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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
建国編~諸国漫遊~
238/287

238.非公式会談

いつもより、少し長めになりました。変なところで切ってしまったような気が‥。


 役場に行ったその日の夕食前、宿で食事を摂ろうとしたとき、部屋に「コンコン」とノックがあり、



「はい。なんでしょうか。空いていますよ」


「失礼します」



 そう言って入ってきたのは宿のおかみ。随分かしこまった様子で



「お休みのところ申し訳ありませんが、城からの使者ということで騎士の方がお見えになっていまして、お食事前にお伝えしたいことがあると申されていまして‥」



 もう使者がきたようだ。ただ、相手が城の騎士では、そりゃ宿も緊張するよ。ホテルに警察、しかも幹部クラスが直接来たようなものだし。さきほど、馬車の音が聞こえたけど、それか。



「ああ、わかりました。すぐに行きます」



 そういって僕はおかみと一緒に宿の一階のロビーにあたるところに行くと、明らかに正装した城からの騎士がいた。オイ、リュートもう少し考えろよ。


 この騎士、正装しているが、明らかに戦闘向きの身体をしている。というか鍛えた筋肉が隠せていない。使者というか、護衛?



「イオ様でいらっしゃいますか?自分はリュート神聖国第一騎士団所属のバイロンと申します。城のさる高貴なるお方があなた様を城へと招きたいと申しておりまして、都合の良い日を教えていただけませんでしょうか?」



 おい、リュート。だから考えろと言いたい。第一騎士団って確か、王族の護衛専門の近衛じゃないか!?宿のおかみも自己紹介聞いた瞬間、「ヒェッ!」って変な声出していたし。さるお方って、少なくとも王族で確定ってこの国の人ならまずわかるだろうが。



「わざわざ、ご足労おかけしてすいません。こちらはしばらく予定が空いていますので、そちらの都合の良いときでかまいませんとお伝えください」


「おお。では、明日朝迎えに参りますので、それでよろしいでしょうか?」


「わかりました。なるべく内密でお願いします」


「かしこまりました。では非公式の会談をご希望ということですね?そのように伝えておきます」



 僕が返事をしたら、明日って、随分早いな。普通こういうのは、何日かは絶対かかるものだろうに。あと、今回のような大ごとは目立って困る。なるべく穏便にお願いしたい。こっちはそんな大層な人物ではないのに。


 使者のバイロンさんは颯爽と踵を返し、一礼して去っていく。入り口から明らかに豪華な馬車が見えるのだが‥。これじゃ、なんのためにこういうアットホームな宿にしたのか意味がなくなるよ。


 この後の夕食では、どこの王族だってくらい丁重に扱われたのは言うまでもない。




 朝一で昨日チラッと見た馬車で迎えに来たバイロンさん。昨日、「穏便に」って言ったはずなのだが?明らかにこの馬車、王室御用達とかそういうのだよね?


 もう今更言っても仕方ないので、そのまま馬車に乗り、城まで連れていってもらう。


 道中、明らかに目立っているのは言うまでもない。非公式じゃないんかい!?と言ってやりたい。



 城に着いた後、すぐに応接室に通される。途中の門やら、チェックやら?全部素通りでしたよ。おい、なんだ、このVIP待遇。絶対後でヒソヒソ言われるやつだろ。これ!?



 城に入った時から気が付いたが、この城内、魔力が一切ない。おそらく魔力排除の仕掛けがあるのだろうが、これで魔法の使用が不可なだけでなく、外からの魔法も無効化できる。よくRPGなんかである魔法無効化空間だ。


 この世界の人間の国でこんなことを実現しているのはこの国くらいだろう。



 そして、案内された応接室。入った瞬間、僕は固まった。


 豪華なデカい部屋に、デカいソファー。明らかに良い革だよ。ソファーとソファーの真ん中に綺麗な木目のでかい一枚の木の板のテーブル。


 一目で、贅を尽くしましたと言わんばかりの調度品も周りに置かれている応接室。これ最高級だよね?これで普通とか言われたらどうすればいい!?そんな部屋。


 部屋もすごいのだが、固まった理由はそこではなく、対面のソファーに着飾った男3人。真ん中にリュート。両サイドは‥もしかして。っていう人がいたから。



「やあ、イオ、遠路はるばるよく来たね。まあ、座りなよ」



 そういって座るよう促すリュート。横にいる2人は明らかに緊張しているのが伝わってくる。



「さて、非公式の会談だし、礼儀とかは省かせてもらうよ?」


「ああ、構わない」



 僕が座るとリュートが話し出した。詳しい礼儀は僕もわからないから助かる。



「さて、まずは2人に紹介しよう。今回来てくれたのは、私の盟友たるイオ。伝えた通り、表向きはエルラノーア商会の会頭だが、実際はダンジョンマスターであり、このセントリクス大陸西部の覇者だ」


「!?え!?言っちゃうの。ソレ?」


「ああ、この2人は大丈夫だよ。イオ。はい、2人とも自己紹介して」



 リュートは僕の紹介でダンジョンマスターだといきなりバラシおった。あと、セントリクス大陸西部の覇者ではないぞ。だた、住んでて、色々裏でやっているだけで。


 リュートの横の2人が自己紹介する。



「朕はこのリュート神聖国の国王をしている、リュート13世である。リュート神の盟友とこうしてお目通り願えて、恐悦至極。歓喜の至り。どうぞこれからよしなに頼む」


「私はこのリュート神聖国の宰相を務めています、レオナルドと申しますじゃ。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします」



 …やはり。国王と宰相だったよ。


 リュートの右となりにいる30代と思われる金髪イケメンが国王で左にいる茶髪に白髪交じりの50代くらいと思われる人の良さそうなおじさんが宰相。

 

 この世界の30代っておじいさん扱いなのだが、国王はそんなことはなく、いたって普通のイケメン。まだまだ長生きするだろう。噂の通りリュート神聖国の王族は長寿らしい。


 というか、どこの馬の骨ともわからない、ただの子供に国王と宰相が対応するとか、絶対ないからな?そもそも僕に用などないだろう。この人たちは。



「僕は大陸西部のワールハイトという都市を中心に活動しているエルラノーア商会という商会の会頭をしています、イオです。本日は国王陛下、宰相閣下にお会いでき、歓喜に堪えません。ぜひ今後とも…」


「イオ、そういうのいいよ。この2人にそういうのはなくて大丈夫。いつもどおりでいいよ。敬語も不要」



 張り切って自己紹介していたら、リュートがそんなことを言ってきた。それに追撃とばかりに国王が話し出す。



「リュート神の言う通りですよ。イオ様はリュート神と並ぶ神にも等しいお方。そのような態度では我らもどう対応してよいか。困ってしまう」


「‥わかりました。これでよいでしょうか?」



 ウンウンと3人が頷く。お互い絶対ありえない対応だと思うが、3人が良いなら良いと思うことにした。もう、どうにでもなれだ。



「実はさ、イオ。こっちはあとで話すとして、この2人がイオと話たいことがあるそうなんだよ。聞いてくれるかい?」


「‥なんでしょうか?」



 リュートが説明しだしたが、今回の本題は国王と宰相だったらしい。しかし、2人に話などあるのだろうか?


 一つ咳払いをして国王が話し出す。



「まず、本題に入る前に一つ言っておきますと、代々の国王と宰相のみがリュート神がダンジョンマスターであることを知ることになります。この際、みだりに口外すると契約魔法により、防衛機能が働くようになります。具体的には過去に数名おりましてな、皆、話をした相手を殺し、死んでおります。表向きは病死といたしますが。なので、絶対に口外することはありえません」



 物騒な防衛機能だな、と思ううちに国王の話は続く。



「では、本題ですが、イオ様方の状況はリュート神より聞いております。また手の者がおります故、そちらからの報告にも齟齬はおおむね見当たらず、我らは大陸西部の大方のことを存じております。単刀直入に申しますと、イオ様がたの国が興った暁には我らリュート神聖国と同盟国となっていただきたい」



 さて、この提案、こちらとしては願ってもない。国として認めてもらうには他国の承認がっ手っ取り早い。しかも世界一の大国だ。しかし、これはむこうにも必ず何らかの利益がないと成立しない。わからないので素直に聞いてみる事にしよう。



「そのお話、こちらとしては大変ありがたいのですが、一体何をお求めで?」

「そうですなぁ。我らは正常な貿易を求めています。今も昔も。しかし、イオ様はこちらへ来るときに5本川を横断しましたよね?あの町の船で」

「ええ」

「その時、どう思いました?あれでまともな貿易が成立すると思いますか?」



 なるほど。少し読めて来た。

確かにあれではまともな貿易は厳しい。物がいつ届くのかわからず、そもそも事前の予算どおりになることはまず、ないだろう。

 こちらの様子を見て、国王が続ける。



「さらに言えば、我らはユニオンに対しても不信感しかない。元々、通商で不意に関税を課したり、規定の物が来なかったりしていたことが多数であったにもかかわらず、我らの敵である女神教のかつての幹部連中をもかくまっておりますし、もはや、かの連合とは国単位での商売は厳しい。かといって、戦争にするには大義名分が弱い上、地の利は向こう。こちらから攻めるには明らかに被害が大きすぎる」

「さらにいえば、資金的にも厳しい。戦争後のせっかくの好景気に水を差すことになるのですじゃ」



 国王の説明に宰相の補足が入る。だが、理解した。つまりはこういうことだろう



「つまり、我らの国が興り、ユニオンと対抗、もしくは併合してしまえと?」

「そうですじゃ、そのための支援を用意いたします。まあ、次期国王と面会するのが条件になりますが。そして、その後、5本川の流域の街へ圧力をかける。具体的には今の乗船チケットの販売方法の見直しですな」



 宰相が言うことは、戦力や資金など、こちらの準備に時間がかかるのは間違いないが、できなくはない、か?だが、5本川のことに関しては圧力なんかより、良い方法がある。こちらもあちこち相談して、まず、許可を取らないといけない奴がいるが。



「お話はわかりました。ユニオンとのことや5本川のことを纏めて解決できるかもしれない方法があります。相手方の許可や準備などは必要ですが。しかし、うまくいけばユニオンや5本川のところを通さず、直接我らと取引が可能になります」

「「おお!」」



 国王や宰相は気が付いていないみたいだが、リュートは気が付いたようだ。まあ、以前から少し案としてはあったからな。それを具体的な話にしていくだけだ。



「5本川を通さず、新たな道を創れば良いということです。具体的にはダンジョンを通って、直接山脈を超えることができれば良い。南西部にあるサミーのダンジョンの一階部分のみ通行許可をもらい、道を作ってしまいましょう」



いつもありがとうございます。


国王と宰相との話が予定より長くなってしまったので、ここで切りました。


次回更新は1週間後です。

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