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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
海王とのダンジョンバトル
266/287

266.vs ニニム

すいません。予定より投稿がおそくなりました。


 24階層のボス部屋で待ち受けていた僕らに対し、ニニムは少し驚いた様子とすぐに切り替えたのか、ニヤリと笑みを浮かべた。



「ようやっとお出ましか。待ちくたびれたぞ」

「そうですか」

「ああ、これでこれだけ暴れた甲斐があったというものだ。貴様を倒せばそれで終わりなのだから、実にわかりやすい」

「そこに関しては同意。こっちもあなたを倒せばそれで終わりですので」

「貴様にできるかな?爺!お主たちで向こうの配下と遊んであげなさい。けしてこちらの邪魔はさせないように」



 ニニムの宣言通り、これで僕とニニムのダンジョンマスター同士の一騎打ちだ。ここまでは予定通りである。


 ニニムは変わらずトライデントを構える。この部屋に入る前に魔法無効化空間に入ったためバフなどはすべて切れている状態だ。このちょっとした時間があれば、かけ直すこともできるが、光ったりといったエフェクトが全くなかったことから、それはしていない。


 一方、こちらは動きを阻害しない程度の軽鎧やマント、手袋、金属製のグリーブなどの防具に剣を装備している。こちらも事前にバフは入れていない。いかに長時間のバフをかけたところで、この後、保つはずがないからだ。途中で切れて動きがおかしくなり、致命的な隙をさらすくらいなら、かけない方が良いと判断した。


 また、こちらの装備は全てゴバ君謹製の現最強装備の一式だ。具体的には剣と鎧部分、グリーブは高い硬度と魔法遮断に優れたオリハルコン製。布も糸にミスリルの粉末を混ぜ込んだ軽いが、魔法抵抗に優れ、こちらの魔法を阻害しない物になっている。


 剣を選んだのは、正直、ダンジョンマスターであれば、配下の最も得意な武器にすれば良いのだが、ウチの配下は様々な武器が使えるため、どれを選んでも大差ない。ならば、見た目的にも世界観的に剣だろうということで選んだ。



 どちらともなく、何の合図もなく、ニニムとの戦闘が開始する。



 ニニムの一手目は“ダイダルウエイブ”


 だが、溜めが入ることと、こちらに邪魔は入らないため、コインを人差し指と中指で挟んで投擲する。


「ムっ!?」



 ニニムが顔を歪め、“ダイダルウエイブ”はキャンセルされる。僕が投げたコインはミスリル製のコインで、効果は魔法の発動阻害。しかし、阻害された魔法は発動しなくとも、発動に必要なMPは消費されるという物だ。しかも、当てる必要もない。術者の近くにあればそれだけで効果を発揮する。


 ダイダルウエイブ発動に集中していたニニムは反応が遅れ直撃した。



「やはり無理か」



 ニニムはすぐに発動を諦め、こちらに槍を構えて突っ込んでくる。流石にこのレベルの戦いで比較的長めの溜めを必要とする魔法系は使いにくい。近接戦闘がセオリーだ。


 剣で槍の相手をするには3倍の技量が必要と言われるほど、剣にとっては槍との相性は良くない。僕はニニムの槍にはまともに付き合わず、回避を選択。喰らいそうな攻撃だけをはじくか受け流す。


 ニニムの槍捌きはさすがの一言。こちらの間合いには入らせてくれない。見た目には攻めるニニムに対し、僕は防戦一方に見えているだろう。



 “並列思考”というスキルがある。


 これはその名の通り、身体は一つだが、同時に様々なことができるようになる。意識体を分けるというべきか。


 だが、限界もある。


 LV依存型のスキルで、この場合のLVはスキルレベルではなく、肉体レベル。これが高いほど分けることができるが、最高で5つまで。僕は4つが限界だ。そして、ニニムも同じくらいだろう。


 1つはニニムとの近接戦闘に。1つはニニムの補助魔法に対する対応。もう一つは周囲への警戒、様子見。最後の一つは情報収集と処理。特にニニムの。


 このバランスが絶妙で、ここが崩れると一気に持っていかれてしまう。



 この間、ゴブオウとガキンはニニムの配下をうまく抑え込めているが、こちらの援護をするほどの余裕はない。状況は五分といったところか。


 こっちは相変わらず、ニニムの攻撃をいなしつつ、反撃の隙を伺うが、全く機会がない。このまま膠着状態でも悪くはないが、何かのきっかけで一気に形勢が傾くことも考慮し、多少強引に攻撃を当てに行ってみる。


 

 ニニムの槍による攻撃を捌き、受け流す中で、明らかにほとんどダメージにはならない攻撃をわざと受け流しに失敗したように見せつつ、そのまま間合いに入り、切りつける。


 その動きを見て、ニニムも対応を変え、直撃を喰らわない程度の浅い傷を負うが、さらに反撃してきた。この攻撃をこちらは退避の一択。まともに喰らえば、即死もありえる威力。


 この攻防後、距離が離れた。ニニムは自身の胸についた傷を見て



「やるやないか。今のは危なかった」

「そっちこそ。最後のは喰らえない」

「やはり貴様も自動回復持ちか」

「当然だね。でなきゃ、今のはできないさ」

「だが、今の攻防でわかったことがある」

「こっちもね」



 今の攻防でお互いに付けた傷は、会話をしている最中に回復する。やはり、この程度のダメージは即回復するようだ。


 そして、今の攻防で見えたことは、HPとMPはわからないが、おそらくはほぼ同じくらい。お互いに比較的大きな傷を負えば、回復に時間がかかるようになる。そして、ニニムの限界突破しているステータスはHPMPの他はSTRのみ。

 

 こちらと比較して、STRつまり攻撃力はニニムの方が上だが、AGI、素早さはこちらに分がある。いわゆるパワーでは負けているがスピードは上回っている状態だ。


 ボクシングの心理的には1発があるが当たらなければどうということはないということだ。それに、今の素の状態なら一撃でこちらを倒すほどの攻撃力でもない。


 また、お互い、自動回復を持っていることと、不老かつ完全異常耐性持ちのため、永遠に戦闘が可能である。


 つまり、こちらもニニムは倒せないが、向こうもこちらを倒せないという状態。だが、油断は禁物。だって、切り結んでいる最中、無詠唱で氷弾とか水弾が飛んでくるようになった。まあ、こちらも対応するが。


 さらに、途中で自分にバフをかけてみたり、こちらの体勢を崩そうとしたりといったことを近接戦闘に混ぜてくる。しかし、そこは対応が可能。また、ニニムは水が周囲にないためか、動きが良くない。


 と、思ったら、切り結んでいる最中に死角からの尾びれ攻撃がきた。退避一択だ。もう!こういうのが本当に油断ならない。あぶねー。で、こっちが引いたのを見て、傘にかかって攻めてくるニニム。さばけるけど、反撃のすき間がない。



「高速連打」

「高速連斬」

「水弾」

「水弾」

「氷弾」

「氷弾」



 対応している中で、通常攻撃も混ざってくる。おそらく通常攻撃ではなく、毒や麻痺といった追加効果持ちの攻撃なのだろうが、完全に状態異常無効の僕に対しては通常攻撃となんら変わりない。



 こちらも反撃で多少ダメージは与えるものの、倒すところまではいかない。というかいけない。だが、いいさ。予定通りだ。


 このまま何日でも何週間でも戦いつづけてやるよ。

 


 こうして、お互い決め手を欠いたまま、時間だけが過ぎていく。


 僕とニニムの戦いは1週間。ダンジョンバトルが終わるまで決着はつかなかった。



いつもありがとうございます。


次回更新は次の日曜日夜を予定しています。

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