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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
エルマンド帝国 黎明期
285/287

285.時は流れて

本当は先月もう1度投稿予定でしたが、できませんでした。すいません。



 最近、特に思うことがある。教育って大事だな。と。特に倫理、道徳と言っても良いだろう。


 倫理がない国の場合、汚職をした役人を処罰して、新たな人を置いた場合、どうなると思う?



 答えは“新たに置いた人は方法を変えて汚職をする”だ。



「プクプクプクプク太りやがって、しかも、給料に明らかに見合わない物を身に着けてきたら、誰でも怪しむんだよ!!」



 両手足を縛ってミノムシのように簀巻きにした男の髪をつかんで顔を上げさせる。



「ウチは役人全員、汚職をした場合、着服金額分+懲罰金の接収、財産の差し押さえ。できない場合、一族郎党、家族から優先で奴隷落ちって知ってるよな!?そんなに鉱山なりダンジョン行きたいか?そして、何より悲しいのが、返金できるなら役人続けさせないといけないくらい人材がいないことだよ!普通は首だよ!」



 まったく、日本なら代わりになる人材が吐いて捨てるほどいるのに。ウチは‥。



 この5年で内政ができる者は増えたが、領内や街など大きな行政のことを任せられるほどの人は少ない。いずれ任せようと思って、色々なことをさせて、経験を積ませ、じゃあ、いよいよとなって、任せてみたらこれだよ。


 こいつの下は任せるにはまだ早い。ハァ。



 この5年ほどは、宰相として内部というか、国内のことにかかりきりになっていた。


 大陸西部平定後、様々な制度の開始、反乱分子の鎮圧、リュート神聖国やドラゴンハンターの街、5本川流域との関係、そして、ダンジョン。それらのことに忙殺されて、気が付くと5年経っていたというわけだ。


 5年経つということは、エルドの長男リカルドも5歳になったというわけだ。


 そろそろ、本格的に家庭教師をつけなくてはいけない歳になった。今までは、エルドとルルの2人が、できる限りの教育をしていたが、本来、貴族が自身の子供の教育を自らすることはほぼない。王族はなおさらだ。


 しかし、リカルドはそうせざるをえなかった事情がある。


 リカルドはヒューマン種の上位種であるハイヒューマン。


 初期能力が他の子供と段違いなのだ。赤ん坊のころはまだ良かった。だが、成長すると、能力が一気に伸びた。

 

 いや、そもそも、魔力は高かった。魔法と認識せず、魔法が使えるくらいには。火の玉や水球を出したりと、大事故一歩手前の事件を色々起こしていたため、親以外、誰も預かることができなかった。


 それが、成長し、身体能力が上がった。すでに現時点で、並みの傭兵くらいならなんとでもできるくらいの能力を持っている。エルドが「これはマズイ」ということで力の使い方を教えているところだ。


 つまり、本格的な教育ができる者の条件として最低限、傭兵より強いことがあげられるが、そんな家庭教師いるわけがない。


 かといって、このままエルドとルルが自ら教育をし続けるわけにもいかない。



「候補者って言ってもな。誰がいるんだ?」



 結局、エルドとルルに相談をすることにした。



「ちょうどいい家庭教師ねぇ。いるじゃない」

「ああいるな。」



 そんなことを言う、ルルとエルド。二人の言う候補者がわからない。



「マルコか?」



 勇者の名前を挙げてみる。



「あんな、毎日ケモ耳モフモフ好きの変態に任せられるわけないでしょ。裏で獣人見ながらハァハァ言ってるような変態に育ったら大変じゃない!」

「ですよねー。じゃあ、ライド?」

「そこはありえないでしょ!あんな戦闘狂に任せられるわけない。事あるごとに戦争だの、戦いだの起きるのを待っているんだよ?そんなのに任せたら相手を自分より強いかどうかだけしか見てない子に育つに決まっているじゃない!」

「ですよねー」



 候補者を挙げたが、すべてルルに否定される。だと思ったけどね。



「じゃあ、他に誰がいる?」



 ビッ!と二人に指をさされた。俺?



「他に誰が?」



 ルルにそう言われたが、



「こっちは宰相の仕事で忙しいんですけど?」

「合間でできるでしょ」

「できねーから」



 何を言っているんだ。ルルは。


 この5年、クソ忙しかったっちゅうねん。見てたやろ!



 などと変な関西弁が出るくらい焦ったわ。


 結局、能力封じの魔道具をつけて、外すには許可が必要にした。これで普通の家庭教師でも問題はなくなった。暗殺防止とか、能力制御とかの目的もあり、自由にさせていたが、そうも言ってられない。最低限度、暗殺を防げばよいのだし。


 最初からこうしとけば良かった。余計な仕事が増えなかったのに。



 宰相の後継ぎというか次は決まっている。


 ダンカンだ。


 元々勇者の友達としてついてきていた転生者で、まだ実現できないアイデアがたくさんあり、後々のことを見越して街作りができる。今は、宰相補佐という役職になっており、次期宰相として研鑽の日々であり、周りからもそう見られている。


 あと1~2年もあれば宰相としてエルドの補佐も十分可能だろう。


 ちなみにエルマンド帝国では宰相は自動的に侯爵位と同等とみなされ、皇帝であるエルドの次の位になる。


 俺と、ライド、ノフスは、爵位は別にある。


 それぞれ、侯爵、伯爵、侯爵でライドが一段低いのは単純に本人がこれ以上の爵位を望まなかったためだ。曰く



「侯爵が偉いのはわかるが、義務が面倒。なら伯爵で十分だ」



 とのこと。


 俺以外は皆結婚して、子供、つまり後継ぎがいる。俺の場合は特殊事情があるため、結婚すらしていない。貴族のため、秘密が守れる者を用意し、仮面夫婦として表は整えることは可能だが、結局後継ぎで揉めることになるのであれば、俺が持つ侯爵位は一代限りにした方が良いと思っている。

 

 しかし、一応皇帝の分家となっているため、それは周りが許さず、爵位継承者の証として魔剣グラムの柄にエルマンド家の家紋を彫ってある。つまり、魔剣グラムを持つ者が俺が持つ侯爵位の正当後継者の証となっている。


 このことは今後、エルマンド家並びに宰相、そしてその側近にのみ伝えられる秘密事項となる。一般にはエルマンド家の家紋を見せれば、皇帝家もしくはその関係者とわかるため、権威などの問題でも特に面倒にはならないだろうと思っている。もちろん、むやみに使うつもりもないのだが。



 次代のことなど、まだ早いと思うのかもしれないが、この世界は一般人の寿命は30年が平均だ。エルドや城で働くものは魔力毒の影響が少ないため、もう少し生きることができるだろうが、多少無茶もしたので、この体は無理そうだ。


 一応30年もつように設計したが、生まれた当時は魔力毒のことがわかっていなかったため、おそらく30年はもたない。それどころか、予測よりかなり劣化が早く、あと5年といったところだと見ている。


 つまり、エルドたちとの関係にも終わりが見えつつあるのだ。



次回更新は1週間後を予定しています。

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