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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
建国編~諸国漫遊~
234/287

234.ムルシアへ

いつもありがとうございます。




 僕は鍛冶師の村、ブラックスミスを出て、リュート神聖国へと向かう。ルートとしてはこのまま北上してユニオン東部に入ることになる。



 ブラックスミスから北上すると小さな湖がある平原に出る。ここは東にあるモンテス山脈にいるドラゴンの水飲み場となっていて、普通、人は来ない。そのため、今までブラックスミスのことが公にならずにいられた。

 もちろん、これはサミーの配慮である。部下のドラゴンたちを表に出すことで息抜きをさせ、ブラックスミスを守りつつ、ドラゴンたちの強さを見せつけることで、ユニオンの目をドラゴンたちに向けさせた策である。


 そのためブラックスミスとユニオンを直接移動はできない。ではこの平原を迂回すれば良いか?というと、それも簡単ではない。東側はモンテス山脈に近く、森が広がっている。魔の森に匹敵するモンスターが多数いる森で安易な移動はできない。ドラゴンたちの通り道でもあるため、上空への警戒も必須。こっちを通ろうとする者はほぼいない。


 となると西だが、ほとんど人が入っていない場所のため、道らしい道はない。そもそもブラックスミスのことを知る者はほぼユニオンにいない。表だって行こうとする者はいないのだから。

 場所自体もそういうわけで非常に移動がしにくい状態となっている。道を作るなどしない限り、大きな荷物を持つ移動はかなり厳しいだろう。もちろん弱いがモンスターも出る。

 そのようなわけで、ユニオンとブラックスミスの間のやり取りはできす、行商人が行き来するということもない。

 行き来できるとすれば、ルートをしっかり選び、かつそこそこの力がある者に限られる。



 僕は最初、平原をまっすぐ通ろうかと思ったのだが、やめた。今のホムンクルスでは味方のモンスターであろうとも味方と認識しないため襲われるので、サミーに言って襲わないよう頼むことも考えたが、来年エルドたちがここを通るかもしれないことを考えると、いまのうちに人が通れるルートを見つけておくことも大事だと思ったからだ。



 ブラックスミスの北西側に道を作りつつ進む。もちろん道といってもきちんとした物ではなく、獣道のように細い道で人一人がやっと通れるような道だ。大きな荷車を引くような道でなければ、ここに道を作っても問題はないはず。



 道中は野営をしつつ、モンスターが出るので警戒して進む。途中でゴブリンの集落があったが、そこに気づかれないよう移動してやり過ごす。野営は一人の時はテントなど使わず、樹の上などで過ごし襲われにくいようにする。



 ゴブリンの集落はユニオンに近いところにあったらしく、すぐにユニオン入りができた。ユニオンに入ったといっても、検問のようなものがあるわけではない。ただ、平原に出て、近くに村が見えたから、そう思っただけだ。


 当然といえば当然だが、このゴブリンの集落に近い村はたびたびゴブリンに襲われているようであちこちに戦闘の跡が見える。村自体も何の変哲もないいたって普通の村だ。ユニオンが巨大な人の組織で金持ちとはいえ、このような辺境の村までお金があるわけではない。



 ここのゴブリンは僕の配下とは何の関係もないゴブリンであり、対処はこの村全体で考えるべきことであるため、僕はゴブリンへの対処は何もしない。ブラックスミスに一番近い町であるパンパまでの道を聞き、早々に立ち去った。



 パンパまでの道中、特にイベントもなく、途中いくつかの村によって、宿泊し、また移動と言うのを繰り返し、目的地であるパンパに到着した。



 パンパは町といっても少し大きな村程度の大きさで5万人もいないだろうという町だ。


 パンパはそれほど大きな町ではないが、周辺の開拓された村が多く、それらの村で収穫された農作物を運ぶ中継都市として機能している。もちろんパンパでも農作物は作られ、各地に売られている。東西を結ぶ一番大きな主要街道から外れている町だが、ユニオン内では比較的食料と言う点で大きな役割を果たしている。

 また、周囲は開拓され切った村や都市で囲まれており、東にあるモンテス山脈、その周囲にある森からも距離があるため、大量のモンスターが出て来ない限り安全だと思われている。



 このくらいの規模の町だと入るとき入町税がかかる。ちなみに、町民は銀貨1枚、それ以外は大銀貨1枚かかる。銀貨10枚で大銀貨1枚のため、10倍かかることになる。この金額は一般市民が払うのは結構厳しい額であるため、商会や領主の関係者など比較的裕福な人しか来ない。

まあ、僕は問題ないが。



 町に入ると領主館まで続くまっすぐで大きな道があり、その両横にお店や宿などが立ち並ぶ。

周囲にモンスターがほぼいないため、傭兵はいない。パンパ所属の騎士はいて、彼らが警備や周囲の見回りなどをしている。町に入るのにお金がかかることもあり、旅行者はほぼいない。

 

 ここに住んでいる人しかいないので、人口の割に閑散としているように感じるが、ユニオン東部の比較的大きな町は皆、同じような制度で、金額も大きな町ほど高くなる傾向にあるので、どこも同じような感じだ。ここがワールハイトとは大きく違うところだろう。ワールハイトも入町税はあるが、もっと安いし、町民はかからない。


 

 そんなパンパにも僕らのエルラノーア商会、その傘下の商会がある。主な扱いは農産物で、周囲の村から集まった農産物を各地へ販売する行商人へ売ったり、傘下の行商人へ運ばせたりしている。


 僕はここで、今まで狩ってきたモンスターの肉などを渡して、少量のお金をもらう。


 そして一泊してから移動を開始する。

 パンパくらいの規模の町には女神教の教会があり、英雄が数名いる。英雄は周辺の開拓中の村に行き、モンスターを狩る。町は派遣した村から派遣費をもらう。捕まると色々面倒くさいことになるので、さっさと次の街に行く。



 ここからは主要街道を通るとほぼ、魔物は出ない。代わりに野盗、強盗の類が出てくるようになる。



 次の目的はモンテス山脈北の5本川を超えることで、超える前に5本川に一番近いムルシアという町が目的地になる。



 確認をしておくと、リュート神聖国へ行くには、モンテス山脈を超えなくてはいけないのだが、モンテス山脈は超えられるような山脈ではない。しかし、北には平原というより、大きな川があり、その川の中州にも町がある。


 源流はモンテス山脈を通る水と雪解け水なのだが、あまりにも川が大きく、中州ができるのだが、その中州も大きいため、町ができるほど。本来は1本の大河なのだが、中州を見ると5本の川に見えるため、5本川と呼ばれている。


 ムルシアはその5本川の最もユニオン側にある町だ。リュート神聖国へ行くため、5本川を渡るためには必ず寄らなくてはいけない町である。



 パンパからムルシアまでは、一旦、一番大きな主要街道の途中にある比較的大きな町に出て、そのまま主要街道を通れば安全にムルシアまで行くことができる。流石にユニオンの発展を長年支えた主要街道。道中にモンスターや野盗は出ない。


 主要街道と言うだけあって、道は荷車程度なら余裕ですれ違えるくらいの広さがあり、この世界では非常に珍しい石畳の道になっている。



 僕はのんびり歩きながら進む。道中盗賊の類も全く出ず、若干さみしさ?も感じながら移動しているが、本当に道が長いだけで何にもイベントがない。それでもパンパから1週間ほどかかってムルシアにたどり着いた。



 入町税を払ってムルシアに入り、今日はこのまま1泊。翌日船で1つ目の中州へ行く予定だ。


 元々ムルシアは川を渡ろうとする人が集まって、渡る準備をしている人や支える人などを相手に商売を始める人が来てと言った具合に発展してきた町で、特産などは全くない。入町税も町民以外は大銀貨2枚と高額で、ユニオンにもリュート神聖国にも属していない完全な自治都市群の中の1つだ。



 しかし、リュート神聖国とユニオンを繋ぐ唯一の町であるためそれでも人が集まる。このムルシアに来ないと5本川は渡れないため来るしかない。人が集まるしかないのだ。


 5本川は大きいから他のところからも渡れるのでは?と思う人もいるが、実行した者はいない。正確には生きていない。渡れないからだ。



 この5本川、中州がないところは非常に広い。そもそもこの中州、1日で1つを渡るのが普通。つまり、最低5日かかる。しかも上流は流れが速く、下流はモンスターが出る。特に下流は海王の領域と言われているし、実際そうなのだが。


 下流を渡るのは不可能。かといって上流を渡れるほどの造船技術がない。渡るためのギリギリがこの5本川のところであり、ムルシアを通らないと言う選択肢はない。


 さて、宿を取ったが、渡るための船の手配をしなければいけない。ここでは船の手配は造船協会なる船の管理組合がしている。ここを通さないと船は出せないし乗れない。しかし、聞いてみると



「明日?満員だよ。予約で受け付けているのは3日後からだが、金額の多い方が優先されるから、乗れないこともあるよ?」



 だそうだ。


 ‥は?



 一応決まった金額があるが、その金額にあとどれだけ上乗せするかで乗れるかどうかが決まるらしい。それは定額とは言わないぞ?しかも、これ川を渡るまで全部の町でやるのか?どんだけ金かかるんだよ?


リュート神聖国への道中 前編でした。


一応、異世界悪徳商人組合というつもりです。

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