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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
建国編~諸国漫遊~
220/287

220.歓迎パーティー

ドラゴンハンターの街編です。


 ドラゴンハンターの街に着いたエルド傭兵団。一旦ハーンさんと別れ、街の中を見て回ることになった。



 宿はすでに手配がされており、夜にはドラゴンンハンターたちの元締めというか顔役に会うことになっているため、それまで街の生活風景や売っている物、食料品など見れる範囲でできるだけ見ていこうということになった。



 ドラゴンハンターの街はワールハイトほど大きいわけではないが、それでもかなり大きな部類に入る街で、数時間で見て回るには広すぎた。そのため、どのようなものが売られているか?に焦点をあて、他のことはまた後日。ということに決めていた。そんな中でいつもの5人はブラブラ歩いていた。



 住民はほとんどがドラゴンを狩り、一攫千金を目指す者、そのドラゴン素材を手に入れようとする商人、そしてハンターたちの支援者で、外から来た人も珍しくはない。また種族も人族はもちろん、獣人族やドワーフも多く、エルフもたまに見かけるくらい多種多様である。


南に位置することから、日焼けしたのか、浅黒い肌をしている人が多いという印象だ。



 食料品も南国といった様相を呈している。ワールハイトとは気候が違うというのがはっきりわかる。バナナやパイナップル、マンゴーといった果実も見られる。まあ、名前が合っているかはわからないが。


 香辛料なども豊富でどうやらすべて周囲で採れるところがあるらしい。


 話には聞いていたが、この辺りの主食は米であるのだが、粘り気のあるジャポニカ種ではなく長粒種のタイ米などと同じような種が主らしい。



 このドラゴンハンターの街は南部に海を渡り龍大陸へと向かう港があり、近くに水源となる湖がある。その湖周囲で米の栽培などをしているとのことだった。

 西は僕らが来た湿地帯。東は遠くに獣人族が住む荒れ地となっており、主な取引先は東の獣人族と、そこを通す形で大陸中央にある街や国ということになる。

 だが、距離は遠く、移動に時間がかかるのが難点で、当然魔物や野盗たちの襲撃にも備えなければならない。


 そこで、もし、湿地帯を比較的安全に抜けるルートが確立できれば、ワールハイトだけではなく、3極、いわば大陸西部が主な取引先になることもできる。


 今回僕らが来たのはその大事な一歩にする交渉や調査も含まれる。そしてそのことはドラゴンハンターの街側も理解している。その重要度も。

 そのため、なるべく早く話し合いをしてお互いの理解を深め、より良い取引ができるようにしたいと意気込んでいる。今日の夜の顔役との会談はそのためのものであり、通常そう簡単に会える相手ではないし、できることでもない。


 ちなみに、ハーンさんはずっとワールハイトやニゴ帝国にいたはずなのに、どうして連絡がついたのかというと、以前ダンジョンバトルをした、イナミイナシの天使堕天使姉妹にこっちから伝言を頼んだためだったりする。

 一応、表向きはハーンさんが極秘任務として大陸西部の有力者や有力な商会と交渉をし、担当者を連れてくるということがあったためということになっているが。



 さて、ドラゴンハンターの街の顔役でありドラゴンハンターのまとめ役ともいうべき傭兵の長はエルさん。もうずっと老人でいったいいくつなのか?とか実は不老不死じゃないかとか言われている人で、このドラゴンハンターの街を作ったと言っても過言ではない人である。


 正体は龍大陸の覇者であり竜たちの王、“竜王”の2つ名を持つダンジョンマスター2番、エルドゥーさんである。そりゃ不老である。そして完全なマッチポンプでもある。ダンジョンマスターとしては実にうらやましい限りだ。




 色々見て回った僕らは夜、そのエル爺さんとの会談に臨む。



 会談というか、パーティーなのだが、場所はドラゴンハンターの街の北部にある大きな屋敷。そこがエル爺さんの屋敷であり、ドラゴンハンターたちの憧れの場所であり、商人たちや街の有力者が集う場所である。



 ハーンさんと共に竜車でその屋敷に乗り付けると



「ようこそいらっしゃいませ。ハーン様、エルド傭兵団の皆様方」



 そう言って執事らしき人物たちがズラッと出迎える。



「皆様もお待ちであります。こちらへどうぞ」



 執事の中のおそらく一番偉いのだろう執事が、僕らをホールへと案内する。僕らは段取りがわかっていたので、そのための衣装に着替え済だ。



 大ホールは頭上に大きなシャンデリアが照らし、壁側すら大小様々な照明が明るく照らし、その中を正装をした男女が歓談をしている非常に華やかな場所だった。料理もワールハイトでは見たことがない明らかに豪華と思う料理が並んでいる。



「‥‥すごいな」

「‥すごいよね。エルド。ワールハイトじゃ無理じゃない?」



 エルドとノフスが驚いているが、他の皆もその光景に圧倒されていた。



 食事はバイキング形式で並ぶ料理を好きな量取って食べるというものだが、飲み物は近くに給仕をしているメイドさんに言えば持ってきてもらえる。ハーンさんはいつの間にかどこかへ行ったと思っていたら、周りの煌びやかな格好の人から挨拶されていた。



 色々な料理に舌鼓を打っていた時、周りの華やかな衣装を着た人たちがこちらを見ているが、話しかける者は誰もいない。


 少し食べて、一息ついたころ、ホール中央にある2階へとまっすぐ続く大階段の先にある大きな扉が開き、黒いスーツのような正装をした明らかにマッチョな若いイケメンを左右に伴ってスキンヘッドで白く長い口髭えをたくわえたその両横のイケメン以上にマッチョな老人が出てくる。

 この老人がエル爺さん。“竜王”の仮の姿である。



 横にいるイケメンの一人が司会をするようだ。



「ドラゴンハンターの街の代表であるエル様の御成である。皆の者たち心して聞くように」



 大きな声でそう言い、続けてエル爺さんが話すようだ。



「皆の者、ご苦労じゃった。今日は北にあるワールハイトからハーンが客人を連れて戻ってきた記念の催しである。歓迎の意を込めて馳走も用意した。商談は明日以降にして、皆の者ぜひ楽しんでくれ!」



 そうエル爺さんは言い、司会の人がさらに



「では、ハーン商会代表ハーン様、エルド傭兵団団長エルド様、エルラノーア商会会頭イオ様、エル様の御前へ」



 そうアナウンスし、3人がエル爺さんの前へ行く。そして、3人が紹介され、一人一人がエル爺さんと握手する。


 その握手1回ごとに会場から拍手が起こる。僕の時に、エル爺さんは



「後で、話がしたい」

「わかりました。伺います」



 小声で話をしてきたので、他の人に聞かれたくない、こちらに何か話があるのだろう。


 その後、階段を降りた3人。ここまでがセレモニーだ。


 そして、エルド傭兵団の5人は周囲の人が話しかけてくるのに対応することになる。エル爺さんが話していないのに、周囲の人が先に話しかけるのは失礼にあたるらしい。



 ドラゴンハンターの街にあるどこどこ商会の誰とか、ドラゴンハンターの誰とか色々自己紹介されたが、覚えきれない。見るとエル爺さんも周囲の人と色々話をしているところのようだ。


 しばらく食べて、飲んで、話をしてとしているうちに時間が経ち、人が帰って行ったのだろう。パーティーも終盤といったところか。



「エルド、じゃあ、ちょっと行ってくるよ」

「わかった。待っているよ」



 僕はエルドに話をしてエル爺さんのところへ行く。エル爺さんは



「来たか。ハーンも来なさい」



 そう言って、ハーンさんも連れて、ホールを出てどこかの部屋に行く。


 扉を閉めて、エル爺さんは言う



「ここなら誰にも邪魔は入らないし、声も聞こえん。安心してよいぞ。まあ座ろうか」



 ソファーに座る3人。僕の対面にハーンさん、右手側にエル爺さんと3角形になる形だ。本格的な商談は明日以降のため、今回はその前段階の話だ。だが、ここで明日以降の商談が上手くいくかが決まると言って良いだろう。



「さて、これでようやっとゆっくり話ができる。まずは改めて、遠路はるばるご苦労じゃった。イオに関しては直接話ができるとは思っていなかったから、なおさらじゃな」

「こちらとしてもエル爺さんに直接話ができる機会はあまりないですから、ありがたいですよ」



 エル爺さんの話に応じる僕。ハーンさんは静かに頭を下げている。



「そういってもらえると、こちらとしても話がしやすいのじゃ。では、早速じゃが、先ほどハーンからそちらの食料品を見せてもらったのじゃが、どれもこちらにはない物じゃ。売ると言うならこちらでは大成功できるじゃろう」

「それは良かった。こちらの食料品も見ましたが、いくつかこちらにない物がありましたから、それらを買いたいですね」

「そうかそうか。それならお互い良い取引ができそうじゃな」



 ここまでは表の話。明日以降の商談は成功といったところか。そしてエル爺さんの雰囲気が変わったここからが裏の話。つまりダンジョンマスターとしての話が始まる。



次回更新は1週間後になります。


自分の仕事の関係でしばらく、週1回更新になります。

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