41.今回の行動についての思惑と狙い
西の森へ入ったギガゴブリンはそのままダンジョン内へ戻っています。
彼にまた出番がくるのは、もうすぐ先になりそうです。
さて、今回このように南ラドの村、ラドの街を滅ぼし、制圧隊も壊滅させたわけだが、ダンジョンとしてはダミーコアが壊されたくらいで、さしたるダメージはないにも関わらず、なぜここまで反撃したかを説明しないといけない。
‥でないと、どこかのメイドが
「やっと主様も決心なさいましたね。これからもわがダンジョンに仇なす人間どもを血祭りにしていきましょう」
などと言い出したから。
僕は別に人間に恨みがあるわけでも、快楽殺人者でもないよ?
僕がこの世界に来て、色々な領主を見ることができるようになって、ワールハイトくらいの規模の領主はまあ、まともだと思う。近隣の村などから救援依頼があっても断ったりしているが、それにしても自分の街以上のことをすれば、自分の街が滅びることをわかっているからのようだし、1領主としては悪くないと思っている。
だが、他はというと、マリンガはまだ範囲内ではないのでよくわからないが、周りを自分のものとしているが、統治は本人まかせで何かあっても対処しない。税だけもらうみたいな、よくわからない政治だし、他も自分の富を増やすことだけが目的で、そこに住む人の暮らしなどは考えていない。ラドの2人に関しては、住民は生かさず殺さずだったから。ひどいもんだよ。
僕はこの世界でのんびり穏やかに暮らしたいが、生活環境を現代日本並みは無理だが、せめてできるだけ近づけたいと思っている。そのためには街の発展が必要不可欠だが、数年、ラドの街周辺を見てきたが発展する気配がないことに気が付いた。現代世界の発達力は高度な基礎、基盤の元に成り立っているということがよくわかったよ。
話はそれたが、街が発展する気配がない理由としては、領主の問題が大きいと感じている。住民が住みやすく、豊かな生活にするどころか領主とその取り巻きがその生活を奪っているでは話にならない。そのためこの機会に領主の排除をしたかったことが1つ。
あと、このダンジョンが有名になってきたことがある。森を迂回してワールハイトまで噂として話が行っているし、マリンガも手を出してきたくらいだ。危険回避のためには認識されないことが1番だ。
そろそろダンジョンとして死ぬ時がきたと思っていた。もちろん本当に死ぬわけではなく、そう見せかけること。“ここにダンジョンはなくなった”とそう周りに思わせないといけない。ミステリーで犯人や黒幕は死んだことにしておくと非常に見つかりにくいのと同じことだ。
今回、ダミーコア破壊後、地上部分はダンジョンの影響下ではなくした。監視はできるが、土地には魔力による補強は一切なくした。つまりこれからはここに住む者たちで畑を耕したり建物を建てたり、何かを植えたりしないとまともに住めなくなる。
これでここら土地の旨みがなくなり、ここを優先的に狙う必要はなくなった。マリンガも今回のはかなりの痛手のはず、特に英雄が2人とも永久的な戦闘不能になったこと。つまり英雄という対魔物戦力の喪失は周囲にも確実に影響を与える。しばらくはもう一度ここを攻めるような余裕はできないはずだ。
ダンジョンの見える入り口も潰したし、時が経てば、いずれは見つかるかもしれないが、早くて数年、できればずっと見つからずにいけるといいね。
これで僕は魔法、その他の研究に専念できる。ダンジョンもさらに力を蓄えることができる。DPに余力がある限りのダンジョン領域の拡大はしていく。魔力の隠蔽もできるようになって、さらに気づきにくくなった。今までは魔力の“揺らぎ”のようなものがわかる人はわかるようで、違和感を与えていた。
残った街はこのまま住民たちに任せることとする。スラムと化している街がどのようになっていくのかはわからないが、こちらの準備が整うまでは手を出す気はない。だけど、僕は今後も街の統治なんて面倒なことはする気は一切ないと断言しておく。ぼくが「これは」と思う人物に任せるつもりだ。
それまで影に潜むよ、僕は。どのくらいかかるのかはわからないけどね。まずは衣と住をなんとかしないと。足りないものが多すぎて何から手を出せばいいかわからないけどね。遊びも欲しいなぁ
ここまでが自分の構想の中での既定の展開でした。次回からはダンジョン運営は変わらないのですが、他のダンジョンマスターが出てくることとなります。
お盆と話の展開からここで少し休みを入れ、次回更新は8月20日からとさせていただきます。