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魔神配下のダンジョンマスター  作者: にゃーにゅ
建国編 ワールハイト・ユニオン戦争
210/287

210.ワールハイト-ユニオン戦争・表(3)

上司が明らかにダメな人だとわかっていると、部下のやる気のなさが半端ない‥というようなお話。


 1日目の交戦が終わった後の本陣の様子を記録したものを見たが、想定通りと言おうか、予想以上と言おうか。いやはや酷かった。



「だめか。前衛が思った以上に弱かった」

「あの程度の攻撃で瓦解するとは」

「我らの攻撃が届く距離までもたないのでは話しにならん」

「では、また明日だな。我らは明日に備えてゆっくり休むぞ」



 という有様。前衛瓦解の原因となった射程の問題とか全く考慮されていない。休むにしても距離が近いため夜襲の危険などもあるが対策もなし。周りの人も特に何も言わない。


 見ての通りこのままでは、確実にワールハイトは負ける。エルド傭兵団が何とかする?


 エルドは指揮官でも何でもない。エルド傭兵団がいる右翼だけならなんとかできるかもしれないが、勝利となると傭兵団からの大量の犠牲も覚悟しなくてはいけない。現状は元々予測通りなので、今は犠牲が出ないように立ち回っている。つまりエルド傭兵団はこの戦争で勝利を目的としていない。



 案の定、夜襲に悩まされた翌日、ワールハイト軍は指揮官の号令の元、前日と同じ事を繰り返した。


 前日の交戦でワールハイト軍の特に前衛は大きく被害が出ていた。当然だ。前日に完全にやられたのだから、まず、数も減り、ケガ人も多い。加えて、前日の夜襲で後衛の弓兵や魔法兵も疲労が溜まっている。士気はますます下がっている状態。


 そんな中で前日と全く同じ戦術で、いや、戦術と呼ぶのすらおこがましい。ただ、突っ込んだだけでは。

 前回よりも早く前衛が崩壊。それを見てユニオン軍も追撃を開始する。


 ワールハイト軍にとって幸運だったのは前日よりも被害が少ない事か。



 この理由は、まず、前衛の崩壊が早かったこと。混戦になる前に撤退したためだ。そして、前線の兵側も全く指揮官を信用していないため、前進はゆっくり、撤退は早かった。この時点でワールハイトは軍として規律どころか、ただの集団となり果てていた。



 そして、特に対策や兵の士気などについても話し合われることもなく、また嫌がらせの夜襲も受け続けるワールハイト軍。翌日、前衛の兵だけでなく、後衛の魔法兵や弓兵も数を減らした。脱走兵などが出始めたためだ。この時点でワールハイト軍に勝ち目はなかったのだが、指揮官たちは状況を理解していない。



「全軍突撃!前進せよ。今日こそ勝利をつかむのだ」

「「前進せよ」」



 指揮官の号令に対して、ワールハイト軍は動きが遅い、というより、ほぼ動かない。当然だ。誰が、どう見ても突っ込んで行っても無駄死にとなることがわかっている。命令に反抗できない犯罪奴隷などが進むが、これまででほとんどが犠牲になっており大きく数を減らしている。


 命令違反ととられかねないが、ゆっくりでも進んでいれば命令違反には取られないと言わんばかりに非常にゆっくりとした前進を見せるワールハイト軍。


 一方ユニオン軍は意気揚々と前進してくる。これまででワールハイト軍の数を十分に減らしたというのがわかっているため、ここで決着をつけようということだ。


 ぶつかれば、確実にユニオン軍が勝つと思われる戦況。そして、ユニオン軍は、今回はワールハイト軍を蹴散らさんと全力全身で突撃してくる。



 もうそろそろ、ユニオン軍とワールハイト軍がぶつかろうという時、事件が起きる。まず、ワールハイト軍の前衛が魔法攻撃と矢による攻撃を受ける。そこをユニオン軍が突き進む。しかし、ワールハイト軍の左翼、ユニオン軍の右翼共に攻撃を受ける。さらに両陣営の本陣がある丘、その背後からも攻撃を受ける。


 ニゴ帝国軍の奇襲である。


やっと出ました。ニゴ帝国。漁夫の利を当然狙います。

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