198.女神の印象
「いや~。この孤児院に来てからは楽しいし、皆も良い子ばっかりで」
「うんうん。やっと少し希望が出て来た」
そういうのはマルコとダンカン。子供で奴隷生活は相当厳しかったようだ。
「その割に、僕たちを見て怖がっているのはなんでだ?」
「エルドさん、当たり前でしょ。僕は『鑑定』であなたたちのステータスが視えるんですよ?はっきり言って貴方たち化け物でしょ。どうやっても勝てる気しない。というかどうやったらそんな能力になるんですか?特にライドさんとか。イオさんにいたってはステータス明らかにおかしいし」
「おかしいかい?普通でしょ?」
「あのメンバーの中でいたって普通のステータスなのが絶対におかしい」
マルコはそういうが、まあ、あの明らかに武闘派たちの中で唯一全くの一般人のステータスなのはおかしいと思うか。もちろん偽装しているのだが。
「マルコからそれ聞いても、僕らは他に行くところはないから。最初は孤児院の関係者じゃなくて、略奪にきた部隊だと思った。違ってて良かった」
確かに、ダンカンの言う通り、僕らは魔の森を抜けるにあたって、装備も整えて来たし、そう見えても仕方ないかな。そのように言うということはこの2人も孤児院のことは大事に思ってくれているということなのだろう。だが、これだけは確認しておかなくてはいけない。
「マルコは勇者だろう?…ということは、女神の使徒として何か使命があるんじゃないか?」
「ああ、そんなことですか。使命なんてないですよ。というより、俺、女神には怒りしかないですから」
女神の眷属じゃないのかお前は。マルコは思い出したのか、テンション上がりつつ話出す。
「そもそも最初、女神と会ったとき、何この生物?って思いましたもん」
「どういうこと?」
「まず、見た目がデカいんですよ」
「デカい?身長が大きいってこと?」
「そうではなく、横にデカいんですよ。スタイルがボンボンボンッて感じです。しかも、初対面でいきなり、横柄な、投げやりな態度で、勇者にしてやったんだから私のいうことは何でも聞けみたいな話をしてきて、後は現地の者に説明させるって丸投げですよ。あの樽女神」
「あ、そうなんだ。ちなみに何をしろって言っていた?」
「あ~。なんか、現地の人を助けて、魔物退治しろって、それだけでした」
「それだけなんだ。ちなみにその説明役の人はどうしたの?」
「それが、ずっと来なくて、僕らが奴隷落ちしたあとで、女神教とかいう人たちが来たんですけど、護衛の兵士みたいな人には“汚いから近づくな”みたいに追い払われて、偉い女性はゴミを見るような目で見てきましたね。そのあとで僕が勇者だとわかると掌返してきましたけど。もう絶対信用できない類の人たちで、しかも、いかにも危ない人たちだったから、2人で逃げました」
なるほど、それで逃亡奴隷になって、この村に来たということか。
その後、2人には孤児院のためにも僕らにその知識を生かして協力を依頼したところ、あっさり二つ返事でOKということだった。
女神教の勇者担当の偉い女性=聖女です。名前負けしていますが。
しばらく来れなかった理由はもちろんリュート神聖国との戦争です。




