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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
建国編~諸国漫遊~
229/287

229.ダンジョン攻略中?

いつもありがとうございます。


 エルドたちがクナのダンジョン攻略に向かった後の会議室。残っているのは僕とクナとその側近のエルフだけという状況。もちろん、その側近も僕がダンジョンマスターだということは知っている。



「さて。クナに色々聞きたいんだけど?」

「ん?何?」

「今回の条件をダンジョン攻略にした理由は何かな?と思ってね」



 条件は色々あったはずで、なぜその中からダンジョン攻略にしたのか?ということだ。


 ちなみに、今回の攻略予定のクナのダンジョンはここエルフの里の戦士の訓練用ダンジョンで、全20階層。5層ごとに難易度が上がり、今回のクナの条件はそのダンジョンの20階層にある宝玉に触れば条件達成となる。

 攻略が完了となる20階層の難易度は人間の基準で言うと世界最高の戦士たちを圧倒できる戦力が必要なくらい。といえばわかるだろうか?つまり今のエルドたちでは攻略はほぼ不可能な難易度である。うまくいけば15階までは行けるかな?ってところだ。



「はっきり言うと、アイツラ弱いでしょ?人間の中じゃ最上位に近いところにいるだろうけど。というより、人間とモンスターで戦闘能力差が激しすぎるのが悪いんだけど。このままじゃ、どこかでアイツラ全員死ぬと思うから、どこかで鍛えてあげないとね?そのことはアナタも考えていたんでしょ?それを私がやってあげる。まあ、おいしい食事と寝床、それに命は取らないって条件なんだから、訓練としては破格でしょ?」



 クナの言う通り、エルドたちは人間の中では強い。まず、間違いなく世界最高クラスの強さになっている。しかし、モンスターはそれをはるかに凌駕し、歯牙にもかけないくらいの強さを持つ個体が多数いる。

 僕の領域テリトリー内ではないが、今後領域テリトリーを出た場合、そういったモンスターに遭遇しないとは言い切れない。最低限逃げ切れるだけの強さや判断力が求められる。


 特にエルドが本当に王になるのであれば、その周りに暗殺を防ぐだけの人やできれば自身にそういう強さを身に着けてもらいたい。


 クナが言うように、どこかで僕がそれ用のダンジョンを作ってしばらく放り込もうと思っていたのだが、クナがやってくれるというのならそれで良い。



 クナの訓練用ダンジョンだが、仕様自体は非常に甘い。なにせあくまでも“訓練用”だ。各階層の出入り口に転移用の魔法陣があり、進んだところからやり直し、つまりセーブ&ロードができる上に、死なないからだ。


 最初にダンジョンに入る前に全員専用の腕輪をしてもらい、その腕輪を身に着けた生物のみが、恩恵を受けられる。転移陣の利用であったりとか、死亡ダメージを受けた際、HPを1だけ残し、入り口への転移をするなどだ。


 その分、訓練用であるため、戦闘能力だけでなく、あらゆる状況や環境への対応力だとか、罠なども階層が進むにつれてえげつなくなる。初見殺しのデス・トラップなども増えてくる。



 エルドたちに里で許されているのは、ダンジョンへの入場と、それに関連する施設の利用だ。


 例えば、宿泊施設。利用にお金はかからないが、ダンジョン攻略状況で対応が変わる。具体的には、低階層の攻略しかできていなければ、それなりのところと対応に。逆に15階層以降の攻略が可能であれば、温泉などを含む最高クラスの対応になる。


 つまり、進めば進むほど対応が良くなるわけで、やる気はどんどん高くなる。物で釣る作戦だ。


 他には鍛冶場では武器や防具のメンテナンスだけではなく、持ち込んだ素材を使ってオーダーメイドで装備品を作ってくれる。


 マジックアイテムショップでも鍛冶場と同様に欲しい、必要と思ったマジックアイテムを作ってもらえたりするし、雑貨屋では下着などの生活必需品や各種回復用ポーションなども扱っている。(もちろん、素材は持ち込まないといけない)


 図書館ではダンジョン内にいるモンスターの特徴などの情報や、罠への対応法が書かれた本などを置いてある。

 


 そういった戦闘訓練特化の状況にエルドたちを放り込むことで、短時間での戦闘能力アップを狙うわけだ。だが、20階層までの攻略は簡単ではない。おそらくだが、攻略まで数カ月はかかると踏んでいる。



「‥訓練としての環境は良いが、仕上がるまで時間がかかる。その間、僕はせっせと食料を運べと?」

「イオは空間収納持ちだし、荷車も貸すから、頑張って運んでね?どうせ、そのうち誰かに任せるんでしょ?」

「当然」



 誰がそんな仕事を延々とするか!?村にはそういった仕事すらやりたいと言う人がたくさんいるんだから、そのうち誰か雇う予定ではいた。つまり、その間僕は手が空くわけで‥。



「そろそろ、ダンジョンマスターに戻ったら?目が届いてないところもたくさんあるでしょうし、皆も待っているから」



 クナの狙いはここだったようだ。




 僕はエルフの里から大量の食料を持ち、手押しの大きな荷車を曳きながら、来た道を戻り、逃亡者の村へ。


 たった数週間ではあったが、村の開拓が進み、道中、家と畑ができていた。魔物退治も順調のようだ。



 持ってきた食料を村の裏のまとめ役であるカミロさんやエルマンド商会の人に渡し、後を任せる。事情を説明し、ついでにエルフの里へ行って食料を運んでくれる人を募集してもらい、その人達を連れて再度エルフの里へ行き、担当のエルフに顔合わせして‥と忙しく動いていたが、エルドたちの状況も気になり様子を見ることにした。



 エルドたちは宿にいた。10階層までは攻略したのだが、そこで詰まっていた。僕という回復役がいなくなり、回復用ポーションを飲む時間がなくなりと後手を踏み続けたためだ。



「せめてあと一人いれば違うのになぁ。できれば回復魔法が使える人だと嬉しいのになぁ」



 そういってこっちをチラチラ見てくるエルド。わかったよ。僕は行けないからもう一人連れてくるよ。




 と、いうわけでやってきましたワールハイト。


 いや~このところエルフの里と逃亡者の村を繋ぐ道が整備されて、大分楽に移動できるようになっていましたよ。魔物の森はどうしたって?そこはクナから魔物避けポーションをいくつかもらって切り抜けましたよ?これがあると野営も楽々なんですよね。

 え?最初から使え?それをするとエルドたちの訓練にならないでしょ。しかも魔物の素材も手に入らないし。




 エルド傭兵団の中から信頼でき、かつ回復魔法が使えるのは彼女だけだ。



 人間族のアイシャちゃん。僕らの1つ下でミーアと同部屋だったんだが、今は学校をやめて、エルド傭兵団で専属の治療魔法使いとして働いている。


 このアイシャちゃん、元々ワールハイト出身でワールハイトにある政府お抱えの治療魔術師の娘なんだけど、治療魔術師はとにかく回復魔法を使えば使うほど成長する。その修行の一環としてエルド傭兵団に来てもらっていた。

 傭兵団などで一時的に過ごし、回復魔法を使ったりするのは一般的な治療魔術師の修行方法である。もちろん本部を持つ比較的大きな傭兵団が条件で、そこから出ることはない。

 しかし、治療魔術師に限らないが、成長のためには魔物退治が一番というエルド傭兵団の方針の元、魔物退治にも同行してもらったところ‥‥滅茶苦茶成長した。



 それはもう、今までの回復魔法はなんだったのか?というほどに。さらに『ヒール』の上位魔法である『ハイヒール』も覚え、魔力量いわゆるMPも大幅に上がったおかげで、魔力切れも気にすることなくバンバン使えるようになっていた。


 今では文句なくエルド傭兵団のナンバーワン治療魔術師であり、ワールハイトでもおそらくナンバーワンだろう。



 そんな彼女だが、今までの治療魔術師たちの修行方法は間違っているとして、親たちに自らも傭兵たちに混じって魔物退治をすべきだと言ったが、受け入れられず。

 親やワールハイト政府から無理やり、ただ、その優れた治療魔術師としての腕を振るい続けるように言われ、反発。学校もやめ、エルド傭兵団の専属治療魔術師として、魔物退治に同行しつつ回復魔法を使っているという、なかなか行動力のある娘である。最近は護身術も身に着け、さらに活動の幅を広げている。

 ちなみに、ミーアとは同い年で、護身術を教えてもらったこともあり、すごく仲が良い。



 そんなアイシャに事情を話し、来てもらうことにした。今回はアイシャだけだが、ミーアは非常に来たがっていた。君はまた来年で。



「イオさん、誘っていただいたことは嬉しいのですが~、魔の森の奥地ってこんなんじゃないですよね~?魔物避けのポーションって聞いたこともないんですけど~!?あと、これだけ何も出ないって、効果がおかしいと思うんですけど~!?」

「え!?アイシャは魔物が出た方が良い?この辺り結構ヤバイ魔物出るんだけど?」

「いや、魔物が出ないに越したことはないのですが~‥」



 今いるところは魔の森の奥、トトークがいるところの少し前といったところ。通常は魔物がかなりの頻度で出てくるところで、決して2人で行く様な所ではない。

 僕は時間が惜しいと言わんばかりに、傭兵団の各所で色々許可を取り、そのまま、アイシャを連れて魔の森へ入ったのだ。どうせ、魔物避けのポーションがあるので、魔物はほぼ出ない。しかし、アイシャはそれが色々不思議に思っているようだ。技術格差って怖いよね~。



 そのまま、魔の森を踏破して、エルフの里へ行き、エルドたちにアイシャを合流させる。今後はアイシャもエルドたちと行動を共にすることになるのだろう。まずはここエルフの里で地獄の訓練だな。詳しい説明は皆、任せた!



「いいけど、もう少し説明くらいしてあげようよ」

「何も知らずにここに放り込むのは酷いと思うよ?」



 ルル、エルドのコンビにちょっと怒られたが。


 では僕はしばらくダンジョンマスターの仕事をするか。



以前、チラッとだけ出て来たアイシャちゃん、再登場の巻でした。

そして、次話すこしだけ、ダンジョンマスターに戻るイオ。そろそろダンジョンマスター関連の、特に魔物やスキルに関することを整理しないといけないと思っていまして。



次回更新は一週間後になります。


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