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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
エルマンド帝国 黎明期
278/287

278.ニゴ帝国の終焉

すいません。予定より1日ほど投稿が遅れました。


エドワルドとエルマンドが似すぎた。途中で書いてて混乱してしまい‥。



 非常に後味が悪い結末になったが、1週間ほどしてもニゴ帝国が滅んだわけでもなく、ニゴ帝国の戦争継続の意思は変わらない。ニゴ帝国の皇帝は死んだが、首都であるニゴックはむしろ、かたき討ちとばかりに戦う意思を見せ続けている。


 上層部だけのようだが。


 特にニゴ9世の妻である皇后とその息子3歳らしいが(下に弟もいる)、いまだに戦争には積極的だそうだ。3歳だからな。息子。自分の意志はないだろう。母かその側近の意思とみるべきだ。


 

 現在、エルマンド帝国軍はニゴックの包囲にむけて準備をしている。軍の再編の最中だ。


 軍の再編はもうすぐ終わり、あとはいつ出発するかを決めたあと、僕とエルドと近衛数人で、とある屋敷に向かう。



 その屋敷にいるのは元ニゴ帝国宰相であるエドワルド。


 僕に対し、その行動を悟らせず、出し抜いた切れ者。


 彼は今、ニゴ9世に疎んじられ、ここリフの街の一等地にある屋敷で軟禁状態に置かれていた。我らエルマンド帝国軍がリフの街を占拠したあとも、要注意人物として、軟禁状態なのは変わらない。


 屋敷で出迎えくれたエドワルドはそのまま客室へと案内し、お互いが対面になるように座る。



「すみませんな。あいにく、使用人もほとんどおらず、物資もほとんど、取り上げられてしまいまして、満足な歓迎はできないで」



 そういったエドワルドは唯一屋敷にいた高齢の使用人にお茶の用意をさせた。その様子は以前とは異なり、怖い印象は一切なくなり、ただの近所のちょっといいところに住んでいるお爺ちゃんのような雰囲気に変わっていた。


 そんなエドワルドに対し、エルドは



「かまいませんよ。そちらの状況は理解しております。それにこれは秘密の会談。あまり仰々しくされても困ります」



 今回は正式な訪問ではなく極秘の行動。



「そういっていただけると幸いです。エルド皇帝陛下。さて、こんなおいぼれのところへわざわざ陛下御自身がいらしたのはどのようなご用件でしょうか?」

「わずらわしいことは苦手でね。単刀直入に言うと、スカウトだ。ニゴ帝国を滅ぼしたあと、あなたを正式に我がエルマンド帝国に迎え入れ、ニゴ帝国跡地の管理を手伝ってもらいたい」



 エドワルドに対し、エルドが来訪の理由を明かす。


 エドワルドが優秀なのは理解している。その忠誠がニゴ帝国に向いているのも知っているが、不要ということで軟禁状態にされている状況から、今ならこちらに来ないか?と思ったわけだ。


 ここでエドワルドが“YES”と言った後、



「エドワルドは復讐心から寝返った」



 とか言われることは想定している。そのため、表立っての行動はさせられないが、裏方でも十二分に能力を活かすことはできるはず。


 しかし、エドワルドの返答は



「大変、ありがたいお話ですが、このおいぼれには過ぎた話。お断りさせていただきます」



 やはり、と言おうか、断られてしまった。



「そうか。ああ、もちろんそれで罰するとかそういったことは一切ないが、正直に理由を説明してもらっても良いか?」

「ええ、正直に申しますと、先代、ああ、今は2代前ですが、私はエルド8世陛下と共に生きてきました。それが全てです。その手塩にかけて育てた後継者が殺され、陛下が崩御した時、もう私の役目は終わったのです。そして、私の忠誠は他にむくことはございません。ここで余生を過ごすのが最大の望みです」



 エルドの言葉に答えるエドワルド。


 この態度から、これ以上の説得をしても、こちらにくることはなさそうだ。


 エルドも同じように感じたのか



「そうか。そなたの思いは理解した。これ以上は何も言うまい。ここで余生を過ごすが良い。使用人も手配しよう」

「ありがたき幸せ」

「これで、こちらの話はおわりだが、紹介だけはしておこう。入ってくれ」



 そう言って入るよう呼んだのは10歳くらいの男の子。


 特に何か特徴があるわけでもない姿で緑色の髪の毛が特徴といえば特徴といったところ。



「紹介しよう。この戦争後、ニゴックの街の管理を任せる予定の内政官トトだ」



 ここでわざわざ紹介したのだ。意味をエドワルドは考えているが、その理由に思い当たった様子。



「‥もしかして、ですが、ニゴ帝国領にいたダンジョンマスターですかな?」

「この情報でそこに思い至れるのだから、本当にあなたが欲しかったですよ」

「おひさしぶり、と言いましょう」

 

 

 エドワルドの回答に、僕とトトが反応する。


 そう、トトことトトークのホムンクルスは姿を大樹であるトレントから人へと変えたのだ。かつてダンジョンマスターたちと研究をしていたとはいえ、よくここに思い当たったものだ。


 トトークことトトは姿を人にしたため、能力が大きく落ちてしまった。具体的には本来の1%。その能力では武官は無理。そのため、トトはエルマンド帝国の内政官として地位を得て来た。


 元々、トトークの本来の領域はニゴ帝国首都ニゴック。管理にはうってつけの人物と言えよう。


 ここでトトークを紹介したのは



「‥復讐というわけではなさそうですな」

「ええ。もうそれは考えていません。いえ、違いますね。ニゴ帝国をエルマンド帝国に統合することが目的ですから。ある意味、復讐でしょう。それも一番大きな、ね」

「‥ですな。やはり、ヒトはダンジョンマスターには勝てませんか」



 エドワルドの言葉にトトークの回答。

 

 トトークのかつての仲間というか、ニゴ帝国の裏にいたダンジョンマスターたちを殺して、皇帝になったのがニゴ8世。そして、その後、ニゴ帝国はダンジョンマスターの恩恵を失った。


 

 エルマンド帝国はダンジョンの存在を隠していないどころか有効活用できる資源としている。裏に人類の敵とされるダンジョンマスターの存在があることは容易に想像できる。


 エルドたちはそのダンジョンマスターが僕であることを知っているが、他の人は違う。


 トトークが表に出ることで、トトークがエルマンド帝国にいるダンジョンマスターだと勘違いする者が出る。特にニゴ帝国にいる人はその傾向が強いのではないかと思っている。ミスリード、情報操作の一環である。



 エドワルドと別れた僕らは予定通り、ニゴ帝国首都ニゴックの侵攻を開始する。


 リフからは1日程度あれば着く距離であるため、すぐに開戦となる。


 リフから出たエルマンド帝国軍はおよそ6万。残りはリフおよびその周辺の統治、警護となる。これにワールハイトより1万が加わる。しかも、ニゴックからすると東と南からの同時侵攻だ。元々、兵数の少ないニゴ帝国軍はこれに対抗することはできないだろうとされている。


 総大将は変わらずエルド、その護衛にライド、実際に指揮するのはノフス将軍となり、僕とトトはリフにて引き続き統治と後方支援の担当となる。


 ニゴ帝国側は首都ニゴックに籠城を選択。というか、それしか選べなかった。が正しい。


 少し先が見える者なら、援軍のあてがない以上、絶望的だとわかる。兵数も2万はいないのだ。早期に投降して減刑なり、民の安全なりを願うのが正道だろう。


 しかし、やはり、というべきか徹底抗戦の構え。



 ここから、ダンジョンコアを通して見ているが、皇后がひどい。


 わが身と息子、(長男のみ)の保身しか考えていない。


 投降を提案した側近を反逆罪で処刑し、籠城中だというのに贅沢三昧。ないなら民から徴発せよ。ときたものだ。


 元々、ニゴ帝国の兵の士気は最悪だ。なのに、そのようなことをすれば、反発は必至。


 結果、3日目にして兵たちの一部が離反。門を開けてくれた。


 エルマンド帝国軍はその門から侵入。ニゴ帝国の城も開放されていたため、被害はなく、無事、皇后とその息子たち、側近を捕らえることに成功した。


 この段階で、側近は皆、我先に皇后を売った。彼らも、もう限界だったようだ。


 後日、ニゴックの住民の前で皇后、息子たち、側近の公開処刑をしたが、皇后の処刑が一番盛り上がっていた。皆、ここぞとばかりに罵声を浴びせまくっていた。


 どれだけ、嫌われていたんだ。皇后。



 まあ、なにはともあれ、これで、ニゴ帝国はエルマンド帝国に統合。ワールハイトもエルマンド帝国に編入され、一つ一つが大勢力であった3極すべてがエルマンド帝国の元、統合された。



ちなみに皇后は若くて綺麗です。色々高級品で着飾っていますが。

裏設定としては、ニゴ帝国としてはこれ以上の影響を排除したい大貴族の娘で、当時の皇太子には嫁がせず、今後排除予定の皇子の嫁にして、一緒に排除しようと、エドワルドは考えていました。それが、皇后になってしまったわけでした。


次回投稿は1週間後を予定しています。

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