252.海王とのダンジョンバトルに向けた会議
ごめんなさい。投稿し忘れていました。
途中更新も無理でした。すいません。
海王ニニムがダンジョンコアレベル8に到達。1か月後にダンジョンバトルが開始されると連絡が来た。
バトル開始の1週間前にルールの通知が来ることになっている。
そう。通知だ。
今回のダンジョンバトルは魔神様主導ということになるため、こっちで勝手にルールを決めることができない。魔神様から今回のダンジョンバトルはこのルールでやりなさい。と言われ、そのルールで行うことになる。どのようなルールになるかわからないため、まず、長期戦を想定した対応をするが、おそらく、想定外のルールになる。
開始1週間前の通知なので、完ぺきな対応はできないだろうし、させるつもりはないだろう。変に予想して、対応を練っても、逆を行かれたときや、全く想定外の時は無駄な対応どころか、自分で自分の首を絞めることになりかねない。ならば、下手に対応せず、出たとこ勝負の方が良い。
まずは、ダンジョンマスター代行の5人を呼んで会議だな。クナやゴバ君、トトークのダンジョンマスターたちには会議の結果で話をしよう。頼まないといけないこともありそうだし。
今回は、新たに加わった2人、天使族のセラフィムのマクシミリアーノと悪魔族のデーモンロード、アレハンドロの2人も会議初参加だ。
「さて会議を始めよう。と言っても、各々準備はしているから、その継続で問題はないんだけど。何かあるかい?」
「マスター!マスター自身の準備が終わっていませんよ?」
エンシェントエルフのミヒャエルから、言われた準備とは、ダンジョンマスター自身の能力強化のこと。
モンスターは自身より弱い者にかしづくのは本能的に非常に嫌がる。普段はダンジョンマスターの力で無理やり抑えることはできるが、ダンジョンバトルなどでは統制が取れなくなる。具体的には、切り札として温存していたはずが、いざという時に背後から殺されるということになる。
そういったことを防ぐ唯一にして確実な手段が、自分のダンジョンにいる、どのモンスターよりも強くなること。
ダンジョンマスターが強くなる=ステータスの上昇のためには、DPを使っての強化になるが、その使用量が尋常ではなかった。
HPとMPは1000上げるのに1億DPが必要。STR、DEX、AGI、INT、MENはその10倍、つまり10億DPがそれぞれ必要。さらにスキル取得もそれ相応に必要と、とにかく億単位でDPが必要。
5桁に伸ばすための限界突破スキルだけでも、HP、MPは各200億、他は各50億必要でこれだけでも計650億DPかかる。
結果、強化のみにすら今まで貯めたDPをほとんど使い果たすことになった。
1000億でもDPがたりなかったのだから。取捨選択をするしかなくなかったのだ。その悩み中である。つまり、準備が終わっていない。
「後ほど、きっちりやらせていただきます」
なので、こういうしかない。
「絶対ですよ?あとでシャールたちに言っておきますので」
ミヒャエルにそう返された。これで監視付きになりました。
「今回のダンジョンバトルと直接関係はないですが、“女神の悪意”への対応はどうするのですか?」
オーガキングのガキンからの質問だ。
「それは正直、我々には関係ないと言って良い話だな。関係あるのは弱小モンスターたちと一部のモンスターのみだ」
そう答えたのはアレハンドロ。
「確かに、“不老”である我々や毒やその他、状態異常に耐性、もっと言えば無効まで持っている上級クラスのモンスターたちにとって、影響はないからな」
ガキンが言うように、“女神の悪意”である魔力の遺伝子毒への変化に対し、“不老”があるダンジョンマスターやマスター代行には効果を及ぼさない。毒無効の耐性を持っているモンスターも影響はほぼない。
「しかし、人や毒無効を持っていないモンスターにとって、影響は大きい。寿命を削るわけだからな。もしくは特定の行動によっては大量に発生する毒にさらされることになる。その場合は即死があり得る。非常に厳しいと言わざるを得ない」
ゴブリンキングのゴブオウが感想を述べる。
「魔神様にその設定の変更ができないかお伺いをたててみたが、世界崩壊が付いてくるらしい。つまり、神でも不可能ということだ。これからどう対応するかを考えた方が建設的だね」
「対応としては、やはり魔力無効化空間が一番ということでしょうか?マスター」
「そうだね。ゴブオウ。ミヒャエルと色々研究中だけど、一番手っ取り早く、かつ確実に効果があるのが魔力無効化空間ということになる」
他の対策として、“不老”になるのは無理として、魔力の抵抗を上げる。つまりMENの強化と毒耐性の獲得があるが、この2つはすぐにというのは無理だ。MENの強化はどれかけ上げても、多少の効果が出てしまうので根本的な対策にはならないだろうという研究報告が出ていた。耐性獲得までの時間稼ぎとしては有効だろうとも言われていた。
一方、耐性獲得はこれも厳しいと言わざるを得ない。
耐性獲得には大まかに分けて2種類ある。生まれつき持っている継承と毒の摂取などで起きる耐性の獲得と耐性強化。
状態異常耐性は軽減、半減、激減、無効と耐性強化が起きるが、ただ毒にさらされていれば起きるわけではない。ここにもステータスが関係してくる。耐性を無効までするには該当する最低4桁のステータスが必要だと推測されている。
これは、人はもちろん、大抵のモンスターには厳しい基準だ。
大まかにと言ったのは、特殊条件、例えばエルドの持つ天照。この中にあるスキルで毒耐性無効を写し取ってしまえば、あとは使用可能となる。まあ、エルドの場合、耐性系スキルは写し取ってしまえば、自力獲得もしやすくなるらしく、すでに状態異常耐性として獲得するに至っている。
もしくは、毒無効の効果を持つ魔道具を身に着けるというのもある。しかし、数は用意できない。
当然、万人ができることではない。
どちらにしろ、相当な鍛錬、それも低ランクモンスターであれば軽く蹴散らすくらいは当たり前の戦闘力が必要となる。一般人では無理だ。
そうなると、魔力無効化空間がコスト的にも、時間的にもベストになる。
魔力無効化空間の一番簡単な作り方は魔石を加工して、周囲の魔力を吸収する性質も持たせ吸魔石として、それを空間の周囲に配置することだ。
エルマンド帝国の城は周囲に吸魔石を配置して、城全体を魔力無効化空間としており、吸収した魔力を街の街灯などに魔導発光器とでも呼ぶ、つまり電灯の動力源としている。
「しかし、女神は一体何がしたいんでしょうね?これでは、この世界は発展できない」
「それが狙いだと思うよ?女神はこの世界の発展は望んでいないようだし」
マクシミリアーノの疑問はそのまま答えだろう。
推測ではあるが、勇者などを筆頭に前世の記憶持ちが多いと感じていたが、前世、つまり、より文明が進んだ世界の知識が役に立たない、もしくは逆効果となるように世界を創ったことで、前世の記憶持ちが多くても影響が最小限になっている。事前知識なしに内政チートとかはほぼ不可能だろう。
実際、うちのマルコやダンカンのようなひどいことになる。
「我らの目的はそこを乗り越えて、世界の発展を成し遂げることですか。この海王とのダンジョンバトルがそれになんの効果があるのか?」
「直接はないだろうけど、勝てば、エルマンド帝国の発展速度が上昇するだろうね。というより、そこにつなげるよ」
アレハンドロの質問のとおり、このダンジョンバトルと世界の発展は直接つながらないだろう。しかし、こちらが勝てば、こちらにちょっかいをかけてくることはなくなるだけでなく、漁場の確保もありえる。
魚が取れる場所は非常に少ない。大陸西部ではニゴ帝国の一部のみだ。それがユニオン北部で可能になれば、非常に食料的にも、政治的にも大きい。
「あとは、グラムという魔剣が手に入る。この効果は全くわからないけどね」
正直、これが一番わからない。神剣じゃないから、魂を直接攻撃するような効果じゃないことだけは確かだけど。手に入れたらゴバ君の能力で複製できないだろうか?
説明やまとめが多くなってしまい、予定より進みませんでした。ダンジョンバトル開始はもう少し先になります。
次回更新は1週間後で予定しています。