62.主人公、狼車に乗る
ワールハイト観光です
なんとかお金を手に入れた僕は、『狼車』に乗ることにする。と言っても、買うわけではない。金貨8枚程度で『狼車』は買えない。
ここワールハイトでは一般人用に定期的に運行している『狼車』でワールハイト内を移動できるので、それに乗るのだ。
料金は1人大銀貨3枚、あとは荷物の量に応じて金額は上がる。間近で見て、乗ってみて作れそうならダンジョンで作るつもりだ。ダンジョンマスターならモンスターならば言うことは問題なく聞かせることができる。色々見て、早速乗ってみる。
当然だが、子供が1人で『狼車』に乗ることは珍しい。大銀貨3枚はなかなかの大金なのだ。記念など、何かないと一般人は乗れない。つまり‥‥
チラッ、チラッ
周りからの視線を感じている。ちなみに、『狼車』の車体は馬車のような半楕円のほろがかけられているものではなく、四隅を棒で天井の布を屋根として支えているようなものなので、周りがよく見えるが、歩いている人からも見えるわけで‥。
チラッ、チラッ
『狼車』の周りを歩いている人にも見られながらの移動となっている。子供の姿で来たのが裏目に出てしまった。
目的地に到着したので降りる。乗り心地の感想は……思った以上に揺れる。サスペンダーとかもなく、道も舗装はされてはいるが、技術的な問題か、石畳でもなく、ただ土を平らになるようにならしただけ。しかも小さいデコボコがあるため、それで揺れる。
僕の目的はずばり“米”である。稲もほしいので西部にて一緒に買うつもりだ。農家の人に売ってもらうように話をしたら、少しなら売ってもらえるとのことで、無事購入した。これでダンジョンで育てることができるようになる。
今回の目的は全部達成したが、時間とお金が余ったので色々見て回ることにする。
ワールハイト南部では、農業中心だがそこから東に行くにつれて、魔物素材や鉱物を使う工房が立ち並び、その合間の建物は傭兵や採取者たちのアジトとなっている。南門へ向かう大きな道と東へ向かう大通りでは屋台やら出店などが立ち並び、様々なものを売っている。食べ物ももちろんあり、野菜や魔物の肉を使った料理などが食べられる。
例えば、オーク肉を使った野菜炒めやロックバードというくちばしが固い鳥や飛べないが地上を速く走るランニングチキンの肉を串で刺し、網で焼いた焼き鳥や、頭に角を生やしたホーンラビットというウサギのスープ、2本の固く大きな角が特徴で肉が非常に美味として人気のあるブルホーンという牛を使ったステーキなど、肉料理はすべて魔物の肉を使うしかないが、どれも非常においしそうなにおいを漂わせている。
魔物の肉は強くなるほど魔力がこもり、よりおいしいとのことだ。その分、狩るのが困難になるため、高値で取引されている。
ワールハイトは近くで狩れる分、移動費もなく他の街より安く手に入れることができるから屋台でもなんとか出せる値段にできるのだろう。それでも他の屋台よりは格段に高いが。
東側に行くと大小様々な傭兵団のアジトがある。帰ってきた傭兵は各々のアジトで暮らしていることが多く、アジトで、獲物をさばいたり、持ち帰った素材を売ったお金を分けて給料としている。そのため、規模に応じてアジトがでかくなる傾向があり、大きなところは数件のアジトを所持している。中には傭兵同士で結婚し、子供を育てているところもある。
そのため、この辺をうろついている子供はどこかの傭兵の子供が多い。僕は大きな通りしか歩いていない。小さい道に入ると何があるかわからないからだ。
ある程度人気がないところへ行き、隠れたところで『転移』してダンジョンへ戻りドッペルゲンガーの試運転を終わらせる。楽しかったので、また今度行こうかと思う。もちろん別の街にも。これなら色々工作もできそうだし。
これからはダンジョン内で食用としてもモンスターを育てていこう。ただ、管理するモンスターが必要なので、しばらくはゆっくり進めていくことになるだろうけど。
裏設定では主人公は基本優秀だが、変なこだわりがあり、そこで失敗することあり。となっております。




