わるのだ。全ての因縁の決着がつく、そんな戦いを前に誰もが真剣な表情を浮かべる。


「それでは私が今、詳細の書かれた紙を受け取りましたので、最終種目ラビリンスシューターの説明をさせて頂きます。えー、まずはそれぞれの学校から三十名ずつを選出し、グラウンドの真ん中に集まってください。選出は棒倒しのように各クラスからでなくてもよく、極論一つのクラス丸ごと出場することも可能です』


 三十人という大人数だが各クラスから平等に出せない。棒倒し前に病院送りになった生徒や、騎馬戦で若干怪我をして出れない生徒がいるのだ。

 とりあえず神奈、笑里、速人、夢咲、泉、斎藤の六人は決定済み。他に誰を選ぶか悩んでいる神奈に少年が近付いて口を開く。


「僕を出してほしい」


 そう声を上げたのは炎のような赤髪の少年、熱井心悟。

 彼は真っ直ぐに神奈の目を見ている。もう間違わないと言っているような気さえした瞳を見て、神奈は一度こくりと頷く。


「分かった、委員に伝えてくる」


「ちょっと神奈さん、彼は裏切ったのよ?」


 一度裏切った者が信頼を勝ち取るのは難しい。

 裏切り者だった熱井のことを才華はいまいち信じきれないようで、神奈に正気なのか問う。五年一組のクラスメイトほとんどが不満を顔に表している。


「目を見ればだいたい分かる。こいつはもう目が覚めてるよ」


「……分かったわ。選出したメンバー情報は私が実行委員に伝えてきてあげる。もう相手は集まってるし、あまり待たせるのも悪いから行ってきて」


「本当に……いいのかい?」


 熱井の問いに対して神奈は何も言わなかった。

 無言なのは信頼しようとしているからだ。心の中で「裏切ってくれるなよ」と答えて、神奈達もグラウンドの中心に向かう。

 二校合わせて計六十名が揃ったのでルールの説明が再開される。


「集まったようなので説明を再開します。ええ、この種目は至極単純であり相手にボールを当てるだけ! 一人につきなんと三百点が入ります!」


 一人につき三百点、つまり全員に当てられれば九千点。最終種目だけで勝ちが決定する。今の宝生と雲固は同点なため引き分けはありえない。


「ですがキャッチされてしまったら当たったことにはなりません! 禁止行為は殺害以外特にないようなので戦略性が期待されます! 場所はグラウンドから魔法を使用して、別の現実そっくりな異空間に移動し行うようです。制限時間は一時間半。ボールに当たるか、相手を全滅させるか時間切れで強制的に元の場所に戻ります」


 説明を聞いている神奈達に実行委員が手のひらサイズの赤いボールを二個渡す。

 大きさは野球ボールのようだが感触はまるで違く柔らかい。強く投げ過ぎなければ一般人相手にも怪我させないで済みそうであり、柔らかさはそのための配慮だろう。


「ていうか魔法を当たり前に言ってるけど大丈夫なのか?」


「どうやら違和感をなくす魔法を、この学校全体に誰かが使用しているようです。誰かまでは分かりませんが……」


「まあどうせあっちのリーダーだろ」


 返ってきた答えを聞いて神奈は相手選手にいる天寺を見る。

 視線に気付いた天寺は口元を楽しそうに歪めたが、無意識だったのかそれを手で隠す。


「ボールの数は一人二個、しかし始まった後は味方から分けてもらっても構いません。なお、相手の学校のボールを奪っても意味がないのでご注意ください! 更にバラバラに飛ばされるらしく、半径百メートル以内に敵も味方もいない状況になります。みんな頑張って敵を倒してください!」


 神奈達に配られたボールは二個。それらを投げてしまったら拾うしかない。


「ええ、それではカウントダウンです。三、二、一……で転移されるので気を付けて下さい!」


「紛らわしいな! 身構えちゃったじゃん!」


「それでは三、二……一、スタートです!」


 司会実況の鈴木が開始を告げた瞬間、種目に出る選手が紫色に包まれる。

 すぐに光は収まったものの、神奈は学校に居たはずなのに全く違う場所に移動していた。周囲の景色は普段の通学路だ。


「ラビリンス要素どこだよ!? こういうの前にもあったよな……とりあえずここから半径百メートル以内には敵も味方もいないんだったっけ、動くか」


 闇雲に動いても敵に遭遇する可能性もあるが、ここだと見晴らしが良すぎてすぐに発見されそうだと神奈は考える。その結果、開始地点から有利そうな場所に行かなければと移動を始めた。


「はいみなさん聞こえているでしょうか? 私は実況の鈴木恭二ですが、どうやら実況の声だけはそちらに届くようです! それに今現実のグラウンドでは空中ディスプレイが現れており、各選手の状況が映っております! ですが実況してしまうと競技が台無しになってしまうのでリタイアした選手の名前を言うだけにさせて頂きます! ちなみにそちらの声は何も聞こえません。安心して会話や独り言を言って大丈夫です!」


「実況の声があることで状況が把握できるな、ありがたい……。とりあえずそこの角から裏路地に行った方が良さそうだ」


 神奈はとりあえず道が複雑なので発見されにくい裏路地に向かうことにした。



 * * * 



 かくれんぼの天才、宝生小学校五年一組の音無(おとなし)小太郎(こたろう)

 現在運動会の最終種目ラビリンスシューターに出ており、裏路地に潜んで敵が現れるのを待っていた。まさか誰もゴミ箱の中に隠れているとは思わないだろう。音無はゴミ箱に穴を開けて辺りを伺う。


「この辺りか」


 角からサングラスをかけた少年が歩いてくる。確か雲固学園の生徒だ。


(お、あっちから来るのは相手の雲固学園のやつか。サングラスなんかかけやがってハンター気取りか? のこのことやってきやがって、後悔するぜ? 俺はかくれんぼで今まで一度も見つかったことがない。みんな探すのを諦めて帰ってしまうくらいだからな!)


 それは誰も仲間に入れていないだけだと、音無は気付いていない。本気で今も隠れ続けられていると思い込んでいる。


(あれ? なんか真っ直ぐこっちに向かってきてないか?)


「ここか」


(嘘だよな? 何かバレてない? 目の前にいるんだけど……あ、ちょっと待って! こんな、ウソだああああああ!?)


 ゴミ箱の蓋を開けられて、あっさりとボールを当てられる。

 音無はサムズアップして「みんな、後は任せたぜ!」と告げる。結局彼は何も出来ないまま現実に強制送還された。



 * * *



 神奈は裏路地の曲がり角に身を潜めている。

 辺りを警戒していると、青い線が端にある白い体育着を着た少年が現れた。

 敵は神奈の方に何の迷いもなく進んでくるので、神奈は角から出てボールを高速で投げた。顔面に当たって跳ね返ってきたボールを難なくキャッチする。

 ぶつけたボールのせいで敵がかけていたサングラスが地面に転がった。


「うん……チームの根本君リタイア! 宝生チームの音無君リタイア!」


 神奈は脱落者のことも考えながらサングラスに注目する。


「何でサングラスなんかしてたんだ? うーん、でも何かカッコいいよな。ちょっとお借りしてみますかね」


 サングラスをかけてみると神奈は妙なことに気付く。

 予想以上にカッコよかったというわけでもなく、カッコ悪いわけでもなかった。

 サングラスの右部分に赤い点が四つ点滅している。二つは中心にあるが、もう二つは離れたところから中心の方へ動いていた。


「うわあああ! 何で居場所がバレたんだよおお!?」


 サングラスの赤い点に集中していた神奈だったが、突如声が聞こえてそちらを振り向く。どうやら宝生小学校の男子がサングラスをかけた男子から逃げているようだった。


「へへっ終わりだあヘブッ!?」

「グアッ!?」

「うん……チームの高崎君、宝生チームの葉隠君リタイア!」


 味方を助けようとして神奈はボールを敵に投げつけたが、既に時遅く敵のボールが投げられた後だった。ボールを当てられた男子二人は紫色の光に包まれて消える。


「間に合わなかったか……」


 神奈はボールを回収してからサングラスの赤い点をまた注視すると、赤い点はまだ消えておらず四つとも健在。方角などを確認して歩いてみると中心が自分であることが分かり、中心ではない赤い点二つの方もおおよその見当がつく。

 歩いていくと足に何か当たった。宝生側の真っ赤なボールだ。


 落ちていたボールを拾い上げた神奈は軽く投げてみた。すると四つ近くにあった内の一つが離れていく。


「マジかよ、最後まで卑怯だなあいつら」


 赤い点は宝生チームのボールだということだ。

 発信機か何かで場所を送信すると、サングラスが受信して場所が分かってしまう。最後の最後まで天寺静香という少女は卑怯な真似をするらしい。

 ボール全てに仕込まれた発信機で居場所がバレる以上隠れても無駄。仕方ないから積極的に動いて撃破していこうと、神奈は再び移動を開始した。



 * * *



 ラビリンスシューターの残り人数も着実に減ってきている中、とある空き地で二人が向かい合っていた。


 水色の髪を腰まで垂らしており、冷めた目をしている少女。雲固学園のリーダー的存在、天寺静香。

 真っ赤な炎のように逆立つ髪をしている熱血漢、熱さを秘めた目をしている少年。宝生小学校体育委員長、熱井心悟。


「どうやら君がそっちのリーダーらしいね」


「ええ、そうよ。熱井心悟君? 金に釣られて仲間を裏切ったバカな男。私が届けた麻痺毒入りのクッキーはどうだったかしら、効き目抜群だったでしょ?」


 騎馬戦直前で天寺はクッキーを持って待機場所に訪れていたので、熱井とも面識がある。また、それ以前にも熱井の妹である心春が入院している病院内でも会っていた。

 否定できない言葉に熱井は俯き、ボールを持っている手に力を入れる。込められた力によりボールが変形していく。


「……確かに僕はどうしようもなくバカらしい。でもここで君を倒すことで少しは罪滅ぼしをしたいと思う」


 自分の裏切りを反省している熱井は真剣な目で天寺を見据える。


「やっぱりバカよあなた、実力差も分からない無能ね。それに妹さんの治療費はどうするのよ。あなただけでは到底稼ぐことのできない額だと分かっているでしょう?」


「そうだね、僕だけでは無理だ。でも神谷さんに気付かされた。僕には相談できる友達がいるということに遅いけど気付けたんだ。お金の方は、僕だけじゃなくて神谷さん達に協力してもらってどうにかするさ。どうにか出来ると信じることにしたんだ」


「ただの小学生がどれだけ足掻いても稼げないわよ、ちょっと頭を使えば分かるでしょうに。……というかあの病院はこれからどうなるのかしら。実はあそこ、金城のやつが医者も土地も買収したのよ。でもその金城は無様に倒れてしまった。あの病院にいても治療なんて出来るのかしらね?」


 医者も土地も全てが金城に買われていたことは熱井にとって初耳だった。

 天寺の話によれば働かなくてもいいほどの札束を医者に渡しており、ほとんどが病院を辞めてしまったらしい。妹の心春の担当医も辞めたという。


「まあそれでも私なら手術が行える心当たりがあるわ。どう? また私に協力しない? とりあえず地べたに這いつくばり、私の靴を舐めて、もう裏切りませんと固く忠誠を誓ってもらおうかしら」


 嘲笑する天寺に、熱井は目に強い意志を宿してゆっくりと近付く。

 手を伸ばせば届くような距離にまで近付いた熱井は屈み、靴に顔を近づけていくと、持っていたボールを当てようと手を動かす。だが投げたボールは天寺が一歩後ろに下がったことで回避される。


「はい、ざんねーん」

「まだだああああ!」


 態度から攻撃してくるつもりだと分かった熱井はすぐ横に転がる。直後先程までいた場所に青いボールが落下してきたので、本当に危機一髪であった。

 回避すると同時に持っていたボールを一つ投げるが、天寺は余裕の笑みを浮かべながらサイドステップして避ける。


「ぷぷっ、さっきのが奇襲のつもり? あなた程度が小細工をしたところで私には勝てないわよ」


「そうとは限らないだろう。僕は身体能力と心の熱さだけには自信があるんだ!」


「へぇ……それでそのご自慢の身体能力ってこの程度? もしかして動体視力には自信がないのかしら?」


 耳元で囁かれたため熱井はくすぐったさと甘い香りに顔を顰める。

 移動した痕跡すら悟らせず、圧倒的速度により天寺は背後に回り込んでいたのだと理解した。距離を取るため振り向き様に焦って後方へ跳ぶ。


「速すぎる……! だけど足の速さだけが全てじゃないんだ!」


 生徒一人に配布されたボールは二個のみ。既に二個投げたため、どちらか拾いに行かなければもう攻撃出来ない。落ちている赤いボールまで全速力で向かって、二個とも拾うことで手札を補充する。


 拾ったボールを勢いよく投げたが、当たりそうになった瞬間に天寺の姿は消えてしまう。消えた天寺は熱井の四メートルほど後ろに、またしても一瞬で移動していた。


「こっちよ」


 声に反応し熱井は振り向く――前に青いボールが投げつけられる。しかしその青いボールも届くことはなかった。

 当たる直前で自分より白く小さな手が割り込んで掴んだのである。


「危ない危ない、キャッチすればいいんだったよな」


 脱落のアナウンスも流れないし光となって消えはしない。

 四方八方に跳ねた黒髪の少女、神谷神奈が平然と目の前にいた。助けられたと遅れて分かった熱井は笑みを浮かべて目をキラキラさせる。


「か、神谷さん!」

「神谷神奈、意外と早かったわね」


「さあ、反撃の時間だ。覚悟しろや雲固学園」


 掴んだ青いボールを軽く上に投げては、落ちてきたところを取るのを繰り返す彼女の到着はありがたい。一人で天寺に勝利を収めるのは奇跡に近いのだから。


 このラビリンスシューターにおいて熱井は不利だと理解しているのだ。

 視認させないスピードで動く相手にボールを当てるなど至難の業。ましてや相手のボールを避けるのすら厳しい。この種目は天寺静香が勝つためだけのものとすら言える。


「フフ、随分と私の手駒を減らしてくれたようね」


「そうだな、でも次はお前の番だぞ? 二対一の状況じゃお前は不利だ」


「二対一? フフフ……二対二よ?」


 熱井がハッタリかと思っている間に、民家の屋根から一人の少年が飛び降りて来た。天寺の前に着地した彼は獲物を狙う肉食獣のような目をしており、獰猛な笑みを浮かべている。

 視線は真っ直ぐ神奈に注がれていた。熱井のことなどまるで眼中にない。


 綱引きの際に見覚えがあったが彼の名前は知らない。獅子のたてがみをモチーフにしたような髪型をした少年は「ハッハッハッハ!」と笑い出す。


獅子神(ししがみ)、待たせて悪かったわね」


「ああ本当に待った、待ちわびた勝負だ。俺はずっと、ずうううっとこの時を待ってたんだあああ! ポンカンパルデア、お前もそうだろ!?」


「誰だポンカンパルデアって! 神谷神奈だっての!」


「血が滾る。体が、筋肉が熱くなる。さあ思う存分やり合おうぜええええ!」


 笑顔で突っ込んだ獅子神は――神奈に軽くビンタされて、勢いよく回転して塀ブロックに衝突した。粉々になった塀ブロックがその威力を物語っている。あれを受けたのが熱井だったら死んでいたかもしれない。


「何か面倒そうなのが来たからつい手を出しちゃったけど問題ないよな? ルール上何も言われなかったし、殴っちゃダメなんてルールがあるんだったらただの説明ミスだよな?」


「相変わらず出鱈目な力だね、神谷さん……」


「ま、やっぱり二対一だな」


「いいえ、かわらず二対二よ」


 天寺がそう言った瞬間、ピクッと倒れていた獅子神の指が動く。


「何を!?」


 何を言っているのか、負け惜しみかと熱井が思っていると獅子神が立ち上がった。あんな威力の平手打ちを喰らって笑っていられるなど正気の沙汰じゃない。


 神奈の左頬に拳が迫る。

 一歩後ろに下がることで避けた彼女は右手で伸びた腕を掴み、同時に左手で獅子神の腹に裏拳を叩き込む。素人目にも威力は先程より高く見える。


「グフォ!? まだまだああああ!」


 しかし普通に耐えられてしまった。顎を蹴られそうになるのを、神奈は手を放して後方へ跳んで躱す。


「お前随分タフだな。二度目の攻撃の方は一般人が受ければ、全身の骨が粉々になって死んでもおかしくないような一撃だぞ? 身体強化されてないくせに出鱈目な強さしやがって」


 距離を取った神奈だったが、追従する獅子神が連続で攻撃を繰り出す。その手の形はまるで獲物を引き裂く爪のようだった。彼女はそれも難なく全て躱しながら、お返しとばかりに今度は更に強く連続で殴る。


「グボボボボッ!?」


 獅子神は今度こそ倒れたのか神奈の前で屈み込む。


「やりすぎたか? でもなまじタフなのが悪いわけで私は別に悪くないぞ」


 やはり神奈は強い、熱井は素直に憧れている。

 強さに感動している時、水を差す天寺の「速度超向上(アクセルブースト)」という声が聞こえた。意味不明の言葉で困惑した瞬間――獅子神が爆発的な踏み込みでロケットのように神奈へ突撃した。


「なっグフッ!? ぐああああああああ!」


 頭突きが腹部に突き刺さった……のだと思う。

 熱井の目には二人が一瞬で消えたふうにしか見えなかったのだ。作り物だろう家々が破壊されていく光景を見て、二人はおそらく向こうへ行ったのだと直感する。

 残ったのは自分と天寺二人きり。戦況は厳しいが、諦めるつもりは毛頭ない。


「神谷さん……後は僕に任せてくれえええ!」


 聞こえるか分からないが自分を鼓舞するためにも叫ぶ。


「ふふ、頼みの綱が消えちゃったわね。降参するなら今の内よ?」


「彼女の有無は関係ない。僕はただ、みんなのために最善を尽くす」


 正面を向いて熱井は敵を睨む。対して天寺は余裕の笑みを浮かべたままだ。


「少し、遊んであげる。愉快に逃げ回りなさい」


 絶対勝てる、なんてことは思わない。

 絶対勝つと強く想うのだ。それくらいの気概がなければ善戦すら出来ない。圧倒的格上の相手がじりじりと距離を詰めて来る中、熱井の額から冷や汗が垂れた。


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