25.これから
伏線を色々だすつもりです。
この世界では冬に軍事行動、襲撃や移動などの大きな行動を起こす生物は少ない。人しかり魔物しかり。理由としては寒さがある。この世界にエアコンといったものは当然ない。暖をとるためにはかまどや暖炉といったものに頼ることになる。カイロもない。そのため大きな移動そのものが難しい。
食料の問題もある。この世界の技術では年中作物を収穫することはできない。輸入によって手に入れることもできない。そのため冬の間は貯蓄していた食料で春になるのを待つしかない。無駄な食料はないのだ。
積雪の問題もある。この周辺は積雪量が多く、冬になると道はなくなる。大きな道でなんとか見える程度で各村落が孤立する。そんな中で無理な移動をすれば行くことも戻ることもできなくなり、凍死することになるだろう。
ではダンジョンはというと、上層階はともかく下層になればなるほど影響は小さくなる。地形変更もできるため季節の影響はなくなる。過酷な火山地帯や豪雪地帯を作り出すこともできる。
ダンジョンはそれだけで“完全な環境”なのである。
つまり、実験や研究には最適な場所でありこれ以上のところはないのである。
「…というわけで、実験室やら試験場やら作るから、何百万かDP使いますので管理お願いします。シャールさん」
「断固お断りさせていただきます。というか、それよりも先にDP使って色々作らなくてはならないものや、やらなくてはならないことがあるのでないでしょうか?そんなことではこれから先が思いやられます。主様」
ということでわがダンジョンメイドのシャールさんを説得?しているのであるが、なかなか許可がもらえない。チクショー。
現在の僕個人の目標は〈外に出ること〉である。もちろんただ、外に出るのではなく、人との交流や戦えることもできなくては意味がない。しかし、ダンジョンマスターの性質上生身、単身での行動は慎むべきことであるため、代役を立てることができればと考えている。最近<憑依>というスキルを覚えた。このことにより僕自身の姿のコピーが作れれば外に出ることと変わらない活動ができるようになる。
色々確認したり実験をする中で人形系にその可能性が1番高いことがわかった。ゴーレムにマッドパペットを組み合わせて姿形だけなら僕のコピーをつくることはできたが、それでは活動限界が数分しかない。しかも、ケガをした場合、血が流れない上、断面が土のためすぐにばれる。時間をかけてでも研究、改良していくしかない。
モンスターたちは順調に育っている。モンスター図鑑から次の進化先がわかるが、進化先をタップすると進化条件が出てくるようになっていた。このことには最近気づいた。これ、気づけない人いると思いますよ、魔神様。
これで順調に進化するかというとそうでもない。モンスターは上位種になればなるほど、寿命が長くなる。それに伴い成熟するまで時間がかかるようになる。それこそ数か月もあればよかったが、数年という単位で成熟に時間をかける種が多くなっていく。当然成熟するまでにやられることもある。それに成熟したからといって、すぐに戦えるわけではない。
僕はモンスターは現代風で言えば、ガチャなどでおなじみのゲームのキャラのようなものだと思っている。“このモンスターがいたら楽勝。いなければ大苦戦、もしくは無理”というような感じでいる。その“いつか”の時に必要なモンスターを手にしておくため、モンスター進化への介入はしなければならない。
ダンジョンマスターの権限を使って強制はしない主人公でした。
次回はこの間主人公の見てきた話を出そうと思っています。