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第三章④ 王様が導き出した結論


「――――情報も集まってきた。そろそろ結論を出そうではないか」


 執務室にて。俺は今ペレネからの報告を聞き終えたところだった。主に諜報を担う【風】の軍からが得た情報は一旦ペレネ騎士団長へと引き継がれ、俺の耳へと入ってくる流れである。

 いったい何の情報か? ……あえて言うまでもあるまい。不遜にもこの俺の命を狙った暗殺者どもの親玉が誰かを探っていたのだ。


 あいつらマジで許さねえからな。おかげで四六時中護衛が付くことになって、おちおちオ○ニーもできなかったし! オナ禁して早五日目。いつの間にか自己ベスト(一日と五時間)更新してやがる。そろそろちんこが破裂するかもしれん。

 それにセレスティアの奴もずっと軟禁状態だって聞いてるしな。俺は止めとけって言ったのに家臣たちが「そうはいかない」と聞かないんだ。この城には王の命令を聞かない奴が多すぎる。ツバキくらいのもんだぞまったく。


 ひとまず先にマケオンの意見を聞くとするか。爺の話は長くなるし早めの方がいいだろ。


「マケオン、お前はどう見ている?」

「そうですな……」


 ペラり、と老眼鏡をかけてこれまでの情報をまとめた資料に目を通す。


「エロス王の命を狙う勢力はいくつかあります。まず第一に武力を以て王国を征服すべしと唱える帝国の征エロ論派。王国と帝国との同盟を避けたい共和国。ごく一部ですが王国にも他と与するなかれ、と説く征凄論派がおります。他にも小規模な派閥はあれど、おおよそこの三つに絞られますな」

「話なっがーい。事前に分かってることいちいち言わなくていいから」

「はは、失礼致しました」


 マケオンは未だに俺を子ども扱いするからなぁ。そのくらい把握していることを前提にしてほしいわ。

 それにしても俺モテモテだな。モテる男は辛いぜ、とどこぞのヤリチンが言ってたが、まさに今がそうなのかもしれない。口に出すとペレネが物凄く怒るので考えるだけに留めておこう。


 情報を今一度整理してから、マケオンはようやく自身の考えを口にした。


「確率で論ずるならば、やはり征エロ論派の仕業と考えるのが自然かと。かなりの規模の派閥のようですし、あるいはスゴイデス八世もそのように考えている可能性があります」


 マケオンの言う通りなら、スゴイデス八世が送り込んできたセレスティアもその一味の可能性が高いという話になる。それはやはり、暗殺者を手引きしたのが彼女である、と暗に示していた。

 ペレネが軽く挙手をして意見を述べる。


「しかしマケオン卿、襲撃の目撃者によれば暗殺者は王女まで手にかけようとしていたそうではないか。さらに第一の手段であって毒も、我が王と王女双方のカップに混入されていた。これはどう説明なさるおつもりか?」


 思いの外ペレネはセレスティアの肩を持つな。そう言えば以前一緒に風呂に入ってたんだっけ。二人の裸体は結局拝めず仕舞いだったが。くそ、今度リベンジしてやる!

 バスターゴリラの彼女にしては的を射た反論に対し、マケオンが涼しい顔をして答える。


「王国内でセレスティア王女が殺害されたとなれば、帝国は大義名分を得ることができ、総力を上げて侵攻できるようになる。帝国人は皆勇敢で、帝国のためなら死を恐れないと聞く。王家の血を引く彼女にも色濃く受け継がれていたとしても不思議はないでしょう」


 ぐ、とペレネが押し黙る。やっぱりマケオンの方が何枚も上手だったか。口の達者な爺って腹立つな。

 色眼鏡なしに鑑みて、マケオンの考えは実に合理的で穴がない。セレスティアが裏で暗殺者たちを手引きした。これを論破するのは骨が折れる。


 暗殺未遂とはいえこの件で王国と帝国との間に再び亀裂が走りかねない。事件が表面化した時点で、厄介な政治的問題に片足を突っ込んでいるのだ。どこのどいつか確証はないが、いらんことをしてくれるなあ。

 今は何とか帝国への情報漏えいは防いでいるものの、遠からず暗殺事件のことは校庭の耳に入る。そのときどういう対応をするのかは、スゴイデス八世の胸元三寸次第だろう。


 我が王、とペレネが若干縋るような視線を送ってくる。()い奴め。これ以上長引かせても決定的な証拠が上がるとは限らないので、俺はかねてからの結論(・・)を出すことにした。



「――――セレスティアは無実だ。いいな?」

「「仰せのままに」」



 セレスティア擁護派のペレネはもちろんのこと、彼女を半ば犯人扱いしていたマケオンでさえも、俺の一言をあっさりと了承した。

 これが王政である。騎士団長や法務大臣など、各役職はあれど王の一声で全てが決まる体制。宗教神ですら王と並ぶことはない。


 昨今ではその独裁制に意を唱え、議会で多数決を採って政治をする国が増えてきているそうだが、圧倒的な才覚を持つ王がいればそれに越したことはない。だからこそ何より後継ぎが必要となってくるのだ。

 俺は椅子から立ち上がり、


「裏で糸を引いた連中にもおおよそ目星は付いている。そいつらとの決着のための段取りはマケオン法務大臣、お前に一任する」

「はっ」

「ペレネ騎士団長は万が一に備えて精鋭部隊を作っておけ。【火】も【土】も【風】も関係なく、あらゆる事態に対応できる部隊をな」

「ではすぐに取り掛かります。我が王は何をなさるおつもりですか?」


 俺はパチン、と指を鳴らして答えた。



「決まっている。――――囚われのお姫様に会いに行くのさ」




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