72.勧誘活動
投稿忘れておりました。すいません。
奴隷状態のエルフ型女性ダンジョンマスター、クナを発見した僕は必要になりそうなものの準備を終えて、その日の夜に逃亡者の村へ『転移』した。クナはこの村に来たばかりで家などはない。逃亡者の村に宿屋のような宿泊施設はない。空き家を見つけるか、どこかで野宿をしないといけない。『不老』で食事の必要がないのは大いに助かったことだろう。食事ができるようなところもないし、食べ物を買えるところもないので、誰かにもらうか、自力で見つけるか、作っている人のところへ行くしかない。盗めばこの村を出なければいけない。
僕が見つけた時、クナは野宿をしていた。宿泊施設もなく、お金もない。女性1人の野宿は危険だが仕方がないところ。似たような境遇だろう女性たちの近くで寝ることにしたようだ。僕はいつも街に行くときの子供の姿で近づき、声をかける。
「ねえ、お姉さんはここに何しに来たの?」
「‥うるさいガキ。あっち行け。寝れないだろうが」
鬱陶しそうな目で言われた。…グスッ。
仕方ない。真面目に行くか。周りも見ているような人はいないようだし。
「話くらい聞いても良いのでは?ダンジョンマスター、クナ」
「!!‥‥アンタ何者だ!?」
「そう大きな声を出さない方が良いですよ。周りが注目しますから。僕はあなたの敵ではないですし、こちらの話さえ聞いてもらえたら寝床くらいは用意しますよ」
「‥わかった。どうせこちらに選択肢はない。…場所を変えよう。どこか良い場所があるか?」
僕たちは一旦村を出て、僕の『転移』にて移動する。
「‥これが『転移』か。ここはいったいどこだ?」
「ここはクナがいた村から南に約400kmほどのところで、先ほどの村から、南にある村からも見えない位置にある」
「ちょっと、400kmってとんでもない長距離じゃない!?」
「そうだけど、ここも僕の領域の範囲内だから。周りに人はいない。野生の魔物はいるけど。僕のダンジョンの入り口も北にある。ここなら誰にも邪魔されず、話ができる。そのための小屋も用意したので、どうぞ」
ということで、簡素な小屋も建てた。布団とかはないが、野宿よりはマシでしょ。簡素なテーブルと椅子は置いた。その椅子にお互い座ると
「まずは自己紹介します。僕はこの周辺でダンジョンマスターをしています、ダンジョンマスター100番、イオです」
「あ‥、えーと、知ってるようだけどクナよ。ダンジョンマスターとしては97番。だからあなたとは同期ね」
というクナ。これでどこかで見たことあるなと思っていた疑問が解決。最初の魔神様との謁見の時に一緒にいたマスター10人の中の1人だった。しかし、同期の割には能力値が低い。そんなことよりも状況の確認をしないと。
「まず、あなたの状況を確認させてください。ダンジョンコアはしばらく無事でしょうか?」
「‥‥わからないわ。少なくとも今の私の手にはないし」
「どこにあるかは予測が立つのでは?あなたの元いたダンジョン内でしょうし」
「‥実は、ダンジョンコアは元のダンジョン内にはないわ。取られたし、今私が生きているから無事ではあるのでしょうけど」
「そうですか。それなら、今この時にコアが破壊される可能性もあるということですね?」
「そうね。おそらくはまだしばらく無事でしょうけど」
「コアが手元にも、ダンジョンにもない。取られたのにも関わらず、しばらくは無事ですか?どういう状況かわからないのですが」
「コアを持っているのが人間ではなく、ダンジョンマスターだからよ。相手もコアの重要性は理解しているわ。もっとも、不要になれば破壊することもあるでしょうけど」
「‥ならば、早速で申し訳ないのですが、僕と契約すれば新たにダンジョンコアを差し上げますので、契約しませんか?」
強引にでも勧誘していくスタイル。誘拐では?とも思いました。