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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
建国編 ~孤児時代
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82.孤児院

しばらくは逃亡者の村と南村の話が中心です。

 この世界では奴隷がいて、奴隷を売買する奴隷商人は基本的にはいい印象を持たれない。中央大陸西部では長く紛争が続いていたためか、奴隷が多く、その分奴隷商人も多い。当然その中には様々な奴隷商人がいて戦闘奴隷、戦争が関係して生まれることが多い犯罪奴隷や借金奴隷といった正規の奴隷だけを扱う奴隷商人もいれば、貧しい村から誘拐同然にして攫って奴隷にするような奴隷商人もいる。前者は上級奴隷商人として領主や大商会を主な顧客としているが、後者は見つかれば当然犯罪者として追われることになる。



 逃亡者の村にはそういった奴隷商人から逃げてきた逃亡奴隷の他にも犯罪者として追われた奴隷商人もいる。ただ、そのような奴隷商人は逃亡者の村ではさらうような真似はしない。なぜならそのような真似をしても奴隷が売れないからだ。正確には売れても自身も犯罪者であるため足元を見られ、そもそも見つかれば自身の命が危ない。それがわかっている者は逃亡者の村で静かに暮らし、わからない者は街への途中の道で始末されたりした。


 逃亡奴隷や犯罪者が多い逃亡者の村だが、男女いるため、何かのきっかけで子供が生まれることはある。しかし、お互いの経済状況の結果であったり、そもそも望まれていなかったりといった理由で捨てられる子供も多い。


 逃亡者の村から20kmほどの南村。そこまでの道は整備されているわけではないが、人の出入りのためか道は比較的歩きやすく、魔物はなぜか出ない。(村の人は不思議に思っているが、これは僕が周囲の魔物を狩り、魔の森の魔物が外に出ないようにしているため)

 そのような道であれば、半日ほど歩けば着くため比較的お互いの村を行き来しやすい。

 

 南村には孤児院がある。元々は何か集会に使おうとしていたのか、子供であれば100人くらいは入れそうな建物だ。実はここ、メイドのシャールさんとエルフ型ダンジョンマスターのクナが餓死する子供をただ見ておくことができず、逃亡奴隷を装った女性のハーフエルフを数体送り込んで作った孤児院だ。夜はシャールさん率いる幽霊ゴーストのダンジョンメイドが人知れず警備しているという場所でもある。


 この孤児院の存在は逃亡者の村でも広まり、孤児が集まるようになっていく。



 家族と共に行商をしていたエルマンド。その周囲は集めた行商人や護衛の傭兵たち、運搬兼護衛のウルフたちがいて比較的大所帯で移動している。そうすることで盗賊や魔物の襲撃の確率を減らし、かつ比較的大量に物を運ぶことができていた。

 そんなエルマンドは逃亡者の村の噂を聞きつけ、行商に行ってみることを決意する。



 逃亡者の村から都市連合ユニオン側へ一番近い村でも約50km以上はある。以前は途中に村があったのだが、時が流れ、人がいなくなり、魔物にも対抗することはできず消えた村だ。そうなると道は荒れ、魔物も出ることから行き来がより難しくなる。1日中歩き通して着けるかどうか?といった具合になる。仮に魔物に対抗するため大人数で向かうと、魔物からは見つけやすく、ゴブリンなど知能の低い魔物には良い獲物に見えるため、逆に襲われる率が上がる。撃退しても今度はその隙をついて大型種やウルフ系の大集団に襲われる。そのため大人数での移動はできない地域だ。追っ手などが少数精鋭で来た場合は僕が気付くのでギガゴブリンなどの精鋭で対処するようにしている。そういった環境は逃亡者たちにはありがたいのだが。



 エルマンドは近くの村でそういった話も聞いていたため、家族だけの少数で向かうことにした。狼車であれば比較的速く移動できるためゴブリンたちにも見つかりにくいだろうと考えての行動のようだ。実際特に問題はなく半日くらいで逃亡者の村へ到着する。



 逃亡者の村へ来たエルマンドであったが、行商自体は失敗に終わる。なぜなら村で自給自足が成立しており、お金を持っていないためだ。だが、エルマンドは作物の品質は比較的良く、都市連合ユニオンでは珍しい作物があることに目を付け、なんとか売ってもらおうとする。自身が食べる分で精一杯村人たちは売ることを渋り、それでもあきらめないエルマンドは物々交換と言う形でなんとか手に入れることに成功する。そしてエルマンドは元の都市へ戻っていく。そこでまた一儲けできたエルマンドは定期的に逃亡者の村へ来るようになる。


 その後、エルマンドは奴隷を買うようになる。それもそのままでは廃棄処分として殺されるような五体満足ではあるが売れ残りの奴隷を。戦闘奴隷も買い、逃亡者の村へその奴隷たちとやってきた。狼車であれば半日で着くので特に魔物に襲われることもなく。

 そしてエルマンドは逃亡者の村で1軒家を手に入れ、その家に奴隷達を住まわせ、あるものは護衛として、あるものはお店の切り盛り、あるものは家の掃除を、といった具合に仕事を与えた。

 売れ残りの奴隷は幼い子供が多く、仕事はできない。その時エルマンドは南村の話とそこにある孤児院の話を聞く。

補足として、エルマンドは奴隷商人ではありません。普通の雑貨、日用品、一般的な食料や調味料などを売っています。

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