92.ワールハイト学校
唐突に学園編フラグを立ててしまいました。
もうすぐ冬が終わり春になろうかという時、僕はいつものように図書館で本を読んでいる。ちなみに僕は昨年末に、ミーアはこの前5歳になったが、エルドたちはもうすぐ6歳になる。少しずつ雪も解けてきているが、皆は相変わらず雪で遊んでいる時間帯だ。そんな中エルドが入ってくる。この少し前、エルドは原因不明の高熱で苦しんでいた。その後回復したが体力の低下なのか最近エルドはよく図書館に来るようになった。まあ、ただの風邪だろうとは思うが。他にだれも同じような症状の子供はおらず、インフルエンザではなさそうだし。
「今回はエルドだけ?ノフスは?」
「ノフスは弓を習いに行っているから今日は来ないよ」
「そっか。エルドはいつも通りかい?」
「ああ、いつもどおり調べものさ」
最近のエルドの調べものはこの村を国とした場合、何が必要となり、どれくらいの物が必要になるか?を考えており色々調べている。しかし、ここでは限界があり悩んでもいるようだ。その様子を僕は手に持つ本を読みながら見ていた。
「なあ、イオ」
「うん?」
「今は2人しかいないから話すけど、国を作るにはお金、人が必要で、それを守る戦力は圧倒的に足りない。しかもまだまだ足りないものがあるはずなのに、何が足りていないのか?すら、わからない状態だ」
「うん。そうだね」
「そこでさ。僕は“学校”に行こうかと思っている」
「うん?」
「学校に行けば、ここよりも調べることもできるし、足りない物もわかってくると思うんだ」
「そうだね。いいと思うよ」
「だから、イオも一緒に行かないか?」
「は?」
僕は間抜けな反応をしたが、なぜそうなる?なぜ一緒に行こうとする?お金は?
「イオは学校に行けばここよりももっと勉強できるでしょ?行きたくないかい?」
「一緒にって、お金はどうする気?他に生活のためのお金もいるから相当かかるよ?そもそもどこの学校に行くつもりなんだい?」
と言って僕は呼んでいた本を戻し、エルドに向かい合う。
「考えているのは<ワールハイト学校>だね。この周囲では一番大きい学校だし」
とエルド。
ワールハイト学校
正式名称 ワールハイト立総合大学校
8歳から10歳までの幼年生、10歳から12歳までの小学生、12歳から15歳までの中学生、15歳以上の研究員からなる学校で魔法科、騎士科、商業科、技術科、行政科がある
専門分野に進むのは12歳以上の中学生からでそれまでは基礎学習と礼儀や道徳などの教育をし、能力や適性を見ていく過程となる。ワールハイト学校卒業は中学生の終了だが、成績や家庭の事情などでそれまでにやめていく子供も多い。途中からの入学は試験で合格すれば可能となる。授業料も高額なため通うのは主に資産家の御曹司や令嬢である。周囲の都市からの入学も多く、将来のコネクションと言う意味でも大きい。
「あと、お金はなんとかなると思う。イオが僕の兄弟ならね」
「どういうこと?」
「僕がここに来た時、まだ小さくてわかっていなかったんだけど、どうやら僕の父はこの孤児院の出資者らしいから、お金はそこから出してもらおうかと思っている。まあ、ここ1年以上来ていないから、僕のことは捨てたのかもしれないけど」
なるほど。たしかにエルマンドさんなら、没落したとはいえ、学校に行かせるお金くらいはあるだろう。しかし、エルマンドさんの状況をエルドは知らないんだな。だが、ここで僕がそれを言うのはおかしい。なぜそんなことを知っているんだ?ということになる。エルドはただの見た目金髪のイケメンというだけではなく、頭もかなり良いから、きっと矛盾に気が付く。
学校に行くにしてもお金はかかります。しかしこの村ではお金は稼げません。他の孤児たちはどうしよう?と悩んでおります。