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【終章完結】神谷神奈と不思議な世界  作者: 彼方
三.四章 神谷神奈と厄狐
117/608

44.81 色々濃かった旅行の終わり

まとめなので短いです








 早朝。太陽が出て明るくなった時間帯に一台の車が道路を走る。

 夏休みに藤原家別荘へとやって来ていた神奈達だが、別荘が破壊されてしまったせいで帰るしかなくなってしまった。本来ならもう一日いる予定だったのだが宿泊場所がない以上仕方ない。現在、神奈達は堂一郎が運転する車で帰宅途中である。


 明るくなるまで待ったのは単純に眠かったからだ。眠気に襲われている状態で暗闇の中を走行するなど危なすぎる。疲労もあったため、神奈以外の全員が砂浜に敷いたブルーシートで睡眠をとった。


「今年も楽しかったよねえ」


「そうね、ちょっと色々ありすぎてキャパオーバーだけど。うん、別荘も壊れちゃったけど、海で遊んだのは楽しかったわね」


 厄狐の一件さえなければ楽しいままで終われただろう。

 件の厄狐はといえば、子狐と遜色ない姿で才華の膝元に乗っている。


「……すまないな、僕のせいで」


「いいのよ。どうやら藤原家がここまで大きくなったのはあなたのおかげみたいだし、最近は別荘が壊れるくらいの事態に慣れてきた自分がいるんだもの」


 可愛らしい姿の厄狐は藤原家で過ごすことにした。当然才華や堂一郎の許可は貰っている。迷惑をかけた分、自分に出来ることをやって償っていこうと決めたらしい。


「いやあ、僕も次は一緒に行きたいな。よければ来年同行してもいいかい」


 今回最初から呼ばれていないレイは車の横で呑気なことを言っている。

 堂一郎の運転する車は黒塗りの長い車であるが、とある事情で空いている席はもうない。……というのは帰りの話。


 帰りに席が埋まっている理由は使用人達である。

 さすが藤原家の使用人というべきか、崩壊寸前で全員が裏口から脱出していたらしい。しかし無事とは言い難く全員が怪我を負っていた。軽傷の者は普通に座っているが、深手を負った者は席に寝かせている。


「……人間が平然と走行車と並走するってことにも驚かないわ。本当に慣れてしまった自分がいる、価値観が壊れてきたのが分かる」


「うむ、そうだな。今回の出来事は今までの価値観を破壊するようなインパクトがあった。子供達には辛かろう」


 そう同意する堂一郎はミラーに映る爆睡中の子供を見やった。

 霧雨、斎藤、夢咲の三人は同列の席で仲良く体を預け合って眠っていた。その列で唯一起きている泉は窓の景色を眺めている。そして笑里や才華は談笑しており、神奈は――。


「来年も行きたいなあ。別荘ってどれくらいで直るの?」


「うーん、あそこまで崩れたら建て直すしかないわね。まあ来年の夏までには新しい別荘を建てられると思うわ」


「やったああ! やったね神奈ちゃん、来年も行けるって!」


 話しかけられた神奈は答えない。才華は彼女の様子を見て引き攣った笑みを浮かべており、笑里に対してなぜ話しかけたのかと目で訴える。

 答えない神奈の肩を笑里が「行けるってえ!」と揺さぶる。そうするとようやく顔を向けて口を開いた。


「あぺぺぺぺぺぺあぺぺぺぺあぺぺぺぺあぴぺぺぺぺぺぺぺ」


 白目を剥いて意味不明な言葉を並べる神奈。

 実は〈ニュウコロコシン〉のデメリット効果が未だ働いており――アホになっていた。


「あーぴゃぴゃぴゃ。ぴゃっはああああ!」


 こうして神奈達のちょっとした旅行は終わったのである。







 厄狐編、完! 次の章は更新をお待ちください。

 なんだかんだ、ノリと勢いで書いた章だったな……。


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