22.人間たち
いつもお読みいただきありがとうございます。
「あれが目的の場所か?」
「はい。水があり、食物が生っておりますが、ゴブリンどもが生息しています」
「ゴブリンの数にもよるが、そのためにこの人数で来たのだ。まずは制圧する」
「「「は!」」」
と傭兵の隊長らしき人物と傭兵たち。彼らが来るのがわかっているから、ゴブリンたちはダンジョン内にみんな移動させて頂きました。
「周囲の状況を確認しながら、探索する。ゴブリンだけではなく、魔の森から出る魔物にも注意しろ」
「「「は!」」」
「ふむふむ。水質は全く問題ないようだな。貴重な水源だ。その周りに生えているのは野菜か?」
「はい。まだ春なのにすでにこれだけ育っているのは周りの環境が良いのでしょう」
ダンジョンで管理してるし、当たり前。西の森って「魔の森」っていうんだ。へー。
周りと比べて1人装備が豪華なのが、この部隊の隊長と思われる人物。見た目は40代に見えるが、この世界はだいたいの人が10代で結婚して子供が生まれ、30代で孫が生まれ、40代で死ぬ。50代まで生きる人は相当長生きということになるため、おそらくは20代後半から30代と思われる。
おそらくは豪族かそれに近い人物だろう。こいつだけが指示するだけで特に作業はしてない。
「陣地を作るぞ。ゴブリンがいるはずだが、見当たらない。襲撃がありえるため警戒はゆるめるな」
「「「は!」」」
「ラドチェスカ様、陣地作成終了いたしました。周囲に異常なし」
「うむ。これで警戒しながらだが夜は過ごせる」
「これで問題なければ土地が増えますね」
「ああ。孫が産まれたからな。土地はあればあるほどいい」
そして、そのまま夜はふけ、朝になる。その間こちらは一切手を出さず。ゴブリンたちは地上には出ないよう指示していた。ダンジョン入り口もまだ見つかっていない。水や食料はダンジョン内にもあるので全く問題はない。
「何もなかったな」
「ええ。拍子抜けですね」
「何もないならその方がいいさ。よし。ここは南ラドとする。ラドから必要な物を手配する」
ということで、このダンジョン近くが南ラドの集落、村?で北に20kmほどのところにあるのがラドの村ということになった。ほどなくしてダンジョンの入り口も見つかり、傭兵らしき人が探査に入ってくるようになった。
ダンジョンの1階に少量の鉄鉱石、銅、石切場もある。ここもほどなくみつかり、ラドチェスカさんが喜んでいた。
もう少し奥まで調査しようと傭兵が来たが、ここでゴブリン部隊で迎撃する。こっちは被害なし。向こうは数人がケガして退却した。また来るんだろうけど、対応は変わらない。ダンジョンってそういうものだろうし。
南ラドに住居を作って住んでいる人は数十人といったところ。このまま増えてくれれば、収入も増える。基本はお互い不干渉。簡単な住居だけど、作るのは結構時間かかる。文明が未熟なこともあって建築技術も未熟なのだろう。様子見てるけど暇だ~。いや、凝った建物は技術があっても、魔物とか来たら終わりだから作れないだろうけど。
あと、ラドチェスカという人は豪族の当主だった。妻も数名いるみたいだし、奴隷も結構な数いるらしい。南ラドは次男の領地にするつもりで開拓したようだ。
次回はダンジョンの様子などを出す予定です。