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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
エルマンド帝国 黎明期
272/287

272.エルマンド帝国のこれから

エルマンド帝国は軍事国家ですが、兵が無限にいるわけではないので、ある程度抑制がかかります。


貴族制も今は初期のため、このくらいですが、時間が経つと爵位も増えていくことが予想されます。




 ここはエルマンド帝国のとある会議室。皇帝始め、数人の上位幹部のみが出席することができる会議だ。


 当然、皇帝を頂点とし、各大臣が卓を囲む。そこに宰相である僕が皇帝の隣に座し、近衛隊長であるライドが護衛につく。


 ここでエルマンド帝国の今後の方針が決定される。



 ここでエルマンド帝国の政治体制を確認しておく。


 皇帝を頂点とする絶対君主制の国であり、皇室があり、ここから皇帝が選出されることになる。


 その皇室を支えるのが貴族。


 上から侯爵、伯爵、子爵、男爵、士爵となり、それぞれ、国から一定の給料が出る。その分、税金も払うことになるが、権限は平民より強い。国の運営や地方の運営に携わることが仕事になる。


 エルマンド帝国は元々、逃亡者たちが集まった国ではあるが、奴隷制は廃止できなかった。


 犯罪者への刑の中で死刑の下に懲役に当たる奴隷期間を置くのがわかりやすかったためでもある。一定期間の労役につく犯罪奴隷がそれに当たる。


 またセーフティーネットとして、借金奴隷も無くせなかった。最も、こちらは労働に対し、通常の賃金を支払い、借金がなくなった段階で平民へと戻る。


 政治体制で民主主義の採用は現段階では不可能と判断した。


 国民一人一人がまだ知識面、教養面で足りな過ぎた。今後、学校などを通して、教育がされていくが、ここはまだまだ時間がかかる。


 読み書き計算ができるだけではなく、例えば、「税を安くする」といえば良い領主だと誰でも疑問なく思うのだが、「収入が減った分、支出のどこを削減するか?もしくは他にどこから収入を増やすのか?」に気が付けないとただ、表面的な行動や感情的な行動に走るだけで、いわゆる衆愚政治になってしまう。


 エルマンド帝国はまだそこまで国民が成熟していない。


 まずは絶対君主制で一部の教養を持った人たちで国を運営し、その後、貴族院の設立をし、皇帝の諮問機関とすることで帝国議会制へと移す。


 さらに平民などの代表を集めた下院を作り、2院政とする。


 その後はこの2院に皇帝の権限を委譲し、皇帝は国の象徴とする。これで議会制民主主義の完成とする。


 国の成熟と共にこの流れになっていくのがほぼ確実であるため、無理に逆らわず、象徴とすることでエルドの子孫を残す方向に持っていく。


 間違いなく、数十年、いや数百年かかる方針だ。世代でいうと何世代かかるのだろうか?


 もちろん、国民の教育の過程を見ながらの導入になるし、その間、妨害、反対にもあう。既得権益を得ていた者たちからの反発が絶対に来るからね。


 それでも、そうすることで国は更なる飛躍を遂げると僕は信じている。


 ダンジョンマスターの視点からでも、国民一人一人が強くなることで、DP収入が上がる。数が増えるだけでも大きくDP収入が上がるのだから反対はしない。


 ダンジョンマスターとしては、もう僕の領域では、大幅にDP収入が上がる見込みはない。


 領域テリトリーは今が広げられる限界である。ここからは人を増やしつつ、個々人の能力を高めるしかDP収入を増やす方法がないのが現状だ。


 当初の目論見通り、国が発展すれば、人が集まり、増える。そこを追求するしか道がないように思える。




 さて、話が逸れたが、会議である。


 エルマンド帝国の現在の方針は



1.ユニオン東部が反発し、“新生女神教国”として独立を宣言。ここへの対応

2.カルナチョス西部、元のユニオン西部の復興。特にかつてブフラルと言われた街からのモンスターの討伐

3.内政の拡充

4.カルナチョス他、元ユニオンの治安維持、エルマンド帝国への併合

 


 と議題がある。


 まあ、3と4は順調に進んでいるため、報告のみだが。


 1と2のどちらを優先するか?というのが議題になる。同時に対処はできないし、やりたくない。


 

 会議に参加している大臣たちから様々な意見があがる。



「やはり、ここはユニオン東部の平定を先に。憂いは早めに解消するべきかと」

「うむ。やつらはけしからん。独立などと。そもそも奴隷たちも非常に多いのだ。わが国には奴らから逃げて来た奴隷も多い。ここを優先すべきかと」

「ブフラルの奪還のための戦力はどうしましょうか?女神教国の監視に戦力が必要な以上、他にさける戦力はないのでは?」

「まだ、カルナチョスも安定したとは言えない状況。そこの戦力をまわすこともできないでしょう」

「財務的にはブフラルの奪還を推したいですな。やはり魔の森を越えられる通商路が回復できるのは大きい」

「それと、リュート神聖国からの要請でもある上、ニゴ帝国も不穏な動きを見せているとか」

「諜報によると、狙いはワールハイトらしい」

「しかし、ワールハイトも情報は得ていたはずだ。警戒しており、防衛には手を抜いてはいないはず」

「なれば、先にブフラルを奪還しておけば、2国の隙をつけるわけですな」



 だいたい重要な情報は出ただろうか。決を採るべく、エルドが最後に口を開いた。



「諸君らの意見は理解した。…ここは、ブフラルの奪還を目指す」



 エルドの決定はユニオン西部の奪還。


 成功すれば、ワールハイトとニゴ帝国の戦争に介入することができる。また、ワールハイトまでつながることで貿易という点でも利益が大きい。


 懸念は、戦力。


 ユニオン東部の監視は必須の状況。また、カルナチョスにもある程度戦力を裂かなければいけないため、ブフラル奪還にはそれほど大きな戦力を裂くことはできない。


 では足りない戦力をどうするか?


 

 ここで、僕はある人物を呼ぶように伝令を走らせる。近くの部屋に待機していたので呼びにいってもらう。


 コンコンというノックの後、伝令が連れて来たのは、マルコ



 マルコは“勇者”である。しかし、“勇者”であるため、人間同士で争う戦争には介入ができない。


 介入できない理由は“勇者”にある。


 “勇者”は対モンスター特効だが、対人に関しては何も補正はない。それどころか、あまりにも人を殺すと能力が下がるというペナルティすらある。

 

 このペナルティの条件は“上級鑑定”を得たことでわかった。だが、わかったことで、“勇者”は戦争には使えないこともわかった。


 エルマンド帝国にとって、マルコも大きな戦力の一つである。特に最近はダンジョン攻略をすることで、より力を増した。さらにダンジョン攻略で得た資源をエルマンド帝国に売却することで、大きな資金も得た。


 戦争には使えないが、こういったモンスター討伐には大きな力を発揮する。それがマルコである。



 マルコはエルマンド帝国軍に所属していない。


 マルコは“冒険者組合”いわゆるギルドを作った創始者の一人である。


 軍に所属すれば、人を相手にしなければいけない場面が出てくる。しかし、冒険者であれば、人を相手にしなくても良いわけではないが、悪人に限られる。悪人は何人殺してもペナルティーはない。


 そして、狩ったモンスターの素材をしかるべきところへ売り、必要な素材を持ってくる。


 そうするだけで、収入が入り、どんどん強くなる。マルコにとって冒険者は天職だと思えるような職業だった。



 エルドはマルコに声をかける



「冒険者ギルドマスター、マルコよ、貴殿にユニオン西部に巣くうモンスター退治を依頼する」

「御意」



 皇帝が依頼し、勇者が受諾する。


 これで、エルマンド帝国軍は最低限の戦力でユニオン西部の奪還にあたることができる上、冒険者ギルドの名声と存在を大いにアピールする絶好の機会を得た。


勇者は戦争などで大量に人を殺すと能力値低下のペナルティーがあります。数人、もしくは数十人程度の盗賊や殺人などの犯罪者ならペナルティーはありません。女神による俺TUEEEで暴れ回る転生者対策です。


次回更新は1週間後の予定です。今回、本当は日曜日に投稿予定でしたが、遅くなり申し訳ございません。

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