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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
ダンジョンマスターたち
53/287

53.腐食湖

ドラゴンやらかします。

 うちのダンジョンの9階層は広大なフロアとなっており、10階層への階段は1つしかない。また9階層には腐食湖という腐食性の液体とその気化した毒ガスが出る湖があり、普段はそこに適応したスライムや狼がいるが、今回は攻める部隊の特殊部隊として待機してもらっているため不在。アンデッドのみがいる。明かりは壁が薄っすら光っており、明かりがなくても行動に支障はないくらいだ。

 しかし、この腐食湖、火気は厳禁である。




 なぜならこの毒ガスは爆発性なのだ。



 

 案の定、炎のブレスを吐いて爆発に巻き込まれるドラゴンが続出。いかにドラゴンの鱗が強靭とはいえ、この規模の爆発ではダメージを受ける。腐食湖に近いものは死に。死を免れたドラゴンも毒ガスによりダメージを受けて弱っていく。唯一元気なのが毒に強いパープルドラゴンなのだが、爆発はどうにもできない。

 そうして援軍にさほど意味はなくなり、大幅に数を減らしたドラゴンたちはなんとか10階層への階段を見つける。

 この間フェアリードラゴンは危険を察知し、逃げていたが、ほぼフロア全体の爆発とそれによって拡散された毒ガスに巻き込まれ、数を2体まで減らしていた。

 そして、サミーレミー夫妻はその様子を呆然として見ていて、



「こんなところで火なんぞ吐くな。アホども~!!」


 とサミーは頭を抱えて怒っていた。さらに



「イオ、なんだあのトラップ。毒だし、爆発するって。どういうことだ!?あんなトラップ設置できないだろ!?」


 と言われた。確かにトラップとして直接購入・設置はできないが。



「爆発性の猛毒って、火山にはめずらしくないだろ?そもそも、あの湖はダンジョンの上にある街やダンジョンからの排泄物、老廃物などを貯めて、少し魔力的に処理したものだから、元々トラップのつもりはなかった」


 と返しておく。硫化水素と水素の混合物だと思うけど、火山ではめずらしいものではない。それを、火山を住み家としているドラゴンたちが知らないというわけがない。

 サミーは



「それはわかるが、こんなにやられるとは思っていなかった。…アホどもめ」


 と言っているが、そうだろう。なんの考えもなしにいきなり炎のブレスなんぞ吐くからだ。しかも上の階にいれば避けられたが、みんな降りてきていたので、いくら広いフロアといっても逃げ場がなく、どんどん爆発に巻き込まれ、やられていく有様。

 いくら竜の鱗が固いといってもこの規模の爆発はどうにもならないようだ。


 一部溶けている竜もいるが、おそらくは水ブレスの影響だろう。爆発、炎を防ごう、消そうとして水ブレスを吐いたが、酸化硫黄に水が反応して硫酸、しかも、予想だが、魔力を触媒として発煙硫酸という最強の酸ができて、それを浴びたのだろう。

 化学工場の火災では水は厳禁なんだよ?かけても消えないし、下手すると余計燃えるか爆発するから。

 自分たちで被害を大きくしているよなぁ。ドラゴン部隊。



補足しますと、硫化水素から酸化硫黄へと酸化させるためには触媒が必要です。それがこの世界では魔力で行えると言いたいわけです。

実際のところ、発煙硫酸は取り扱いには免許が必要です。最強の酸の1つなので用途は広いのですが、取り扱いには十分な注意が必要なためです。

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