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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
海王とのダンジョンバトル
259/287

259.ニニム無双

タイトル通りです。



 まだダンジョンバトルが始まったばかりというところで、援軍としてやってきたのが、海王ニニム自身。



「お供を連れているにしろ、タイミング的に早すぎるだろ!?」



 そう驚いてしまったほどの奇策。


 明らかな短期決戦ならばともかく、今回のように比較的長期戦と言って良いのかは定かではないが、それなりに時間がかかることが予測されるダンジョンバトルで、こんな序盤から最大の大駒を出してくるとは。


 たしか、この前、入り口に入る前のバトル空間にいかに大駒を用意しておけるか云々という話をしたような気がするが、通常はマスター代行だろう。ダンジョンマスター自身が来るにはリスクが高すぎる。なにせ、取られた時点で負けなのだから。


 もちろん、ダンジョンマスターを置いておくことそのものに反対しているわけではない。


 ダンジョンマスターが不在の状況を長く続けることに反対なのと、この序盤で切るようなカードではないということを言いたいだけだ。



「これは理解ができませんな。なめられているか、何も考えていないか、はたまたその両方。どれにしろ、敵失であるようにしか見えません」



 ガキンが言う以外の何か狙いがあるのだろうとは思うが、全く思い浮かばない。ここでニニムの思惑は、磨り潰すかのように大量のモンスターを絶え間なくぶつけること。物量戦と消耗戦を仕掛けること。これが来るとおもっているはず。

 

 誰でも思いつく対処法だ。そして、海王ニニムにとって一番厳しい対処法のはず。


 ここで打開策として考えられるのは、海王ニニムを陽動とし、別動隊で攻略という方法だ。


 さて、こうして考えたり、話している間に海王ニニムは空を泳ぐように移動してくる。トドのようにヒレを使って地面を移動しないようだ。…罠対策か。


 そして、その海王を追うように出て来た別部隊。これは別動隊を使っての陽動と攻略で間違いないかな?しかし、それにしては、海王の入ってきた入り口と同じ入り口から入ってきたな?別動隊なら、少しでも気が付かれないように入り口も変えると思うのだが?


 ちなみに海王に『上級鑑定』をしてみたが、弾かれた。正確にはステータスがオール1と言う表示になっている。

 当然、海王ニニムも『上級鑑定』を持っている。『鑑定偽装』は鑑定能力が同じなら偽装効果が勝る。つまり、海王ニニムを鑑定するのは不可能だ。これに関しては想定内ではあるが。ちなみにこれは一部の配下にも適応される。ダンジョンマスター代行までだが。


 今ニニムと同じ入り口から入ってきた人型のクジラっぽいやつがそうで、種族はホエールバトラーというらしい。…闘士バトラー執事バトラーがかかっているのか?



「マスター、そこはどうでも良いです。というか、一人でぶつぶつ気持ち悪いです」



 ゴブオウに突っ込まれた。考えていたことが口に出ていたようだ。



「ああ、すまんすまん。いや、別動隊でニニムが陽動だと思ったんだが、それなら、別動隊が同じ入り口から入ってきたのが不思議でな」

「確かに。そうですね。元々、監視はしているので別の入り口から入ってきても、見つけることはできますが、それでも、同じ入り口から入るのは不自然ですな」

「まあ、様子を見るしかないか。どちらにしろ手出しできないし。それより、問題は海王の方だ」

「ええ、あれは最低でも最下層クラスのモンスターを出さないと、戦力の分散で各個撃破されますね」

「能力が探れるとも思わないけど、少しぶつけてみようか?その対応を見て考えよう」



 情報不足過ぎて適切な対処法が見えない。海王の思惑にあえて乗って見て情報収集だな。




 一方、海王ニニムは、先遣隊として送った部下たちからの救援通信を受けて我先にとダンジョンへ侵攻していく。


 ニニムはトド系の海獣を元にしており、ヒレから陸上では足になるような器用なことはできないので、空中を泳ぐことで移動する。


 高速で移動するニニムが7層に着いたとき、部下たちはほぼ壊滅に近い状態になっていた。



「うむ。ワシが来たからにはもう安心せい。…む!?我が親衛隊はどこに行った?迷子か。探しに行きたいが、時間がない。仕方あるまいワシだけでも先へ進もう」



 もちろん、そんなわけがない。ただ単にニニムの移動速度が速すぎたために、親衛隊が追いつけなかっただけだ。



 壊滅しかけた部下たちへ



『アースヒール』



 地属性と光属性の混合魔法である範囲回復魔法をかけて、息のあったものすべてを回復する。下位のモンスターしかいなかったこともあり、HPは全回復だ。


 アースヒールは部位欠損すら回復可能な回復系でもかなり上位に入る魔法である。これが使えるのはモンスターを入れてもそう多くはないはず。



「では行くぞ」

「あ、お待ちください。この先にはモンスターたちが。それに、まだ未調査区域でございます」



 回復したモンスターたちが諫めるが、



「ん?」



 イオ側のモンスターたちはニニムが出た時点で、マスターの指示通り逃げに徹したため、姿はない。


 すぐにニニム配下のモンスターたちは調査魔法を使い、罠などを調査。


 一方、ニニムはそんな配下のことなぞ気にした風もなく、階段を探し当て、8層へ降りていく。



 8層目で雑魚モンスターを駆逐しつつ、階段前の部屋で待ち受けていたのはオーガ10体とワーウルフ5体を率いたオーガリーダー。


 連携の取れたパワー型の肉体派モンスターの代表格たちだったのだが‥



「雑魚どもが。そこをどくが良い!」



 ナギナタのような武器を持ったニニムが横一閃に振るうだけで前方の壁まで切るような剣風で一撃死させられる。



 9層目でオーガを中心とした、モンスターたちが阻もうとするが、全く歯が立たず。打ち合いにすら持ち込めない。


 火炎草たちが足元から焼き払おうと炎を吐くが、その炎ごと切られる。


 しまいにはミスリルでできたゴーレム、ミスリルゴーレムすら切り裂かれる始末。ミスリルって魔法的な効果はほとんど効かず、物理にもかなり強いんだが。それを力だけでとは。


 通常ならば、罠の方に誘導したり、遠回りさせて時間を稼ぐなどをするのだが、ニニムがあまりにも強すぎて、一切、イオの配下のモンスターの思い通りにはさせてくれない。


 9層の階段前の大部屋で待ち受けていた属性竜とそれに騎乗した竜人、ドラゴンソルジャー10体ずつ。その周囲を猛毒の牙と爪を持つポイズンウルフたち20体が控え、隙を狙う。


 通常なら絶望的な数と相手なのだが、



「ニューン!!ゲバッハッハッハ!!!」



 楽しそうに無傷で無双しているニニム。



「それそれっ!!」



 ナギナタを高速で突き刺すように繰り出すニニム。ポイズンウルフは一突き一殺とばかりに倒し、ドラゴンソルジャーを乗っている属性竜ごと切り裂く。ニニムさん絶好調である。



「準備運動も終わったぞい。さあ、本番じゃ!」



 ニニムがそういう頃には皆やられた後である。


 ニニムは周りを見て、



「なんじゃ、もう終わりか。つまらんの」



 そう言って10層へ。



 10層では属性竜たちがブレスやら牙やら爪やらでニニムを狙うが、当然、全く相手にならない。


 逆にニニムは楽しそうに倒していく。



「やっと調子が出て来たのじゃ~!!」



 全く何も考えずにひたすらモンスターを倒し続けるように見えるニニムだが、危機察知能力は高い。


 入ったら閉じ込めるような罠部屋や天井が落ちてくるような罠など、致命的な罠はきっちり避けていく。



 10層で待ち受けるは、死せる龍、デスドラゴン。そして、その周囲を人型のアンデッドたちが動く。


 このアンデッドたちはただのゾンビではなく、ゾンビには似つかわしくない高速移動と人外の膂力でもって生者を仲間にしようとするリビングデッドや血を求め、血に染まり、血を操る能力を身に着けたブラッディゾンビたちとかなり高位に属する死霊系モンスターたち。



 それを見たニニムは



「ワシ、アンデッドは嫌いなんじゃよ。ワシのかぐわしい加齢臭より臭いんだもんアイツラ」



 キリっと真面目になったおっさんの加齢臭も勘弁してほしい。まあ、ニニムはでっぷり三段腹のおっさんトドだ。自身が加齢臭を放っていることを自覚していたが、特に対策などはしていない。むしろ匂いを気に入っているくらいだ。



 そして、ニニムは魔力を溜め、ナギナタに纏わせる。周囲が震えるほどの魔力量だ。



「消え去れ!!オーラブレード!」



 上から下に振り下ろされる光るナギナタ。


 さらに地震かと間違うほどのもの凄い揺れがイオのダンジョン全体を襲う。


いつもありがとうございます。


今回ニニムに暴れさせ過ぎて、長くなり過ぎました。次回もおっさんトド無双が続きます。



次回更新は一週間後を予定しています。

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