160.ダンジョン構造
調査のための部隊を送ってしばらくしたあと、続々と情報が入ってきた。入ってきた情報はクナにも渡すようにしている。
クナとはダンジョンコアの機能を使って顔が見える通話、つまりテレビ電話で話をしている状態だ。この世界では明らかなオーバーテクノロジーなのだが。…相変わらずダンジョンコアが有能すぎる。
「とりあえず、現段階で向こうのダンジョンで分かったことは30階以上あることと、空中戦を得意としているモンスターが多いこと、いまのところではあるが、2つのダンジョンの構造がほぼ一緒であることかな」
「そうね。構造の違いは地獄型か天国型かだけで、あとはほぼ一緒ね。ところどころ2つのダンジョンを繋ぐ通路があるのがウザいけど」
天国型というのは白い景色がずっと広がっていて、出てくるモンスターが天使や妖精系が中心のダンジョン。
悪魔型は内臓のような気持ちの悪い景色が広がっていて、出てくるモンスターは悪魔やオーガ系が中心のダンジョンで、罠や構造的な所はほぼ一緒であった。
「相手のダンジョンのことはもう少ししたらより詳細な情報が出てくるでしょう。それより、クナのダンジョンは大丈夫か?滅茶苦茶押されているように見えるのだが?」
「大丈夫でしょ。いざとなったらイオから借りたモンスターが仕事するでしょ?」
現在、クナのダンジョンは相手から、ゴブリン、オーク、ドラゴンキッズやらミニエンジェル、ピクシー、ウルフやスライムなど多種多様な、かつ大量のモンスターに襲われていた。まずは戦力になりにくいモンスターたちによる物量作戦といったところか。
1体1体は大したことがないとはいえ、圧倒的な数の暴力にさらされているクナのダンジョンはどんどん相手の侵入を許していた。
「確かに途中で止めるだろうが、入り口が1つしかないことで、そこに相手のモンスタ-が殺到している。これじゃクナのダンジョン攻略部隊への援軍は出せないだろ?」
「‥そうね。今度もう1つ入り口作っておくわ」
「南部の森の中に隠しておくのが良いんじゃない?たぶん人間には見つけることができないだろうから」
「そうするわ」
これだけの物量で攻められると罠が罠として機能しないし、バリケードなどを作れないと守るのも難しい。そもそもバリケードを作ったところで味方の損害など構わず接近してくる相手だ。
それでもダンジョン中盤に差し掛かる頃には大分数も減り、少しずつ対応できる数になってきた。防衛側の能力も上がり、何もできずに蹂躙されるといった事態は起きにくくなってきている。
だが、この相手を抜いて援軍を送ると言うことはできそうにない。『転移』も封じられているため、いきなり入り口近くまで援軍を送るといったことはできない。
「‥いくら隠密性を高めるためとはいえ、ダンジョン構造的な欠陥になっているな」
「そこは否定できない。何かいい案ある?」
「仕方ない。30階層の通路を開放しよう。そこから、僕のダンジョンの31階へ降り、転移トラップを使って1階まで行かせよう」
「それいいの!?」
「他に方法がないから仕方ない。どこかに繋がっているところがあると言うようなものだから、できれば使いたくなかった方法だけど」
こういうダンジョンの秘匿構造みたいなのは使わないに越したことはない。使えばバレるし、2度と使えない物もあるから。
次回は久しぶりにアイツを出します。




