181.合格の意味
質問への回答、その続きです
「お主の領域を狙うのは“魔王”ジャギだけではないぞ。“海王”ニニムの奴も狙っておる」
エルドゥーさんから教えてもらっている魔王だが、確かジャギアスという名前だったはず。エルドゥーさんは随分親しそうにジャギと呼んでいる。海王はこの前、会ったので知ってます。
「えーと、それとあなたの言う“合格”とどのようなつながりが?」
「まあ、慌てるでない。まず、ジャギの方はワシと状況はさほど変わらん。距離があるのでお主がジャギと当たることはない。となると配下が来るわけだが、お主より強い配下はジャギにはいない。ニニムも性格上、今すぐ当たろうとはしない」
「では魔王のことはあまり考えなくて良いですね」
「だから、“合格”なんじゃよ。ワシとジャギはどちらが先にダンジョンコアLVが10になるか賭けておる。お主の領域を取った方が大きく近づくのじゃ。じゃが、ワシもジャギも取れないならば、それはそれで良いのじゃ」
つまり、どちらか取った方が大きく先へ行くことになるが、どちらも取れないのであれば、状況は変わらない。
ニニムに関しては後ほど考えよう。エルドゥーさんはニニムに関してはあまり関心がないようだし。
その後、時間まで色々聞いたが、一番印象的だったのは‥クナのこの質問。
「お爺ちゃんは竜だけど、今はドッペル?」
「もちろんじゃ。これは敵意がないと言うことを表す、交渉型の体じゃ」
「確か、元の姿から離れれば離れるほど、能力は落ちるんだよね?」
「その通りじゃ。ちょっとした違いでもかなり能力は落ちる。じゃが、どんな姿に変えても能力は元の100分の1。1%までしか落ちんのじゃ」
「へー。そうなんだ」
このやりとり、何が恐ろしいって、現在のエルドゥーさんは元の能力の1%以下に設定しているということだが、それでも一般的な傭兵より上の能力だということだ。つまり本来の能力はこの100倍以上。
具体的には、ステータスが最低50以上。高いところは100超えているので5000以上、高いところは万超えている。
正直、仮に戦っても戦いにならないくらいの能力差がある。…戦いにならなくて本当に良かった。
エルドゥーさんはおそらく、スキルこそ隠しているもののステータスは隠していない。これも一種の示威行為なのだろう。自身の能力を見せて相手の戦意を折る。僕にこの発想はない。それだけ自身の能力に自信があるということなのだが。
ダンジョンへ戻ったあと、ドラゴニュートの誕生条件を確認したところ、ダマスカスという鉱石を食べ続けたドラゴンとあった。
ドラゴンの中には鉱石を主食にする個体がたまにいる。銀ならシルバードラゴン、金ならゴールドドラゴンへと進化することも後ほど確認された。なぜ、鉱石を主食にする個体がいるのか?とかダマスカスでなぜドラゴニュートになるのか?とかは謎だが、そういうものだということにした。
ここで一番悩んだのが天使と悪魔系モンスターの配置だ。能力的には上層階に置くしかないのだが、生育環境で良い条件のところがなかった。
どうせ改装が必要ならば、エンシェントドラゴンのおかげで浮いたDPがあるのだから、ドラゴンと同じように別のダンジョンを新たに作って、育った個体だけを中層以下に移して数を増やすことにした。
問題はどこにダンジョンを作るか?だ。東西南はすでに別のダンジョンがある。これ以上はお互いに重複してしまい、新たに作る意味が薄い。では北部は?というと人間たちの勢力圏内のど真ん中になるので論外。しかも、塔や城のような建物型のダンジョンが好みらしく、そんなのを作ったら目立ちすぎる。
結局、ワールハイトの南西部、僕の領域の範囲内ギリギリに近く、サウザンビーク山脈近くの森の中、イナシイナミのダンジョンからワールハイトを守るような位置に作り、同時に監視の役目もしてもらうことにした。ダンジョンタイプは入り口は洞窟タイプだが、しばらく奥に行くと城のような建物がある。地下城を建設して高位になった悪魔と天使系の棲み処とした。
モンスター特殊進化条件:ある種のモンスターがある種の鉱石、原石を食べ続ける
比較的汎用性のある進化条件ですが、自力で気が付くのは結構厳しめです。
あと裏設定ですが、特殊進化条件で進化するモンスターは条件をみたした次の満月の日に進化します。
そのため、エルドゥーさんのドラゴニュートなどで名前持ちは皆、ルナ○○だったりします。後々出すかは不明。




