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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
建国編~諸国漫遊~
225/287

225.孤児院の異変

予定より短めになりました。すいません。


 僕らがワールハイトに戻ってきて少し経った。雪は解けて、温かくなってきたので行商も活発になってくる春。以前通ったルートで逃亡者の村へ向かう。



 本来なら、もう少し早く、雪が解け切る前に向かいたかったのだが、いない間の報告やらを聞いていたら、時間がかかってしまった。残っているメンバーも優秀で大きな事業の拡大などがなく通常営業なら問題なく運営できるため、特に大きな問題があったわけではない。



「会頭~!!ちょっと~!!」

「皆優秀だね~。我が商会も安泰だね。ではまたしばらくいなくなるから~」

「会頭~!!また皆いなくなるって聞いたんですけど~!大変なんですけど~!!」



 商会の会頭代理のアッシュ先輩が呼んでいるが無視だね。つかまると出発にまた時間がかかる。

 アッシュ先輩は優秀なので、財務を任せていたけど、同時に会頭の代理くらい余裕なんですよ。優秀な人は違うな~。きちんと?血の涙を流しながら見送ってくれたよ。頑張れ!あとは任せた!



 出発が予定より遅くなったおかげで、魔の森での狩りが始まっていたため、道中は予定より楽になっていた。そして、トトークのところへ寄りと合計して約1週間ほどかけて逃亡者の村へ到着する。


 魔の森の逃亡者の村側も狩りや開拓が進んだのか、前に来た時よりかなり歩きやすくなっていた。今回来たメンバーはこの前と同じく、僕とエルド、ライド、ノフス、ルルの5人である。いつものメンバーでした。



「この辺りの道もしっかりできているな。皆開拓もがんばったのか」

「みたいだね。この分だと丘に作っている城も期待ができそうだね」

「まあ、城は土台のみだけどね」



 ライドの感想にノフスが同意、エルドが注釈をつけるといった感じか。道中が前回より楽だったことで、このくらいの雑談ができるくらいの余裕があるということだろう。



 僕らが逃亡者の村の南村へ近づいた時、異変に気が付いた。



「あれ?村ってこんなに近かったっけ?」

「エルドのボケは珍しい。けど違う。村が広がって、家がこっちに建っているだけ」



 エルドの地理ボケにルルがつっこむ。こちらも珍しいが、ルルの言う通り、村が大きくなって、南側に家が建っている。だが、新たに建てられたと思われる家は家というより小屋と言う方が適切なほど小さく、大量に建っている。

 つまり、以前に比べて住む人が急速に増えたということだろう。だが、なぜ?こんなことに?という疑問は残る。


 道に沿って新たに建てられた家の間を通って孤児院へと向かう僕らは様子が変わった村について話していた。



「人が増えたのはわかるが、どうやら急激に増えたようだな。家の建築が間に合っていない感じだ」

「そうだね。エルド。この分だと、孤児院の子や北の逃亡者の村なんてどうなっているんだろうね?」

「孤児院に大量に子供がいそうだよな‥お!着いたか!」



 エルドやノフスの分析や疑問、それに対するライドの予想は大当たりで、孤児院そのものは変わりがないが、その周囲で動き回っている子供の数がすごいことになっている。



「「「ただいま!!」」」

「ん?おかえり!ちょっと今大変なんだ。ちょうどよかった貴方たち手伝いなさい」



 なじみの孤児院のお世話をしている先生を見つけて挨拶をした早々、手伝うことになった僕ら。状況が全く分からないが、とにかく、孤児たちの相手をすれば良いようだ。



 簡単な仕事に見えて、ここの孤児たちは力が強い。そして動きが早く、疲れ知らず。かつ好奇心旺盛。つまり、「この敷地から出るな」と普段から言われているにもかかわらず、年長者がちょっと目を離した隙に敷地から出ていこうとする子が続出する。



 戻ってきて早々、色々大変な目にあって、魔の森横断よりしんどいと思いつつ、なんとか落ち着いたため、院長先生たちにあいさつに向かうことができた。



「「「ただいま!」」」

「まあ、おかえりなさい!来て早々大変でしたね。ごめんなさいね。話は聞いていたんだけど、こっちも手が離せなくて」



 別にここの院長は他の人が忙しそうにしている横でのんびりお茶でも飲んでいたわけではなく、院長先生は院長先生で忙しそうに動き回っていたのは僕らも把握しているので、怒ったりはしていない。

 早速、なぜこのような状態になっているのか聞いてみると、院長先生は教えてくれた。



「詳しくはわからないんだけど、去年の冬前くらいから逃亡者の村へ移住する人が増えてきていてね。特に冬になると南の方が温かいということで、雪が積もっている中、移動してきている人もいるくらい冬の間もこっちの方にどんどん人が移住してきたのよ。そうすると段々住むところも足りなくなってきて、寒さが緩んだらすぐに小さい家をみんなでたくさん建てたのよ。その時にウチのダンカンくんが魔法でどんどん建てていってね。凄かったのよ?今、ダンカンくんは家を建てたり、畑を開拓したり大活躍しているのよ?すごいでしょ!?」



 事情は何となくわかったが、ダンカンというのは、元は逃亡奴隷として、勇者であるマルコと共にこの孤児院に来た転生者である。正確には転生前の記憶を持つと言った方が正しいだろう。


 そのダンカンの話になると院長先生はよほど誇らしいのか、テンションが上がりまくり、スゴイでしょと同意を求めて来た。これは「そうですね」以外に答えの選択肢がない。ここで否定しようものなら、とたんに不機嫌になるか、ダンカンの凄さをウザいほど延々話すのか?の2択になることがわかっているからだ。僕らは院長先生には逆らいません。というか逆らえません。圧も凄いし。



 とりあえず、院長先生の話を纏めると、去年の冬前くらいから逃亡者の村へ移住者が増えた。寒さの厳しくないところを求めて南村に移住した人がかなりいる。しかし、住居はそんなにない。そこをダンカンが魔法を使ってどんどん家を建てていったということのようだ。


 当然、村に入りきらないくらいの人が来たので、南に家が建ち、孤児も増えたため、孤児院もキャパオーバーなくらい孤児が集まってきていると。


 移住者もただ来ただけではなく、どんどん開拓して畑を作ったり、狩りができる者は狩りをしてというように食料の確保に尽力してくれているらしい。その畑の開拓でもダンカンが魔法で大活躍しているらしく、今は相棒兼護衛としてマルコと一緒にあちこちを泊まり歩いているそうだ。孤児院としてもその分ベットが空くので助かっているらしい。

 また、孤児たちもできる仕事を見つけては手伝いに行っており、孤児院が持つ畑も拡張したとのこと。



 孤児院では読み書き計算に、最近では簡単な武術やモンスターの狩り方、注意すべきことなども教えるようになっていて、下手な学校より教育水準は高い。そうしてたまにだが、大人の引率の元、魔物狩りをする子も現れており、戦闘能力すら鍛えられているようだ。



 現状の孤児院では僕らが寝ることができるスペースすらないため、ダンカンの手伝いをしつつ、そこで野宿をすることにした。特に魔物退治ならお手の物だし。特に注意が必要な魔物や強い魔物が出るわけではないので楽勝だろう。


 どうやらダンカンは、今日は孤児院の東側で開拓をしているとのこと。早速向かうことにした。



 その場所は一目見て思った。



「面白い」



 なぜそう思うか?



 まず、そこには小屋がいくつかあるのだが、その小屋が土製の四角形であり、何かで固められて小屋の形を作っている。そして、その周囲に開拓をしている人々。そこはまあ良い。いや、そこもおかしいのだが。

 それよりも、その規模。


 開拓と言っても、いくら魔法があるといってもこの規模はおかしい。なにせ、見渡す限りがその範囲なのだ。耕運機なり重機でやるレベルの範囲だと思うのだが。なにせ、1カ月ない期間でこの規模を開拓したのは単純にスゴイ。意味がわからない。しかも魔物がいるのだ。この辺りにいるのはゴブリンやスライム、ウルフといった最弱クラスの魔物だけとはいえ、1対1では厳しい相手であり、最低でもケガは覚悟しなくてはいけない。当然そうなると余計時間がかかるはずなのに。


 さらに、その開拓しているところとこれから開拓するところの間にて人々が魔物と戦っている。これはおそらく、開拓する前に魔物をできるだけ狩っておく農地にするなり、住宅にするなりの前作業だろう。


 普通、開拓する近くで魔物との戦闘があれば、開拓作業員は離れるなり警戒するなりはするのだが、ここで開拓している人々は全く気にしていない。普通に雑談をしながらクワを振るっている。ちなみに、魔物を退治した後の草木はすべて重機か何かでまぜっかえされたような状態になっており、後はクワを入れれば畑になるようにされている。


 そこも「面白い」と思った理由である。ワールハイトでの同じような様子を知っているからか奇妙な光景だった。どうすればこのような光景になるのか。

 


今回から本当の建国準備編になります。


それとここからは少し巻き目で進めようかと思っています。早めにリュート神聖国編にいければと。

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