52.フェアリードラゴン
しばらくはサミーたちドラゴンのターンです。
いつ5階の隠し通路が見つかるかドキドキ、そして早く見つけてくれとイライラしつつ様子を見ていたが、結局、このおバカドラゴンたちは隠し通路を見つけられず3日目を迎える。その前に僕は一向に動きもなく、眠かったので、
「道が見つかったら起こして」
といって寝ることにしたが。
さて、朝を迎えたところで、サミーのダンジョンの上の入り口から、30cmくらいの蛇に羽が生えたようなドラゴンが数体出てきた。
僕はサミーに
「あれが噂のフェアリードラゴン?」
と聞いてみたら、
「ああ、そうだ。しかし、判断が遅すぎる。ゴンソルは終わったら鍛えなおしだな」
という答えが返ってきた。
フェアリードラゴンたちはなぜ飛べるのか不思議な大きさの羽をパタパタと羽ばたきながら、3つに分かれて、うちのダンジョンへと侵入。どうやら、魔力と風を薄く広げることで罠や隠し通路の感知をしているようだ。
うちのゴブリンシーフたちは自分の目に見える範囲と1フロアは集中しないと探知できないから、フェアリードラゴンのような長距離かつ高速の探知能力は使い勝手がよさそうだ。
そして、しばらくして5階層へと到達。この間、探知済みのようで、道を探してウロウロしているドラゴン隊の横をフワフワ飛びつつコアルームへと入り、隠し通路をふさぐ壁に尾でペチッと攻撃して穴をあける。ガラガラと崩れる壁を見て目を丸くするドラゴンたち。
その横で
「ヘプチッ」
とくしゃみ?をしているフェアリードラゴン。
やっと6階層への通路が見つかったのだ。
元々、少し小突けば崩れる壁で覆っていただけで、そんなに厳重に隠したわけではなかったので、当然なのだが。むしろ今までかかりすぎで、こっちの予定も狂ったよ。
それから、ドラゴンたちは6階へどんどん降り始める。6~9階層は様々な道に分かれており、今回出現するモンスターはアンデッド系、人形、ゴーレム系で統一している。それぞれ今までの上位種ではあるが、ドラゴンたちには歯が立たない。
石から生まれたストーンゴーレムでは殴ってもドラゴンにはほとんど傷は付けれなかった。鉄から生まれたアイアンゴーレムではなんとか傷がつき、数体倒したといった具合だ。
ちなみに鉄は純度がそれほど高いわけではない。鉄鉱石が採れる鉱脈にゴーレム核を放り込んだだけだから。製鉄技術があればもう少し強いゴーレムが生まれるのかもしれないが。
しかし、このタイミングでドラゴンたちに援軍が来る。ライトドラゴン、ダークドラゴン、それに毒竜ともいわれるパープルドラゴンたちが合流したのだ。
属性竜の中で火水土風の4属性の竜たちより光と闇の属性竜が1つ格上に位置づけられている。パープルドラゴンは鉄すら腐食させるという猛毒のブレスを吐く。
ゴンソルはこれで今までの遅れを取り戻そうということらしい。
フェアリードラゴンの援護もあり、6階層へ降りた竜たちはいくつもの道に分かれ、多少数を減らしたものの9階層へ降りる。そこでドラゴンたちはまたやらかす。
次回、ドラゴンたちはやらかします。盛大にやらかします。
脳筋ドラゴンたちの運命は!?




