57.竜、龍、ドラゴン
サミーとのダンジョンバトル終了後すぐのお話です。
サミーとの壮絶な?ダンジョンバトルからしばらくして僕は新たに仲間となったドラゴン系の繫殖と研究をしていた。
ドラゴンたちは基本雑食だが、肉が好みである。ちなみにゴブリンやオーガの肉は好きではないらしく、主にウルフ系やオークたちが犠牲になっている。南無。
その成長は緩やかで、レベルアップにも他の種族と比較して必要経験値は多いが、ダンジョン内の生存競争を勝ち抜くには十分な成長力を見せている。
進化条件はステータスとどれくらい生きてきたか?というのが条件で、生まれてから50年しないと成竜となる条件を満たさないことがわかった。サミーが言うには
「生まれて1000年しないとエンシェントと呼ばれる“龍”にはなれないんだ」
だそうだ。
今回戦った属性竜たちも属性竜の中では下位に位置し、竜の中ではまだまだ大人になったばかりということだった。それでこの強さなのだから上位は推して知るべし。
ただ、これでステータスが必要な値になっても、進化はしないことがわかったので、ダンジョンの戦力強化には1000年待つか?と言われると「否」、断じて「否」と答える。
ダンジョンマスターが持つスキルがあるから、それで対応可能であるので。時間を金で買うならぬ、DPで買うというやつですよ。
方法は『眷属進化』を使う。『眷属進化』はダンジョン代行者、メイド、執事、守護者などのダンジョンマスターの補佐をする役職モンスターをステータスが条件を満たしていれば進化させることができる。
ダンジョン代行者、メイド、執事はなれる種が決まっているため今回は除外。ダンジョン守護者とする。
ダンジョン守護者はダンジョンの1階層当たり1体と上限があるので、本来はむやみやたらに設定できないが、僕はダンジョンコアLV5の時にダンジョンコアを生成可能になっている。今回はドラゴン進化用のダンジョンを作り各種ドラゴンをダンジョン守護者とした。1度進化させてしまえば、あとは召喚可能になるので召喚により呼び出せば完成である。
例として光属性ドラゴンのライトドラゴンを挙げると、必要ステータスを満たした個体をダンジョン守護者にする。そして『眷属進化』を使い進化。上位属性竜のサンダードラゴンとした。
今度は召喚陣または召喚石でサンダードラゴンを呼び出せるようになるというわけである。
しかし、この方法すさまじくDPを使う。
ダンジョンコア作成、ダンジョン作成でのDP消費は今後も生かせるからいいとして、ダンジョン守護者への設定、『眷属進化』で50万ほどDPが飛び、召喚陣での必要ステータスを与えた上で召喚となると数百万ほどDPがかかる。サンダードラゴン1体召喚に1000万ほどDPを使ってしまった。
下位竜からの進化でこの消費とはドラゴン族恐るべし。これはドラゴン軍団を作るのにいったいいくらDPが必要になるのだろうか?というか、上位の“龍”を生み出すのにいったいいくらかかるのだろうか?
などと考えつつ、ドラゴン用のダンジョンにドラゴンを住まわせ、適度にエサとなるモンスターを召喚石で永続的に召喚できるようにした。その他環境を整え、戦力になるドラゴンのみ、こっちの本来のダンジョンへ移すこととした。ああ‥、DPが湯水のように消えていく‥‥。
こうしてドラゴンたちの様子を見に来たら、たまにだが‥‥
「これだけドラゴンがいると壮観だな。みんな元気そうだ」
「何やってる。サミー?」
‥‥サミーが遊びに来るようになった。
通常ダンジョンマスターは自領域以外には行けないが、隣接する他領域ならば移動可能なのだ。特にうちとは同盟を組んでおり、直接攻撃は不可だが、転移も許可しているので気楽に来やすいということもあるのだろうが。
「何って‥、見りゃ分かんだろ!?ドラゴンたちの様子を見に来てんだろうが!」
「そうか。僕はてっきり、また何かやらかしてレミーさんに怒られるのが嫌で逃げてきたのだと思っていたよ」
と言うと、サミーは目が泳ぎ出し、別の方向を向いて‥
「バカなことを言うな。そんなわけあるか」
と力なく言うのを見て、僕は状況を理解し、まためんどくさいことが起きそうだな、とため息をついた。
この世界では子供の竜を『幼竜』、成体を『竜』、歳を1000年以上重ねた古竜を『龍』、これらすべてを『ドラゴン』としています。
ちなみに、ギガモンスターのドラゴン型であるギガドラゴンも存在しますが、『竜』なのか『龍』なのかは年齢でのみ判断しているということになります。ギガドラゴンは今後どこかで出したいのですが、『龍』のギガドラゴンは主人公は持てそうにないので、敵になりそうな感じですね。もしくは最終盤まで出ないか‥‥。