37.ギガモンスター
主人公久々の登場です。
「行ったね」
「逝きましたね」
と、僕とシャールの会話だが、今いる場所はいつもの僕のプライベートルームだ。
なぜ、ダンジョンコアを壊されたのにダンジョンマスターたる僕が生きているのか?
ダンジョンマスターとダンジョンコアは連動している。マスターが死ねばコアは力を失い、ダンジョンは死ぬし、コアが壊されるとマスターは死ぬ。今回ダンジョンマスターである僕が生きているということは、“コアは破壊されなかった”ということである。
今回使ったのは、ダンジョンコアのダミーで、この前コアのレベルアップで使えるようになったものだ。
このダミーコアは、見た目はダンジョンコアと全く同じだが、それだけである。機能は全くない。それを今回5階に置き、壊されたとき5階以上がダンジョンコア破壊時と同じになるように設定したのだ。
現在僕のダンジョンは全30階層まで拡張された。今後のことを考え拡張したので、まだモンスターがいない階層などもあるが。5階のダミーコアが置いてある部屋から隠し通路で先に進めるようになっている。
今僕がいる部屋から5階まで歩いて5日ほどかかる。なので、仮にバルダたちが隠し通路を見つけても食料の関係からここまでたどり着くのは不可能だった。当然モンスターも強くなっている。特に11階層以降の階層は上位種のための階層としている。上位種といっても今は、ほとんど種類がいないけど。
‥この前散歩がてら20階まで歩いてみたけど、自分の部屋に戻ってくるのに1週間かかったよ(笑)ダンジョンマスターだから何の問題もないけど、普通ならまず間違いなく餓死するよ。ダンジョン攻略には専用チームが必須だと思ったね。
ああ、もちろん、モンスターたちが街を襲っているのは野生化したからではなく、そういう命令をしたから。
「主様、あのゴブリンは何なのですか?あのような巨大なゴブリン見たことも聞いたこともないのですが?」
と言うシャールさんにコアからの説明を伝えようと思う。
ギガモンスターと呼ばれるモンスターがいる。それらは様々な種類がいるが共通の特徴として、ステータスの上りが大きいこと、そして巨体であること。スキルや魔法の範囲が大きくなること。その分大量の食料を必要とすること。普段はほぼ寝ていることがある。
誕生法は人間たちの中では諸説あるようだが、ダンジョン内で起こる魔力の集積による種族の突然変異であるようだ。
そして今回出てきたのはゴブリンのギガモンスター。ギガゴブリンである。
「‥というわけで、ダミーコアがやられると、ギガゴブリンは起きてきてダミーコアを壊した者とラドの街の領主の館を中心に、普通のゴブリンたちは南ラドの領主館を攻撃するように命令してある。もちろん、攻撃されたら反撃するようにもね」
「なるほど。しかし、英雄すらほとんど無傷で倒したりと異常な強さだと思うのですが?」
「元々、バルダの能力が高くはなかったというのがあるけど、ゴブリンソーサラーの力を受け継いだゴブリーナとゴブリンモンクの力を受け継いだホブゴブリンから生まれているから格闘術と攻撃魔法が使える。しかもギガモンスターの特性で1つ1つの威力、範囲がけた違い」
「それはわかったのですが、英雄の動きを止めた最後のはなんですか?」
「ああ、それは<咆哮>というスキルだね。なんでも聞く者の三半規管‥‥要はバランスとか動きを司る部分に干渉して短時間、動きを止めるらしい。ふつうはあんな範囲にならないけど」
前の世界でRPGとかよくやっていて、最凶の状態異常って動きを止める系だと思っているんだよね、ぼく。毒とかは厄介だけど、時間かかるし、即死系は強いけど普通そんなにかからないようになっている。混乱、魅了系は1対1ではほぼ効果なし。もちろん、状況などによってはこれらの状態異常も使えるし、脅威になるけど、麻痺とかは当たればほぼ即死だし、短時間の行動不能にする妨害系は色々使い方の幅が広い。かつ警戒して、対策していないと良く効く。この世界に防御力のステータスがないのだから、動きを止めてしまえば、ほぼ詰みとなると思う。
罠、奇襲のコンボを封じられたら、状態異常で倒す。
しかし、このダンジョンほぼ攻略不可能ではないかと思っています。