165.二人の状況
今回は幕間のようなものです。
バトルが膠着状態になってからしばらく経つがまだ、相手は動きを見せない。
「‥暇だ」
「‥そうだね。向こうが仕掛けてくるまでこっちは何もできないし」
自分からは積極的に攻めに行くのであれば、片はつくが、それでは意味がないと考えているので、完全な待ちの一手にならざるを得なくなっている。
『転移』はできないが、憑依やコアを使った通信は可能。なので、あちこちの様子を見たり、トトークやゴバ君に任せていることの進捗状況などを確認していた。
ゴバ君には武具の製作。特に高レベル素材を使ったものの研究と作成をお願いしていた。
できた物の中で成功品は幹部たちの装備になり、試作品は僕のダンジョンでモンスターにあげて、性能など確認をしていた。
そのどれもが、人間側、特にユニオンなどに出回っている物よりはるかに良い装備であり、仮に同じ素材を使用しても作ることはできないだろう品だ。
これよりはるかに性能が落ちる武具でさえ、ユニオンなどにいる人にとっては高性能装備になるのだが、悪意がなく、ゴバ君が認めた人にはゴバ君がいる村で普通に販売していたりする。
今は村を訪れる人がほとんどいないこともあり、話にはなっていないが、これから交流する人が増えてくると、噂くらいにはなり、調査後、アホな奴が来て力ずくで奪おうとする。なんてことが起こると思っている。(確信)
もちろんそんなのにどうこうされるゴバ君ではないので返り討ちだが、そこをこっちでうまいこと引き受けて、利用できないかな?とか思っているわけで。…時間的に間に合うか微妙なところか。早いところもっとエルドたちが力をつけて大きくならないと間に合わなそうだ。
トトークはスキルを活かして植物由来の製品の研究開発をしてもらっている。
場所はワールハイト東の魔の森の南部中央部。僕のダンジョンの西側の入り口近く。そこはマスタートレントであるトトークが支配するフィールドダンジョンになっていた。
僕のダンジョン入り口近くにある大樹の中に入ると転移陣があり、そこを通るとトトークの研究所兼避難所に繋がっている。
普段はそこで研究をしているのだが、日光に当たりたい時があるらしく、そういう時は表のフィールドダンジョンで木に変態しつつ、日向ぼっこ?光合成?をしている。
最も、今の人間の戦闘能力ではフィールドダンジョンに入るどころか、その周囲でうろつくのが精いっぱいなのだが。
もう少ししたらエルドたちに紹介して、商会の資金源になってもらう予定である。対価が何が良いか考えないといけないのが大変だが。
僕のダンジョン内であれば何の問題もないので色々作ってもらって出しているが、まだまだ色々表には出せない物も多い。というか一番人前に出せないのがトトークの開発物だ。
現代の紙。しかもただの安いコピー用紙にしたって、こっちでは今まで見たこともないような超高級紙なのだから、うかつに出せるわけがない。
薬なども作りたい放題だし、食品なども物凄い物が生まれてしまう。神の晩餐と思われても不思議ない。…ちょっと本気出して売ったら、この世界なら世界経済など軽く握れるかもしれないと思っている。
すいません。話進んでいません。次回からきちんと進めます。一度入れてみたかっただけです。




