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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
エルマンド帝国 黎明期
280/287

280.新生女神教国の陥落

少しづつ更新が遅れていまして、すいません。


 新生女神教国との開戦前、僕は予定通り、新生女神教国と五本川流域の街ムルシアの間にある街‥の東側に作った砦にいた。


 この砦は元々、小さな村であったが、新生女神教国の重税で住民が離散し、放棄された元村であるが、今回の作戦上、立地条件が良く、エルマンド帝国軍の工兵を使い、短時間で作った。


 短時間とはいえ、魔法を使用しているため、通常の砦以上の強度を誇る。大きさはそこまで大きいものではないが、4階建てであるため、屋上からの監視で比較的広い範囲を見渡すことができる。そう考えると工兵の練度も大分上がってきているというのがよくわかる。


 ちなみに、この世界ではまだ建築技術が未発達で4階以上の建物となると、城か砦くらいの頑丈な建物でしか実現していない。そのため、周囲にはこの砦より低い建物しかない。


 一応、砦の建設目的は東にある山脈からのモンスターへの対処と南にある新生女神教国の備えとなっているが、北にあるムルシアも警戒対象となっている。というより、今後はそちらがメインの目的で使用されるだろう。


 この砦に現在、千名ほどのエルマンド帝国軍の兵がおり、近くの街にもエルマンド帝国軍が配備されており、食料を主に物資も潤沢に用意されている。また、なくなれば、近くの街から運ばれてくる手筈になっている。


 僕の任務はここで新生女神教国の動きの監視と必要なら新生女神教国からの逃亡者の捕縛。それとムルシアが呼応した場合の時間稼ぎだ。


 千名程度の兵とはいえ、ここにいるのは個人の能力が高い者や将来有望視されている兵ばかりのいわゆるエリートたち。時間稼ぎ、もしくは籠城なら何の問題もないはずだ。

  


 新生女神教国の兵は全部で10万程度と推定されているが、それは、住民もすべて兵となった場合の計算で、実際はその半分程度であろうということと、その中で高い能力を持っていて戦える者となると最大で千人程度となる。


 そのため、捕縛すべき重要人物が来るとすれば、千人以下の兵と共に、であろうと想定されており、エルマンド帝国軍の援軍は早期に来るであろうし、防戦であれば何の問題もないだろうとされているわけだ。

 


 要はここで高見の見物。


 暇などと言ってしまうと山ほど書類仕事が降ってくるので、絶対に言ってはならないし、態度に出してもいけない。


 なにせ、今でも最低限度の書類仕事のはずなのに、なかなかの量なのだから。



 書類仕事を終わらせ、そろそろ開戦という時間、こちらからは情報収集で兵を出しており、随時、情報の報告がされており、それほどのタイムラグはないがやはりリアルタイムで見たいものだ。


 そういう時に便利なのが、ダンジョンコア。


 この砦、4階にある僕の部屋、つまり司令室は防諜設備もあり、通常の方法で覗き見たり、聞かれたりといったことはない。


 つまり、極秘にダンジョンコアを持ってきて、情報収集、というかテレビのように現場の画像を音声付きで見ることも可能というわけだ。


 この画像、僕一人で見るのかというと、おそらく、そうはならない。



 コンコン!



 早速、ダンジョンコアを持って来ようとしたときに、司令室のドアがノックされたので、入るように扉を開ける。これはおそらく、予想通り来たかな。



「やあ、イオ久しぶり。元気かい?」



 そこにいたのは5、6歳くらいの子供。いくら、エルマンド帝国軍の兵に子供が多いとはいえ、もちろん、この子はただの子供ではない。それは良く知った顔を幼くしたような外見。



「久しぶり。色々話はあるから、とりあえず入りなよ。リュート」



 訪れたのは、リュート神聖国の現人神であるリュート本人。


 まあ、この状況で、戦場の様子を見たいとなれば、僕のところに来るのが一番早いし確実だから、来るだろうと予測はしていた。不法侵入?いくらエルマンド帝国軍の精鋭と言っても、コイツの侵入を防ぐのは無理だ。こちらに気づかれないように侵入するなど、リュートにとってはお手の物だろう。


 ならば、こちらは素直に迎えてやるのみ。


 

「ちょっと驚かせてやろうと思っていたけど、やっぱりバレているよね。失敗失敗」

「それはホムンクルスか?リュート。促成栽培でもしたか?時間から考えると、成長が随分早いが」

「ああ、そうそう。限界能力は落ちるけど、成長を速めたんだ。間に合わないからね。しかし、能力は落ちるから慣れるまで時間がかかったけど、これいいね。用途も広いし」



 そんな風にホムンクルスの出来を褒めるリュート。



「ちょっと待ってて。今ダンジョンコア持ってくるから。ついでにお茶とお菓子もね」



 そう言って、ドッペルゲンガーに移し替え、ダンジョンコアとお菓子などを持って転移。砦の司令室へ直接転移し、そのままリュートとダンジョンコアに映した映像を見る。


 この間、僕のホムンクルスは自律で行動する。給仕に勤めてくれた。

 


「今回の戦い、リュートはどう見ているの?」

「ん?こっちの圧勝だよ?それ以外はないよ」

「まあ、それはわかるけど、気になっているのは女神の動きだ。全く動いていないのが気になる」

「ああ、しばらく、そっちは特に気にしなくてよいと思うよ。なにせ、神、特に上級神がこの世界に直接何かすることは禁止されているから。というより、できないが正解らしい」



 リュートが言うには、上級神は直接、例えば特定の個人に雷を落とすなどの攻撃や介入はできないらしい。だが、信徒を使って似たようなことはできるらしい。そうなると、女神が自身の信徒を守るため、何かするのでは?と思ったのだが。


 だが、それはリュートが否定した。


 神がそういうことをするためには、エネルギーが必要で、女神の場合、そのエネルギーは信仰によって得られるらしい。信徒が増え、女神を信仰する者が多ければ多いほど、女神が使えるエネルギーが増え、できることが多くなる。


 現在は?というと、今までの女神教徒の悪行の成果か、女神教徒がほとんどいなくなり、信仰をする人が減ったため、女神がこの世界でできることはほとんどないらしい。


 実はウチにいる勇者マルコの存在も大きかったりする。


 勇者の作製にはかなりのエネルギーを消費するらしく、もしかすると、女神としては一発逆転を狙ったのかもしれないが、そうだとすると、完全に裏目に出ていた。


 つまり、女神は現在、エネルギーがほぼない状態で、手を打ちたくても打てない状態。ターン的に言えば、こちらの連続攻撃中だ。


 大きな懸念が消え、あとはアクロ教皇を捕らえるのみ。


 女神教徒は女神からの洗礼を受けると、女神の加護がつくのか、能力が大幅に上がる。アクロ教皇の場合、ただのデブが一流アスリート並みの運動能力を手に入れることになる。


 そう聞くとすごいように聞こえるが、今のエルマンド帝国軍にとって、その程度なら敵ではない。もちろんリュート神聖国軍にとってもだ。


 つまり、当初の予定通り、余裕を持って事に当たることができる。



 一方、新生女神教国の新聖都フラメシア、その南部からはリュート神聖国軍が、西からはエルマンド帝国軍が来ており、抵抗らしい抵抗も見せることができずに、あっさり入り口の門が突破される。


 そりゃあ、そうだ。兵力差も圧倒的だし、士気も違うのだし。



 フラメシアに入ったエルマンド帝国軍は、住民から歓迎された。何か援助があるわけではないが、邪魔もない。中にはガリガリにやせ細っているにも関わらず、エルマンド帝国軍の姿を見て涙を流して、「助かった」と言っている者もいる。


 住民たちももうすでに限界だったようだ。



 その様子を見て、アクロ教皇一派は逃げるのかと思いきや、徹底抗戦を選んだようだ。


 逃げるにしても、立地上、東は山脈と小さな村がある程度、しかも重税で離散したか、離散寸前の村ばかり。そこから南にはエルマンド帝国の範囲内のため、北にあるムルシアを目指すことになる。


 しかし、北は僕らが網を張っている状態。


 つまり、逃げ道として、東にいく分だけ時間がかかることになる。


 逃げるなら、北一択なのだが、そこも当然、網を張っている。



 さて、徹底抗戦を選んだ教皇一派だが、ろくに籠城もできず、エルマンド帝国軍とリュート神聖国軍の連合隊があっさり蹴散らしていく。


 わかってはいた。一応、こいつらも洗礼を受けた者たちである。しかし、やはり敵ではなかった。


 アクロ教皇と数名の生き残りは北から逃げ出していた。ようやく自分たちの圧倒的な不利を理解したようだ。


 北は僕の網がある。開けた場所なので、兵を隠しておくことはできない。だが、左右を厚めに配置し、中央を薄くする。


 そうすることで、中央を強行突破させるように仕向ける。この強行突破時、アクロ教皇以外は時間稼ぎで残ってエルマンド帝国軍と戦っていた。


 こちらは、問題なく処理、捕縛が完了するだろう。


 そして、上手く突破できたと思っているアクロ教皇の前には、



「やっときたか。もう取り逃しはせん。ここで終わりだ」



 リュートが立ちはだかり、僕がドッペルのままその様子を見ていた。


 こういう時、ホムンクルスは便利だと思う。なにせ、砦の連中はホムンクルスの方を僕だと思うからね。戦場に出ているなんて考えていない。

 

 いくらリュートの能力が落ちているとはいえ、アクロ教皇程度に遅れはとらない。捕縛といきたいところだが、コイツだけは殺すしかない。


 アクロ教皇は死ぬ前に



「我が身に宿る女神の力にひれ伏すが良い」



 とかなんとか言っている間にあっさりリュートにやられていたけど。


 リュートはアクロ教皇の身体に剣を突き立てたまま、



「女神よ。このままこの世界への影響を永遠に失うがいい!」



 そう言ったあと、アクロ教皇の身体から出る白い光に包まれる。僕も一緒に。


 光の先は以前からダンジョンバトルであった、ただひたすら真っ白い空間。どうやらここが女神のいる神域のようだ。


次話で少し解説しますが、リュートは神剣持ちです。いよいよ女神とのご対面になります。



次回投稿は1週間後を予定していますが、2.3日遅れるかもしれません。すいません。


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