84.ホムンクルス
やっとホムンクルス、少しだけですが出せました。
エルフたちの研究の結果、ドッペルゲンガーを改良したダンジョンマスターの身代わり人形ができた。これを人工生体魔道人形と名付けた。
そのホムンクルスの特徴は人間と同じ成長をすること。つまり赤子で生まれ、子供から大人、そして老人となり死を迎える。寿命も人と同じくらいだ。2~3歳くらいまでは特殊な薬液で満たした培養器の中で成長をさせ、出てからは食事をすることで成長する。赤子で生まれる前に僕の血を混ぜることで僕の容姿や能力を受け継ぐことができる。成人となれば今の僕とほぼ同じくらいの能力をみせるはずだ。さらに領域外での活動も可能。その時は能力が100分の1くらいにまで落ちるが。
理論上では『憑依』したまま領域外での活動も可能になる。色々怖くて実験できないが。『憑依』したときは僕とホムンクルスの意識が併存しているような状態で、僕が本格的に使うホムンクルスには『憑依』している間は僕の行動を見ているだけで、『憑依』を解いた後はその行動に沿って自立活動をするように設定をしてある。
ただ、実験段階での検証ができていなかったが、不老ではないため子供を作る能力があるのではないかということ。これについては生まれる子供がどのようになるか予測がつかないため、作成段階で機能をなくした。
このホムンクルスの実用実験をしたのがリュート神聖国のとある村で、リュートにも協力をしてもらった。
この世界に写真はないのでリュート神聖国の現人神として崇められるリュート本人が村に来ても村人は気が付いていない様子だった。気づかれたら大変だったのだが。銅像とかはあるが、美化されすぎていて誰も本人と気が付かないという話であった。そのことに気が付いたリュートは若干落ち込んでいた。この村がリュートの不興を買わないことを祈るのみだ。
ホムンクルスの完成を見てリュートも欲しがっていたのでリュート用のホムンクルスも作ることになったが、リュートのスペックが高すぎるという懸念が出て、能力を抑えて、その代わりリュートの要望通りの容姿にしたホムンクルスを作成して、リュートに渡した。もらったリュートは大変喜んでいた。
リュートもエルフは召喚可能であるのだが、なぜ自分で研究しなかったのか聞いてみたら、どうも眷属はマスターの性質に影響を受けるようで、リュートが召喚するエルフは研究には向かないらしく、僕のエルフたちがしているような研究はできないとのことだった。
ホムンクルスは1度作成に成功するとDPにて購入が可能となった。ただし、購入にはドッペルゲンガーが購入可能になっていることと、1000万ほどDPが必要である。今であればそれほど高価というわけではないが、低レベルのマスターにとっては非常に高価だろう。
さて、都市連合へと戻ったエルマンドだが、商売は順調そのもの。売り上げは順調で、集まる商人も増え、例の奴隷を買っても全く問題にはならないほどである。
長男も無事成長し、1歳を迎えようかという時に行商で立ち寄った、いかにも貧しい村で食い扶持を減らすために村人を何人か引き取ってもらえないか?と言われる。
エルマンドは
「確かに奴隷は連れているが、私は奴隷商ではないからそれはできない」
と断った。しかし、村は元々貧しく、今年は不作であったこともあり、このままでは春を迎えることができない一家が多数ある。
「このまま死なせてしまうよりはあなたのようなところで暮らすなり引き取ってもらう方が本人たちにとっても幸せなのだ」
と言われて頭を下がられてしまう。
ここまで頼まれるとエルマンドは断り切れず、対価と引き換えに数人の村人を引き受けてしまう。引きとった村人はすべて未婚の女性か幼い子供であった。
引き取った村人を比較的大きな都市で解放しようとしたエルマンドだが、皆に断られてしまう。
「このようなところで置いて行かれても何の伝手もない私たちでは身を売るしか生計をたてることはできません。どうかこのまま連れて行っていだだけないでしょうか!?」
と言われてしまってエルマンドは解放を諦めた。奴隷商に売ることはできないエルマンドは村人を逃亡者の村へこっそり連れていき手伝いやメイドのようなことを覚えさせ、幼い子供は孤児院へ預けることにした。
他の村でも同じように村人を引き取るよう頼まれては逃亡者の村へ連れていきを繰り返すようになっていった。
少し中途半端なところのような気がしますが、今回はここまでで。
ホムンクルスの実用は後ほど、プロトタイプなので色々不具合が出そうな感じですが。