168.ワーウルフ
主人公の反撃です。
今回用意したワーウルフだが、そもそも、ワーウルフはこの世界では珍しいモンスターとされてはいるが、対処法は、身体能力は高いが、遠距離からの攻撃手段がないため、動きを止めて、魔法攻撃で簡単に倒せると思われている。
しかも群れるとはいえ、連携攻撃は全くできず、完全な個人で攻撃してくるため対処も容易というモンスターだ。
実際、魔法攻撃への耐性、MENの値は伸びにくい。そういうモンスターはシルフにとっては鴨と言って良い相手だ。
ワーウルフを見た向こうは楽勝と思ったのだろう。セオリー通り、ワーウルフの動きを止めにデーモンソルジャーが3体ほど前に出る。
デーモンソルジャーは解析ではデーモンの近接特化型らしい。魔法での攻撃よりは武器に魔法を纏わせての攻撃が得意で、デーモン族らしく、MENの値が高い。つまり魔法攻撃、状態異常攻撃に強いのが特徴らしい。
モンスターの格としてはデーモンソルジャーの方が上ではあるし、連携も上手い。倒すのではなく、動きを止めるのが目的なのだから、3体で十分だと思ったようだ。
だけどね‥
ザシュッ!!ドガッ!!ボコッ!!
動きを全く止めることなくデーモンソルジャーを倒すワーウルフ達。そこに慌ててシルフが魔法を使おうとするが‥
ワフッ!!
ワーウルフが小さく一鳴きしただけだが、シルフだけでなく、他のモンスターも魔法が使えなくなる。
「え??どゆこと??イオ説明してよ」
今回起こった現象はまず、ワーウルフがデーモンソルジャーに接近し、爪や牙で一撃。
元々オリンピック選手すら子供扱いする身体能力を持つワーウルフがさらに魔法による身体強化をするのだ。いくら格上とはいえ、デーモンソルジャーはワーウルフほどの身体能力は無い。
つまり圧倒的な基本ステータスの差でワーウルフが圧倒したにすぎない。さらにワーウルフは魔法攻撃が得意ではないと言うのが真実ではあるが、魔法そのもの、もっと言えば魔力の扱いが苦手というわけではない。
ごく短時間しか効果はないが、鳴き声1つで魔法無効化空間を作ることができる。効果時間は鳴き声が聞こえる間だけと一瞬だが、魔法のキャンセル効果もある。
ということをクナに説明する。
さらに一瞬とはいえ、ワーウルフ達にはそれで十分の時間であった。
その一瞬で相手の部隊に入り込み周囲を一撃。そして‥
ワオーーン!!!
今度は大声量での大きな鳴き声。
『ハウリングボイス』というワーウルフなら誰でも使える状態異常攻撃だ。
様々な効果を与えることができるが、今回は行動停止効果。これでシルフを含む耐性のない者は皆動きを止める。そこをワーウルフたちは蹂躙していく。
結果あっさりと敵部隊を壊滅させ、追加部隊も同様に屠っていくワーウルフたち。そして、それを見た敵部隊はどんどん、命令通りに無謀に突撃していき、部隊が全滅するまで続けられるのであった。
やはり、ワーウルフと言えば鳴き声、咆哮でしょう。




