58.サミーとの話
前回の話からどうやらサミーは何やらやらかして逃げてきたようです。
サミーの態度から、サミーは僕のダンジョンに遊びに来ているだけだと判断した僕は、情報収集と言う名の雑談をするため、サミーに話しかけることにした。
「サミー。前から気になっていたんだけど、僕のダンジョンの東の山脈にサミーのダンジョンがあるよね?その先は何があるんだ?」
「ん??ああ、‥そうだなぁ。何から話していいかわからんが、まず俺のダンジョンの東側、つまりイオのダンジョンからすると俺のダンジョンを超えた東側には“世界樹”と呼ばれているでかい樹があって、その周囲は森なんだが、その森の中にエルフの国がある」
「ふんふん」
「そのエルフの国を治めているのがダンジョンマスターなんだが‥」
「!!!」
「すげー阿呆なんだ」
「??」
「エルフ型のダンジョンマスターなんだが、プライドが高いのか、とにかく他種族を見下しているやつで、エルフの国の南は荒野でドワーフやら獣人が中心に住んでいるんだが、『ドワーフ、獣人は我々エルフの下僕として生み出された存在だから』と言って見つけて、捕まえ次第奴隷にしたり、無茶苦茶しやがる」
「ほーっ!」
「俺のダンジョンには『そこにある鉱物資源などすべての資源は元々我らエルフのものだから、持っていくのは当たり前だ』とか抜かして、配下のダンジョンマスターに取ってこさせようとして、よく手を出してくる」
「それ、めんどくさいな」
「そうなんだよ、めんどくさいんだ。本人は俺と戦っても勝てないのはわかっているから、手下を使うし。文句言えば、『配下が勝手にしたこと』とか抜かすし、頭来る」
「大変だね、サミー」
「おう。頭にきて、手下を何人か潰したら、しばらく大人しくなったけどな。ざまーみろ」
「ハハハッ。サミーらしいね」
「おう。そんなやつだからエルフの国の北にある女神教の国とは犬猿の仲と言ってもいいくらい仲が悪いんだよな。まあ、元々女神教の国は、人族以外はすべて“汚物”もしくは“下等存在”として奴隷にするか殺すかする国だけどな」
「ひえー!!」
「そんなエルフの国だが、不思議なことに北西にあるリュート神聖国とはそれほど仲が悪いわけではないんだよな。隠れて細々と取引もしているみたいだし。まあ、リュート神聖国はエルフたちや獣人、ドワーフなどを“友人”として対等に扱っているが」
「ふーん」
「それと、俺も見たことはないが、女神教の国の北が山脈になっていて、その北が大雪原と言われる極寒の平原らしい」
「へー!」
「なんでも、雪が解けず、さらに北に行くと1日中朝の地があるという話らしいぞ」
「ほうほう」
「ただ、そこへの道は険しくて、モンスターも出るらしいし、まず人間ではたどり着けないだろうな」
「そうなんだ」
「っと、俺が知ってるのはこんなところだな」
「ありがとう。ちなみにリュート神聖国ってどんな国なんだ?僕も名前だけは聞いたことがある」
「うーん。リュート神聖国か。……とりあえず、まず間違いなく、俺らがいるセントリクス大陸最大の国だな。かなり発展している国だ」
「やっぱりそうなんだ」
「おう、今度機会があれば行ってみればいい。だが、リュート神聖国は女神教の国とは常に戦争状態と言ってよいほど仲が悪い。そこらへんは気をつけろよ」
「そもそも領域外だから行けないよ」
という僕とサミーの会話でした。僕の必殺、はひふへほ対応法(笑)が炸裂しました。ただ、色々地形やら大まかな地図はわかったし、今いる大陸の名前がセントリクス大陸っていうことすら知らなかったよ。まあ、どこかで使う時がくるかもしれないし、情報収集としては良かったと思う。
ちなみに、僕のダンジョンから徒歩で東の山脈を超えようとする場合
① サミーのダンジョンを通る
② 街道沿いに北へ進み、中継地点の都市カルナチョスから街道沿いに東へ進み、海と山脈がぶつかるところにある“5本川”と呼ばれる5本の大河を渡る
の2パターンだが、どちらも滅茶苦茶距離があって、この世界ではまず1月以上かかるという大移動になる。何かしらの移動手段は必須である。…開発しないと。
その後サミーは
「あなたはここで何をやってらっしゃるのでしょうかね?」
という目が全く笑っていない笑顔のレミーさんに見つかり、自分のダンジョンへと問答無用で連行されていくのであった。
というダンジョン東側の状況でした。次回は西側の状況を




