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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
エルマンド帝国 黎明期
286/287

286.イオ宰相の死

すいません。投稿忘れていました。



 ここはエルマンド帝国皇帝であるエルド陛下の義兄弟であり、元宰相であるイオ・エルマンドの晩年過ごした家である。彼は25歳の時、エルド陛下はじめ、ごく親しい仲間に見守られながら息を引き取ったという。




 イオ・エルマンドは宰相を退いたあと、皇帝に次ぐ位の侯爵位として過ごしていたが、最後まで家族はいなかった。今後彼が持っていた侯爵位、財産その他は皇帝家預かりとなり、爵位は適当な者が現れた時に贈られることになる。


 その日は快晴であった。イオ侯爵の家に知らせを受けてエルド皇帝、ルル皇后、ライド騎士団長、ノフス大将軍と錚々たる面々が駆け付けていた。



「イオ侯爵はもうすでに目も見えず、話をすることができない状態です。あと数分かと」



 そういって、医師は一旦席を外す。


 イオの身体は25歳とは思えないほど老い衰えていた。毒無効まで耐性を獲得できておらず、魔力毒の影響をわずかながらも受け続けていたこと、そして、病気による耐性は持っておらず、癌には勝てなかったのだ。



「お前がわが国の礎を作ってくれたのは間違いない。その功績は末代まで記録に残る。安心して眠ると良い」



 エルド皇帝はそうイオ元宰相に声をかける。それは最大級の誉め言葉だ。


 そうしてエルマンド帝国初代宰相イオ・エルマンドは25歳の生涯を閉じた。その葬式は国を挙げてのものとなり、国葬に臥されることになる。




 ここまでは史実。実際はイオ元宰相の死の後すぐ‥



「イオ~!」

「ウワーン!」



 イオの死に名前を呼び掛けたり、泣いたりするエルドたちの後ろの扉から



「ん?呼んだか?」



 ひょっこり現れる7~8歳と思われるイオと全く同じ姿の子供が部屋に入ってくる。



「「「‥は?」」」

「いや、皆、忘れているのか?俺はダンジョンマスターだぞ?そこに寝ているのは仮の身体に過ぎないって」

「「「感動を返せ~!!」」」

「え~」


 

 あっけらかんとして言うイオ(子供)、そりゃあ、いくら一番長く使っていた身体とはいえ、ホムンクルス。寿命だろうが、毒だろうが死んだところで、替えの身体があれば何の問題もない。



「まあ、俺はこのまま自由になる。これからはただのイオだ。その身体は元宰相イオ・エルマンドとして葬式に出しといてくれ。手配はしてあるんだろ?」

「いや、まあ、当然してあるが」

「なら、それで良い」



 エルドの回答に、そのまま予定通りでと答えておく。



「じゃあ、おそらく、お前らにはもう滅多に会うこともないだろう。一応魔剣グラムに掘った家紋は使うことがあるかもしれないが、そこまで面倒をかけるつもりもないしな」

「オイ!お前はこのままどこに行くんだ?」



 ライドは質問の答えによっては戦う気マンマンだ。



「魔剣グラムの成長のために、色々世界を回るつもりだ。ちょうど、“冒険者”なんていい制度ができたしな。まあ、しばらくはここで実績を積んで、それからだけどね」



 魔剣グラムの成長のためには、戦闘を含む、持ち手の様々な経験が必要らしい。それも、数百年単位の。


 これからはエルマンド帝国の歴史の影に隠れつつ、地域の発展に貢献をすることになる。



 今回の2代目の身体は海王とのダンジョンバトル後に作ったため、能力値が初代とは桁が違う。身体の成長に合わせて、能力値が上がっていくことは変わりないが、上限値も違うし、何より、初代の反省を踏まえて、毒、病気無効はもちろん、寿命も50年程度で設計している。


 おそらく、エルドたちと同じくらいの残り寿命になるだろう。



「では、縁があればまた会おう!」



 そう言って、家を出ていく。



「さえ、まずは冒険者への登録だな」



 意気揚々とエルマンド帝国冒険者ギルド本部で登録をしようとするが‥



「まだ10歳に満たない者は正式に冒険者への登録はできません」



 ズーン!新たな第一歩でいきなりつまずいた。


 


 冒険者には10歳からと決まっていた。理由はそのころになら自我が確立され、戦闘能力もつき始める時期だから。それ以下の年齢ではどちらか、または両方に不安があり、仕事を任せるわけにはいかない。つまり



「俺、しっかりしているし、スペックも高いんだよ!」

「そんなこと関係無いです。ダメなモノはだめです。もう少し大きくなってから来てね」



 受付のお姉ちゃんが厳しい。



 まあ、冒険者登録がダメなだけで、ダンジョンに入ってはいけないわけではない。よく考えたら、経験値稼ぐ必要もないんだから、ダンジョンに入る必要はあまりないといえばない。


 金もあるし、しばらくは、あちこちでふらふらとしていよう。



 そう気持ちを切り替えて、帰ろうとして振り向いた時、ちょうどダンジョンで帰ってきて換金をしようとしていた冒険者の頭も性格も悪そうなオヤジと目があった。



「ハッハッハ!ガキがこんなところに来るなんざ10年早いんだよ。どうせ弱っちいんだから、とっととどけよ!あ?なんだ?やる気かコラ!」



 テンプレ来たコレ!


 コレ、やっちゃっていいやつですよね?ですよね?めっちゃテンション上がるわ~!


 でも、手加減しないと殺しちゃうから、とりあえず、軽く五発!



 ボゴッ!!



 あ?一発で吹っ飛ぶんじゃないよ!?しかも天井にめり込むとか、鍛え方が足りないぞ!



「なんだ!?弱いな!鍛え方が足りない!ホラ!かかってこいや!!」



 ‥なんでか、ギルドマスターと騎士団を呼ばれました。



「‥とんでもなく強い子供が暴れているというから来てみれば、なんだイオかニャ。来て損したニャ」



 ギルドマスターの猫獣人のミーアが、そんなことを言う。続けて、



「騎士団とか来てもコイツニャ勝てないニャ。というか力でどうこうするのは無理ニャ。どうせ、そこの馬鹿がなんか難癖着けたんニャろ?そうでニャくても間違って捕まえたらコッチが怒られるニャ。ハイ解散!!」



 あれ?テンプレ通りのはずが‥。どこで間違えた?


 流石にギルドマスターの一言で、なかったことになった。誰も俺に目を合わせようとしないし。

「そんな餓鬼が俺より強いだと!?」

 的なやつもいねぇ。不完全燃焼。くっ!やるなミーア。



「そんな恨みがましい目で見てもダメニャ。どうせ、腕試し的ニャことも思っていたんだろうけど、ここでは勘弁ニャ。それなら、ここじゃなくて、城の騎士団とやればイイニャ。ライドあたりなら喜んで相手をするニャ」



 ミーアにそう言われてしまったので、あと5年はどこかでフラフラして、それから、また来よう。そう誓って冒険者ギルドを後にした。


 戦いに勝って、勝負に負けた気分。


お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、あと1話か2話で一旦終わりにして、気が向いたら後日談とか書こうかな。と思っています。

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