159.転移トラップの使い方
今回少し横道に逸れてしまいましたが、後々の布石になります。
方針を決めたところで、情報収集のための編成をする。編成はゴブオウとの話し合いで決めることになっている。
「クナの部隊だけだと情報収集は厳しそうだよね?」
「ですな。こちらからも出さないと、精度的にも厳しいかと」
「戦力的に火口の入り口辺りも調査ができていないよね?」
「ですな。途中から抜けるのがやっとという感じでしたから」
クナの部隊の実力では火口付近の入り口からの調査がほとんどできていなかった。そもそも情報収集能力に差があるため、こちらで情報収集部隊を組んだ方が効率良く情報収集できる。
「じゃあ、火口付近の調査隊2つと、別個に調査隊を4部隊作って情報収集してしまおう」
「地上の入り口4箇所はいつものゴブリン部隊で良いかと思いますが、火口はどうしましょう?空飛べないと厳しいでしょうし」
「ワイバーンで良いんじゃない?少数のゴブリン部隊を乗せて、それとフェアリードラゴンの調査隊を送っておけば」
空中の機動力と言う点では天使と悪魔には及ばないかもしれないが、そこそこの戦闘能力はあるから、十分だと思うけど。
僕はそこそこと言っているが、ワイバーン1体で村くらいなら軽く地図から消せるくらいの能力だ。
話は逸れるが、この世界の人間がモンスターに勝つことは不可能だと思う。
個人の能力はモンスターには全く歯が立たず、スキルでも勝てない。装備や道具もモンスター側が上。
今まで接触してきているモンスターは最下級クラスのみであったため、なんとかなっているが、少し強くなると途端に大惨事になる。
個人の能力、スキル、道具や装備などの技術すべてで大きくモンスターに及ばない以上、人間側に勝ち目がないように思える。勇者とか例外はいるが、それとて、数がいるわけではない。生活の範囲を広くすることは不可能だと思う。
話を部隊編成に戻すが、おそらく火口側の入り口が向こうの部隊を送る出入り口になっているのではないかと思う。
空中戦ができるモンスターは今のところ、わかる範囲ではあるが、多くはない。
火口側の入り口は空中戦がある程度できないと攻略が厳しい。詳細な調査などもっと厳しい。
僕のダンジョンの場合、31階層から下のフロアボスの部屋の隣の部屋から転移トラップを使って、30階層上の階層まで転移が可能になっている。
この転移はトラップなので、下から上への1方向だけである。
このような転移トラップを作った理由は攻略部隊の帰還用。探索者がフロアボスを倒した特典の1つとして。遊び心だと思ってもらいたい。
こちら側のメリットとしては、ダンジョンバトルの時、下の方に居るモンスターを即座に送るため。編成したモンスター部隊を相手に送るも良し。侵入した部隊に挟み撃ちを仕掛けるも良しで、転移先は各階層にある隠し部屋になっているため、いきなり攻撃を食らうということもほぼないはずだ。隠し部屋には何もないため、わざわざ部隊を置いておく必要はないはずだしね。
モンスター側としては傷ついたり、生存競争に耐えられなくなったモンスターが再起を期して使用することもある。
この場合はフロアボス、またはダンジョンマスター代行などのダンジョン管理者の許可が必要になるが。こちらとしては貴重な種族をなくさないようにするための緊急避難措置のようなものと思っている。
僕の見立てではこの火口の入り口側にそういう転移先となる場所があるのではないかと思っている。なければないで良いが、僕であれば、こういうところに転移先を設定する。
侵入しにくく、かつ出入り口に近いのであれば、転移先としての条件を十分に満たす。
ほどなく、送り込んだワイバーン調査隊から、何もない隠し部屋の存在が報告された。
すぐにフレイムドラゴンを送り、駐留させ、警戒させつつ調査隊の待機場所にした。これで部隊は送れないだろう。送ってもフレイムドラゴンの餌食だし。
これで相手からの奇襲を防ぐことになりました。こういうのの積み重ねが後々効いてくるんですよね。
ゲームをしていると特にそう思います。




