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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
エルマンド帝国 黎明期
269/287

269.エルマンド帝国 立国

今回から新章です。

初回は振り返りと大まかな状況の確認です。


 僕が海王とダンジョンバトルをしている頃、地上では人間たちが中心となって開拓した地域がもうすぐ国として建国されようとしており、その準備が進められていた。


 その名は『エルマンド帝国』



 元々は逃げた奴隷や追われた者たちなどがたどり着いた場所だが、そこで生活基盤を作り、村となった。


 当然子供は生まれるが、そこで生まれた子供すべてが生きていけるわけではない。むしろ、捨てられる子供が多かった。そこで孤児院ができた。(というか、作ったが正解だ)


 その孤児院で暮らす子供たちは最低限の食事と教育がほどこされ、その中にいたのが、エルドだ。


 彼はその後、その類まれなる才気を発揮し、この地をまとめ、開拓をすすめ、エルマンド帝国を建国し、エルド1世と名を変え、エルマンド帝国の初代皇帝となった。



「まあ、建国の経緯はこんなところかな?」

「まあ、これで良いでしょう。イオ宰相」



 僕はエルドのそばにいただけだったはずなのに、なぜか宰相になっていた。今は建国の式典用に資料として建国の経緯を記録した。非常に簡単だが、あまり細かいことを書いても覚えられない。皆が覚えられることが大事だと思って、短くした。


 式典本番では、非常に長く建国の経緯やエルド1世を称える話をしなければいけない。民間への配布用の資料だからこの短さで良いのだ。



 僕はダンジョンバトル中とはいえ、その全てを見る必要はない。合間があるので、その間にこういった地上の人間としての仕事をしていた。



 エルドは東にあるモンテス山脈を超えた先にあるリュート神聖国を訪問中だ。建国の経緯の説明と建国に当たり、承認を得るための話し合いに向かってもらっていた。


 その後はモンテス山脈内を横に通過するように作られているレッドドラゴンのダンジョンマスター、サミーのダンジョンを通って戻ってくることになっている。


 エルドが無事に戻ってくれば、建国とエルドの即位式典の開催となる。



 即位式典の前に、エルマンド帝国の周囲の状況というか3極の状況について確認しておこう。



 まず、西にある魔の森、その森を超えた先にあるのがワールハイト同盟。ワールハイトを中心とした自治都市の集まりだが、実際はワールハイトの経済力その他をあてにした町や村の集合体だ。


 現在はウチの商会であるエルラノーア商会が中心となり経済援助という名の借金を背負い、日々、借金が増幅中である。代表は元エルラノーア商会の商会員であるフラビオ。代替わりしてから、大分頑張って市民の生活は良くなっていて、借金の増え幅は小さくなっているんだが、元々の状況が悪すぎた。彼はワールハイト同盟を解体して、どこかに売り渡し、一商会員に戻りたいと常々言っている。


 つまりワールハイト同盟は裏でエルマンド帝国の一員になることが確定しているわけだ。



 魔の森北西部にあるのはニゴ帝国。


 軍事国家として拡大路線を掲げ、徐々に領土を増やしていった国だ。


 最近、皇帝が代替わりをし、宰相はエドワルドと前皇帝の時と同じ宰相を起用したのだが、仲は良好とはいいがたいようで、宰相の交代を目論む現皇帝とその側近たちとエドワルドとエドワルド支持にまわる役人たちや一部の軍人たちという構図になっているらしい。



 そんなニゴ帝国の次のターゲットはワールハイト。


 現皇帝が主導し、そのための兵を集め、訓練をしていたが、ニゴ帝国の東、魔の森北にあるオークやゴブリンの大集落と化した、かつてブフラルと呼ばれていた街からオークやゴブリンがあふれ出し、ニゴ帝国へ流入。


 それに対処するため、集めていた兵をぶつけざるを得ず、せっかく集めた兵たちを消耗してしまう。


 それにより、ワールハイト侵攻の予定を見直さざるを得ず、現在は戦力を集めている最中だ。


 ニゴ帝国はその間、現皇帝と宰相の争いが激化。



 結果は宰相の交代。


 オークやゴブリンを放置したことが今回の失態の原因とされ、その責任をエドワルドが被ったため更迭され、エドワルドは幽閉された。


 だが、後任の宰相は役人からあまり人望がなく、そもそも前宰相のエドワルド支持の役人はそのままのため、素直に従うわけはなく、政策進行に少しずつ遅れが出ている。そもそも、やった方が良い政策なら遅らせるようなことはしないが、悪法を諫める存在がいなくなり、どんどん施行されようとしているのだ。役人とすればせめてもの抵抗だろう。


 このことが結局、戦力の結集の遅れにつながっている。ワールハイトは助かった。



 さて、3極最後はエルマンド帝国の一番の問題と言えるユニオン。


 エルマンド帝国北にあるユニオン。西部はブフラルの消滅と共にほぼ消滅。東部は女神教国の残党に乗っ取られ、こちらも虎視眈々とエルマンド帝国東部、つまりゴバ君のいるドワーフの村、そこにある優秀な武具と奴隷にするためのドワーフたちを狙っている。


 中央部はカルナチョスを中心に逃亡奴隷や逃げた犯罪者を捕まえるという名目でエルマンド帝国侵攻のための兵を集め、軍を編成している最中だ。


 ちなみに、犯罪者を渡せば?という疑問は浮かぶが、賠償としてエルマンド帝国を支配下とすることも要求しているため、受け入れられません。そもそも、ユニオンはエルマンド帝国を国として認めていないし、認めないのだが。そのため、妥協案とかもなし。ユニオンもこの条件は変えないということで交渉は決裂した。


 

 一方、エルマンド帝国の状況は?というと


 エルマンド帝国の現在の領土は、東はモンテス山脈まで、西は魔の森まで、北はユニオンとの境に作った壁までとなっている。実はかなり広大だ。


 そこを開拓するだけでも、大変な労働力が必要で、その労働者に対し、対価を支払うことで、労働者たちは日々の糧を得て、生きることができる。


 元々、生きることに困窮していた者たちがほとんどだったため、少額でもお金がもらえる仕事は彼らにしてみたら、やりがいでしかなかった。


 エルマンド帝国としても労働力はいくらあっても困らない状況であり、現在もユニオンから逃亡者が来るのは困ることではない。


 むしろ開拓が進み、税収入が増えるため、ウエルカム状態だ。


 

 人が増えることで、生まれる人も増える。そうなると孤児も増える。エルドたちがいた孤児院は収容人数が満員で、2つ目、3つ目と建てる必要が出て来た。…公費で建てますよ。


 そんなわけで、エルマンド帝国は現在人口が爆発的に増加している最中である。



 また、南にあるエルフの里と東にあるゴバ君のドワーフの村はエルマンド帝国との同盟地域の扱いでしかるのち、エルマンド帝国領となることを約束している。もちろんクナとゴバ君は了承済である。


 二人とも、ダンジョンマスターというよりは人間と関わりながら人間の社会で暮らしていきたいと思っていたようで、その望み通りになったわけだ。エルマンド帝国としてもありがたい。



 その後、僕がダンジョンバトルの最中、エルドたちが無事リュート神聖国から帰ってきた。


 そして、即位式と建国記念式典が行われ、エルマンド帝国が成立した。


 この年を帝国歴元年とした。


 通貨は他の地域、国と変わらず、リュート神聖国製の硬貨を使用するため、為替変動とかは気にする必要はない。まあ、今のところエルマンド帝国は物々交換が主流であり、現物支給がほとんど。流通まではまだ時間がかかるだろう。



 で、今のエルマンド帝国の一番の問題は、エルドが起こしてくれた。


 エルドたちが帰ってきた時、



「は!?ルルが妊娠した!?誰の子?…お前か~!!ついでに一緒に行ったアイシャも!?え!?それもお前の子!?」

「あ、第一夫人がルルでアイシャは第二夫人な!」

「そういうことじゃなくて、お前何してくれとんねん!」

「いいだろ?後継者ができて」

「それも違う!そういうことを言いたいんじゃなくて、二人とも動けないだろうが!つーか、その状態でダンジョン通らせたんかい!さらに、これからユニオンとの戦争だろうが!どーするんだよ!?」

「二人とも、こっちで魔導士たちの訓練と育成、医療従事者の育成をしてもらうよ。戦争はイオがいれば大丈夫だろ?あと、夫人はこれからも増やすから、よろしく!」



 そんな新皇帝と宰相のやりとりがあったりする。


 よく考えたら、エルドたちって日本でいう中学生年代。その時代って猿だよね?仕方ない?え!?魔法系の主力2人がいない、この状況、どうしよう?


中学生の時は猿だ。という決めつけ。

この世界の倫理観的には重婚OKなのです。主人公はハーレムルートはないけど、他のキャラがないとは言ってないという。


次回更新は1週間後を予定しています。


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