94.天照
天照説明回です。
エルドが覚醒したスキルは特性もしくは常時発動型のパッシブスキルであるが、任意発動型のアクティブスキルも兼ね備えているのが『鑑定』してわかった。
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『天照』
この特性を持つものの周りには良い人材が集まり、才能の開花を手助けする
1<鏡>対象の全身、全体を何かに写している間のみ、写した能力、記憶などを読み取ることができる。
2<玉>写し取ったスキルの使用ができる。時間制限あり、消費は通常の3倍。現在は対象が持つスキルを1つ一定回数使用可。また、獲得したスキルの消費を1/3にする。MP貯蔵可能。
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上記が『鑑定』結果だが、非常に珍しいレアスキルである。『勇者』よりも珍しいのではないか。『天照』自体のスキル効果も珍しいがアクティブスキル混合型は初めて見た。1が『鏡』なので『八咫の鏡』、2が『玉』で『八尺瓊勾玉』というらしい。これ日本書紀の3種の神器だよねぇ。…ということは『剣』もあるはず。今は何か条件があり使えないようだけど。MP貯蔵はそのままで、MPがなくなりそうなとき貯蔵していた分回復できる。
エルドを魔力が見える『魔力視』で見ると、エルドが黄金のオーラのような魔力で覆われているのが見える。人が纏う魔力は一番得意な属性の色が出てくる。
例えば、火なら赤、水なら青のように。纏っていない色は使えない属性、もしくは使えても非常に弱い属性で色の濃さは才能を表している。赤が濃ければ火魔法の習得が早いといった具合だ。エルドの黄金は黄色の強化版で光属性だ。もちろん少し前のエルドにはなかった現象だ。元々のエルドはいくつかの色が混ざっていて黄色はその中の1つでそう濃いものではなかった。これもおそらく『天照』の影響なのだろう。
先ほどの話はエルドが『鑑定』を僕から写して使ったということか。しかし、『鑑定』を見ると姿を、それも全身を写す必要があるはずだが、エルドはそのようなものは何も持っていない。寝ているときに写した?いや時間制限がある。
その時僕はエルドの顔を見た。エルドの瞳に僕の全身が映っている。なるほど、『鏡』と言う言葉に勘違いしていた。姿が写れば何でも良いわけだ。瞳で良いということか。しかも、消費は通常の3倍だが、写した相手のスキルを使用可能。……僕の『セクシーボディ』系と鑑定系にスキル奪取系の複合。完全に僕の上位スキルと言って良い、これこそチートスキルだろう。しかも、条件次第でスキルそのものが成長するようだ。実にうらやましい。
「イオは気が付いたみたいだね」
「ああ、それが、『八咫の鏡』か?」
「うん。気が付いているみたいだから言うけど、僕が相手の全身を見れれば発動可能みたいだ。いやー。最初は驚いたよ。人を見ていたらなんか文字が出て来るからね。それが相手が持つスキルだって気が付いたら面白くて孤児院の人全員見たら翌日から熱出て、具合悪くなったよ。記憶も見れるみたいだけど、今の僕では頭痛しかしないよ。特にイオは見ようとしただけで頭が割れるんじゃないか?と思うくらいの頭痛して、寝込んだし」
見ようとしたのか。スキルやステータスと違って人の記憶を見るのは負担が大きいみたいだが当然か。子供の脳ではまだ未発達な部分も多いと聞くし、入ってくる処理が十分できないのだろう。特に僕のは前世含めて100年分以上あるからね。覚えていないこともたくさんあるけど。エルドはそういった本人さえ覚えていないような記憶すら見れるのだろう。今はまだほとんど見れないようだが。
そういえば、実験段階でホムンクルスと長期に接触すると眠れる力やスキルが目覚める者がいるのではないか?という報告を見たな。
今回のエルドがそうなのか。たまたまの偶然か客観的には判断がつかないところだが、報告は正しかったと思っている。このスキルは自然覚醒するようなスキルではない気がするから。『天照』は神の能力に近い性能を持つだろうスキルだと思われる。その分覚醒するための条件もかなり厳しいもののはずだ。その条件を偶然満たすということはない気がする。そこをホムンクルスの影響で条件の緩和か撤廃されたと考えた方が自然な気がする。
どちらにせよ、今後の検証を待ちたいところだが、『天照』の影響で覚醒させる効果があるので、僕の周りでの検証は不可能か。
エルドが体調崩した原因はイオでした。
天照<鏡>は対象の全身を写すことが条件ですが、顔がしっかり見えるくらいの範囲内でないと発動できないなど、細かい条件がつきます。




