200.土地の候補
気が付けば200話目。1話1話は短い文章ですが、ここまで続いたのは皆さまのおかげです。ありがとうございます。そしてこれからもよろしくお願いします。
200話記念に何か閑話を投稿する‥などできませんのであしからず。どこかで入れたいですけどね。
今日、僕らはエルドの父親であるエルマンドさんのところへ向かう。挨拶やら相談などをする予定だ。エルマンドさんがいるのは孤児院がある村から北にある逃亡者の村だ。
逃亡者の村はその名の通り、逃亡奴隷や犯罪者として追われる者などが集まっている村だ。最近、この村へやってくる人が多くなっているという。元々あまり性質が良くない人が多く集まっている村ということもあって、色々問題が起きているということを聞かされていた。
孤児院がある村から逃亡者の村へ進んだちょうど中間くらいのところで、
「少し寄り道をするから着いてきて」
そう言って僕は少し東にある周囲より数十mほど高くなった丘へ皆を連れて来た。そこは周囲に木が生えており、まわりからは中心が見えないようになっている。その丘の中心には池がある。
丘は半径5kmほどの円形、池は半径で20mほどの小さなものだ。底も浅い。それでも飲料として水量は十分だと思われる。
「どうだ?ここ城建設の候補地なんだけど」
「‥いいね!」
僕が聞くとエルドはそう答えてくれた。
この場所は、開拓や整備は必要だが、壁を作れば、難攻不落の砦にもなる。木に登り、辺りを見渡せば平原が広がり、どのような地形かわかる。西を見れば、魔の森を超え、ワールハイトの領主館などの高い建物が見え、北はティト村という逃亡者の村から北に一番近い村が見える。これなら、仮に北や西から軍が来ても即座に対応できるだろう。
将来性も高い。平原を開拓すれば広大な田畑とすることもでき、魔の森を通る安全なルートが確立され、道が整備できれば、東からのワールハイトへの最短ルートになる。南のエルフの里、東の鍛冶の村ブラックスミスから西へ行くのにも必ず通る道ともなる。
そもそも開拓すれば、人が多く住むことができる地形である。この世界で人が比較的安全に、多くの人が住める土地は多くはない。それだけでも、人を集めることができると思っている。
などとこの土地のプレゼンをする。
「なるほど、わかった。僕らの国の首都はここで良いと思うけど、他にも候補があるんでしょ?ここが一番イオ一番押しの候補地だとは思うけど」
エルドの言う通り、他にも候補地はある。しかし、防衛の観点やら、水の関係やらでここ以上の場所はない。なので、僕としてはここで合意が欲しかった。
エルドたちには他の候補地の話をした。他の候補地も皆、話だけで知っているところばかりだからだ。
「僕も色々首都の候補の場所は考えていたけど、確かにイオの言う通り、ここ以上の場所は無いように思える。皆は依存ない?」
「無いな」
「孤児院からも近いのが良い」
「魔物退治が大変だけど、将来のこととかも考えるとここより良い場所は無いんじゃない?」
「景色が良いのが気に入ったニャ」
エルドからの質問にライド、ルル、ノフス、ミーアと皆、賛成してくれた。首都の候補地はここでほぼ確定だろう。
このタイミングでないとエルドの国の建国がどんどん遅くなっていきます。これから周囲の魔物の討伐と開拓と城の建設をしなくてはいけないので。




