281.女神の神域にて
投降遅れてすいません。
今回短めです。
何もない、ただ真っ白な空間。
アクロ教皇を倒した後、リュートの持つ神剣によってこの空間へと運ばれた僕とリュート。この空間は女神の神域。
どこに、女神がいるのか?と辺りを警戒していたが、僕らの少し先に花畑が広がり、その中心に女性がいるのが見える。
僕らが花畑の中心に近づくと、女性の姿がよりはっきりと見える。
その女性は、先ほどは遠くからだったため、わかっていなかったが、デカい。横もデカいが縦もデカい。休日のダメOLかと思ったほど、テレビを横になりながら見ている姿。といえばわかるだろうか?
その横になっている姿が、これはおそらく立ったら、2mある、だるま?と思えば良いのか?横にもデカいので首がない。
顔は‥見えない。というより、認識できないのか。認識阻害をされるとこういう風になるのだろう。
その女性にリュートが話しかける。
「久しぶりだな。女神フレイアよ。今日でこのままこの世界から完全に手をひいてもらう」
「ああ!?ああ、あんたらか。魔神の使徒よ。ようこそ我が神域に‥‥なんていうと思ったか!?全く、あんたらときたら徹底してこっちの邪魔してくれて!!」
そう言って、起き上がる巨大ダルマ。こと女神。横だけじゃなく、幅もあるんだよな。このダルマ女神。
「うるさい!!さっきからダルマダルマって。リュートもたいがいだけど、あんたもよね!?」
「‥口に出てた?」
「「出てた」」
仕方ないじゃないか。勇者であるマルコから聞いていた通りの姿だったんだから。そう思ってしまったんだし。そう思ったらそうとしか見えない。というか2人して言うなよ。
「うるさいわね!私は豊饒の女神なんだから、多少ぽっちゃりしていたほうが、それらしくて良いのよ!!どうせ、姿なんてどうとでもなるんだし!」
そんなことを女神が言う。怒っているようだ。
「ふん!そんなことはどうでも良いのよ!あなたたちがここに来たということは、神剣でアクロだっけ?を倒したということよね?」
「そうだ。もう貴女には何かをするような力は残されてはいまい。観念することだ」
リュートが啖呵を切る。
「あ~はいはい。どうせ、私はもう何もできませんよ。切り札の勇者はそこのやつに盗られるし。どうしてこう、私の加護を授けると人は皆、暴走するのかしらね」
女神が言うように、どうやら、彼女の加護を受けた者、特に歴代の教皇辺りはほとんどが暴走というか、傲慢になっていったようだ。
まあ、どうやら、かなり強力な加護のようだし、そういう加護を受けた人間が、勘違いするのも仕方ない部分はあるのかもしれないが、ひどすぎると思う。
「ふん。どうせ、加護と引き換えに洗脳なんかも行うのだろう?」
「あら。さすが、わかっているわね。その通りよ。私の代理人として動くのだから、そのような行動をとるようにしないとね」
なんてことだ。それは加護じゃねえ。
「私の忠実な駒となれるのだから、信者からすればこれ以上の名誉はないわ」
なおもいいつのる女神。だんだん腹が立ってきたが、リュートも同じのようで
「自分の信者は駒だと言い切るか女神よ」
「ええ。信者だけでなく、ヒトを含むこの世界にいる生物はすべてね。そのように私がこの世界を設定したのだから」
「駒に自由に生きる資格はないと?」
「ないわね。この世界で生きた時から死ぬまでね。…ああ!もしかして、寿命や魔力の仕掛けのことかしら?魂の回復には20年もあれば十分。それに10年も自由にさせているのだから、むしろ感謝してもらいたいくらいね?それにそれくらいの寿命じゃないと、この世界の文明が上がってしまうじゃない。ここはあくまでも魂の回復のための世界。文明は極力発展しない方が良いのよ」
「では、文明の発展を、目指す俺たちは邪魔者と。聞いたことがあるが、この世界は神々の合意で創ったと、しかし、世界を創った神はすべて貴女が追放したと」
「ええ。よくその話を知っていたわね?ああ、魔神から聞いた?あとは彼だけよ。残っているのは」
リュートから知らない話が出て来た。
「何のために他の神を追放した?」
「暇だったから」
「は?」
「アハハ!あなたは面白い反応をするわね!どうせ、世界は一度設定をしてしまえば、神などいなくても勝手に動き続ける。ならば、傍観者は私だけで十分。他の神は不要。どうせ、同じような世界は他にたくさんあるのよ?暇つぶしに他の神を追放してみようと思っても不思議じゃないでしょ?」
わかってはいたが、なんちゅう神だ。リュートがそこに割り込む。
「神を追放し、自分だけになったあと、好きなように下界をいじることがしたかったと?」
「そうよ。その方が楽しいじゃない」
完全にこの女神は邪神だな。豊饒の女神らしいが、彼女の言葉によれば、いなくても世界はまわる。今は力をうしなっているが、今のうちに退場してもらった方が良いのでは?と思う。
力を回復させるためにはかなり長い時間がかかるようだが、力を回復したら余計なことしかしない気がする。
神の消滅はできない。だが、神剣があればこの世界からの永久追放は可能だ。となると、現在はリュートがカギになる。リュートも同じ結論に至ったようだ。
「では、貴女のその論理によれば、自身が追放されても何も問題はないな?」
「できるのかしら?あなたたちに。神剣持ちはあなただけ。しかも、その神剣、私の教団の持っていた物よね?それじゃあ、私には届かないのよ?それはそこまでの性能は持っていないから」
「では試してみればわかることだ」
「やれやれ、力を失ったとはいえ、それはあくまで、世界に対してのことで、今いる私の神域では関係がないのよ?哀れね。誘い込まれたことにすら気が付かないなんて。まあ、いいでしょう。どうせ、もう私の言葉は届かないようだし」
女神は起き上がり力を解放する。威圧感が上がる。
「さあ、来なさい、虫けらども。あなたたちがどれほど不完全で非力な存在か、いやというほど思い知らせてあげる」
どこぞのラスボスのようなセリフを言う女神。まあ、格的には完全なラスボスなんだけど。
次回いよいよラスボス戦ですw
次回更新はなんとか日曜日夜に更新したい。