表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
エルマンド帝国 黎明期
271/287

271.ユニオン統合

ユニオン統合というか消滅というか‥。そんな感じです。


 時間は少し戻って、エルマンド帝国の城内、皇帝の執務室にて、皇帝と宰相の話



「ユニオンとの戦争はまもなくか?」

「ええ。時間的な猶予はないし、この戦争の回避方法はないでしょう」

「‥使者を送ってもだめか?」

「無駄死にさせるだけですね」

「その使者が俺達でもか?」

「‥4人で行くと?」

「ああ、他は足手まといだ。後詰めだけ用意して、先行する」

「それなら、高い確率で、どうにでもなるな」

「だろ?和平を結ぶならそれはそれでよし、俺らを殺しにくるなら、それはそれで良し。だ。返り討ちにして、そのままユニオンをエルマンド帝国の支配下に組み込む」

「‥ユニオンが生きる道は和平しかないな。ハァ~。他の奴らを説得するのが大変だ‥」

「そこは任せたよ、宰相!」

「うるせぇ!お前が一言言うのが一番早いんだよ!皇帝!」




 そんな訳で、皆を説得?してカルナチョスへと使者としてやってきたのが、僕ら4人。


 ユニオン兵は近衛とはいえ、多少装備が良い程度で、ダンジョンで修行をしたエルドたちの相手にはならない。ライドに関しては、虎の闘争本能が成長するにつれて、高まっているのか、戦闘に入ると手が付けられない。相手が死ぬまで戦闘継続するから。


 ライドの固有能力がさらに戦闘継続を補助している面がある。相手の武器を拾って使いこなすわけだし。武器の破損が全くと言って良いほど問題にならない。


 実際、この部屋にいた近衛はすべてライドが殺したし、ユニオンの盟主であるドンだけが生きている状況。そのドンもエルドに剣を突き立てられようとしているところ。



「さて、ドン・カルナチョスよ。何か言い残すことはあるか?この状況では完全にこちらの勝ちだが?」

「バカな‥。こんなことが‥」

「安心してほしい。ユニオンはエルマンド帝国の支配地域として、さらに発展していくだろう。貴方の犠牲は無駄にはならない」

「そんなはずが‥。…グフッ!」

「あれ?イオかい?」

「エルドは皇帝だからな。直接手を汚すことは許されない。手を汚すのは周りの仕事だ」

「‥父のかたきは自分で打ちたかったのだが、それも今はできないか」



 エルドの言う通り、ドンの後ろから拾った短剣を投げつけたのは僕。ドンは心臓から剣が生えて来たみたいになっている。このまま失血死だろう。


 ドンはエルドの父、エルマンドさんの商会を潰した張本人である。ドンからすれば、いつもの自分の息のかかった商会になびかない商会を排除しただけだろうし、覚えてもいないが、こちらは覚えている。だが、今、エルドにかたき討ちを直接させるつもりはない。


 エルドにはかたき討ちより、カルナチョスとユニオンのエルマンド帝国への併合をしてもらわないといけないからな。



 本来なら、ドンには情報を吐き出してもらうことや、隠している書類、ヤバい取引の記録などの保管場所を聞き出したり、ユニオン内外の交渉の記録の提出、エルマンド帝国への降伏宣言などやってもらうこともあるので、まだ使い道があった。


 そこをあえて、急いで殺したのは理由がある。


 元々、今回は超電撃戦。ここで時間をかけ過ぎると、周囲の兵や人が大勢集まってくることになり、こちらが望まない展開になりかねない。現在、ライドが入り口前に入ってくる人がいないよう陣取っているが、流石に、集まってきた人、全てを殺すつもりはない。


 それに、ドンが持っている情報などはすべて、ダンジョンコアに記録して、エルマンド帝国に保管済。あとは実物の証拠などを回収するだけ。降伏宣言など、エルドが直接話せばそれで済む。



「じゃあ、当初の予定通りの配置につこうか。ライドは抵抗する戦力を無効化しつつ、城門前まで。イオは必要な書類の回収後、ライドの援護。ノフスは俺の護衛だな」

「エルドは、当初の予定通り、旗を立てるんだな?」

「ああ、そのつもりだ。その後はイオもテラスまで来てくれ。後詰めの兵たちは1日遅れで来ることになっているから、それまでは俺たち4人で占領し続けないとな」



 エルドが何をするつもりかと言うと、ここカルナチョスの屋敷というか城の頂点に立つ、ユニオンの旗をエルマンド帝国の旗に付け替えるつもりだ。


 そして、その後、カルナチョスの街を見渡せるテラスにてエルドが領民に対して、エルマンド帝国の勝利を宣言する。僕とノフスはエルドの護衛をしつつ、補佐もする。ライドは外に展開している兵の流入を防ぐ役目だ。


 ドンは僕らを取り逃がすなど思ってもいなかったようで、伝令すら決めていなかったため、まだ領民に事が露見するまで時間がある。


 様子がおかしいことは城内にいる文官経由でじきに知られることになる。


 つまり、ドンにこれ以上かまっている時間はない。



 僕は急いで重要書類など証拠を回収し、ライドの後方援護に向かう。証拠の隠し場所はドンの執務室の隠し通路を通った先にある隠し部屋だ。ここは事前に扉の開け方など確認済であるので時間をかけずに回収できた。


 ライドのところにいった時、文官や女官など非戦闘員は逃げたようで、ライドに向かってくるのは実力差のわからない警備兵などだけ。あっさり、城を出てすぐの広間になっているところにライドは陣取る。この真上は街を見渡せるテラスになっているので、僕は適度にライドの援護をしたら、テラスに上がる予定だ。

 


 ライドは城の入り口前で衛兵や警備兵に囲まれている。一部の外に展開していた兵も駆け付けたようだ。


 ライドなら問題はないだろうが、この数を相手にするのは骨が折れるだろう。連戦だし。流石にライドには海王のような継戦能力はない。ここは僕が援護しておこう。



「チェインライトニング」



 威力はそこそこなのだが、最大の特性は電撃が近くの生物に伝わることだろう。しかも分裂しながら。当然、伝われば伝わるほど威力は落ちていくが、それでも結構な数を減らせた。数発撃っておけば問題はないだろう。


 ちなみに、伝わる相手は敵味方関係ないので、事前にライドには伝わらないよう、魔法の方に設定をしてある。この設定が個別なため、多数対多数の戦闘には向かない魔法でもある。



「なんだ、今のはイオか。…これはやり過ぎだと思うぞ。前の方の直撃喰らったやつが炭化しているのはまだしも、その威力じゃ後ろの方のやつまで、ほとんど死んでるんじゃねーか?つーか、もう少し俺用に残してくれよ」



 ‥ライドにやり過ぎと言われるとは。まあ、確かに少~し、やり過ぎたようだが。生き残ったやつは皆逃げていくし。新たに近づこうとするのはいないな。



 このタイミングでエルマンド帝国の旗が上がる。ほどなく、エルドとノフスがテラスに出てくるので、僕もテラスに上がった。ここからでも、ライドの援護は十分可能である。


 僕がテラスに上がった時、カルナチョスの住民たちも異変に気が付いたようで、少しづつ騒ぎが大きくなっていくが、それを止めるはずの衛兵などはいない。この分だと、じきに外に展開している兵たちも街の中に入ってくるだろうか。その前に逃げた兵士たちから情報を収集するから、すぐには来ないか。


 拡声の魔法を使い、外にいる兵士たちにまでエルドの声が聞こえるようにし、エルドが勝利宣言をする。



「朕はエルマンド帝国皇帝エルド1世である。突然の事態ではあろうが、朕は宣言する!今、この時をもって、都市連合ユニオン並びにその中心都市であるカルナチョスは我がエルマンド帝国の支配下になった。カルナチョスの住民たち、および、ユニオン各地から集まった兵たちに告ぐ、お前たちは今からユニオンの住民ではなく、我がエルマンド帝国民だ!これに反対の者は別の地へ行くも良し、朕の元に来るも良し!ただし、その時は反乱分子として容赦はしない。これは交渉ではなく、純然たる事実だ。諸君らの賢明なる判断、行動を望む」



 エルドの演説というか宣言のあとは後詰めが来るまで警戒と場内の把握に努めることになる。



 このまま、後詰めが来るまで警戒をしていた僕らだが、城まで来たのは数十人で、すべてライドによって蹴散らされた。

 もちろん、住民の中には逃げた者もいるし、集まっていた兵の大半は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。


 だが、住民の大半は恭順の意を示し、暴動などは特になかった。


 その後、エルマンド帝国の後詰めの兵が来て、治安は回復。中にはこちらに協力的な衛兵たちもいて、治安自体は元々、悪くなかった。


 統治のための代官もエルマンド帝国から来た。代官補佐にはカルナチョスの商会の中でドンの商会と比較的遠いところにいた商会の人を置き、素早く統治を開始。


 これによりユニオンは完全に崩壊。エルマンド帝国に併合されることになる。残るはユニオン東部の女神教の残党たちと西部のブフラルの奪還、ニゴ帝国への対処となる。


 それと、今回のことで、リュート神聖国へとつながる道中にある5本川の流域にある都市とのつながりを示す書類や記録も押収済。具体的には犯罪のもみ消しや賄賂など表に出せないやり取りの記録などだ。


 女神教の残党の対処後、リュート神聖国と連携して、こちらも対処していくことになる。



 おそらく、今回の件はエルマンド帝国史に“史上最速の電撃戦”とかなんとか言われ、残っていくことになるだろう。


更新時間がずれてきていまして、そろそろ日曜日夜の更新に戻したいのですが、なかなかうまくいかず‥。


次回更新は1週間後を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ