203.ワールハイトへの帰還
一気に帰還しました。
ここは城建設予定地の丘の南部にある開拓地。周囲にいた魔物たちは僕らが全力で狩りに行き、簡易ではあるが結界も張ったため比較的安全に開拓作業ができるようになっている。
結界は簡易型であり、結界の核となっている魔石に定期的に魔力を補充しなければいけないが、それほど魔力を必要とはしないので、数人で、交代で補充すれば維持ができる。
開拓をしているのは、逃亡者の村であぶれて、職はもちろん、食うに困って暴れていた人たちと村からの希望者たちだ。
暴れていた人たちは素直にこちらに従うことはなく、むしろ、子供たちなど力で相手にならないと開拓地を奪い取ろうとしてきたので、こちらも遠慮なく叩き潰した。そして、開拓が終わるまでという条件付き、かつ、開拓した土地はできた作物の一部をこちらに治めることを条件に自分の土地として良いとしている。
僕らが完全に心をへし折ったこともあり、こちらに逆らってまで何かをしようとする者はいないし、僕らはそろそろ滞在時間が長くなり、ワールハイトへ戻らないといけなくなったのだが、戻ってきたときに反乱のようなことが起きれば、今度はまた容赦なく叩き潰すと言ってあるし、カミロさんもしっかり管理していくと言っていたので、信頼している。
そうして残り20日ほどの滞在時間を使うことになった。
城建設予定の丘は城の土台部分も開拓民たちの仕事としている。村からの開拓希望者は開拓だけでよいが、暴れていたり問題を起こしたものはそちらもしなくてはいけないことにしている。そして、春までに土台部分をある程度まで進めて、夏以降で城本体の建設に入れれば、という計画だ。
エルマンドさんには僕が今年学校を卒業して、ここの監視に来たり、商会や傭兵団の世話を中心に活動する予定であることを報告し、あらかじめもらっていた学費は全額お返しすると言ったが、エルマンドさんは必要ないと言って受け取ろうとしなかった。
そして、その話を聞いた他のメンバー、エルド、ライド、ノフス、ルルも今年で卒業して進学しないと言い出した。皆、もうこれ以上学校に通っても学ぶ物はそんなに多くない。コネクションもできた。学校に通うよりも、傭兵団なり商会として様々なところへ行って、色々なものを見た方が学ぶ物が多いと言うことだった。
僕はこの世界に来て100年以上経つが、特に理由はないが、学校には通っていた方が良い。辞めるのは非常に勇気がいることだと思っていたが、皆の様子や考えを聞いて、まだ、日本人としての感覚になっていたと思い知らされた。
日本では学歴がモノを言うことが多いが、この世界では学歴はほぼ関係ない。そして、情報や学ぶ内容としても高度なことをしているわけではない。そう考えると確かにみんなの言う通り、戦争という状況もあって、これ以上は在籍するリスクの方が大きいのかもしれないと思った。
なので、周りの人と同様に認めることにした。
僕らは、あと半年ほどは学校で過ごし、卒業後、あちこちを見て回ることにした。だが、戦争の影響で状況は予断を許さないものになるはずだ。
エルマンドさんやカミロさん、孤児院の皆などに挨拶をして、来た道を戻ってワールハイトへ戻る日が来た。
「では、また来年来ます。お世話になりました」
「「「お世話になりました」」」
孤児院南部の道とかろうじて呼べるような道を通り、魔の森へ入り、トトークに挨拶をしてワールハイトへ。
ワールハイトへ戻ってきたころには予定通り、後期の学習期間に入ろうとしているところであった。
だが、その前に、商会に僕宛の来客が来ているということだった。その来客は意外な人物だった。
狼藉者との戦闘描写はカットしました。いや、いまさらエルドたちが苦戦するようなことにはならないですし、まともな戦闘にもならないので。