158.今回のバトルの方針
ここは僕のダンジョンの最下層にある司令室。ここで僕はゴブオウ、ガキン、ミヒャエルのマスター代行の3人と会議をしていた。議題はもちろん今回のダンジョンバトルについて。
「今回の相手、予想通りクナ様を集中攻撃するつもりのようですな」
「うむ。2人がかりでクナ様1人を確実に倒すつもりのようだ」
「まあ、タッグマッチであのルールなら、そうするでしょう」
ゴブオウ、ガキン、ミヒャエルの感想だが、卑怯と非難するというよりか、ルール上当然といったところか。
確かに、相手が片方は格上、もう片方は同格もしくは格下で組まれて、どちらか倒せば勝ちなら、だれでも思いつくことだ。
「マスターよ、クナ様にウチのモンスターを数体貸し与えて、後はこのまま様子見。と言うわけではありますまい?」
「まあね。海王との同時バトルなら、そうするしかなかったけど、幸い、こっちに集中できる状況だからね。だが、こっちが攻めを全面的に受け持ってしまうのも、今後のクナのことを考えると良くないと思っているから、どのくらい手を出すかが難しいんだ」
「僭越ながら、このガキンから提案がございます」
「へ~。どんな?」
「今回クナ様には純粋に戦力として高い戦闘能力を持ったモンスターを貸し与えています。それを生かすも殺すもクナ様次第ではありますが、簡単に殺されてしまっては良くない。ならば、マスターは殺さないようアドバイスをするのが良いかと」
「つまり、本格的な攻略はせず、情報収集に徹すると?」
「そうです。いくら2対1とはいえ、本来、今回貸し与えたモンスターであれば、そのようなもの戦力差とすらならないほどの能力があります。マスター自らの手で決着をつけるつもりがない以上、このくらいがちょうど良いかと」
「うん。その案、採用!」
ガキンの言う通り、今回は僕が直接相手を倒す、もしくはそれに近いダメージを与えて、あとはとどめを刺すだけなんて状況にはするつもりがないので、情報収集しておいて、危なくなりそうならアドバイスを送るくらいが面倒もなさそうでちょうど良いのかも。
ある程度長引くだろうけど、学校の方はホムンクルスの自動モードに任せておけば大体はなんとかなるし。
「ミヒャエル。確か、今回のバトルのルールだと、ダンジョンマスターも戦力としてカウントされるから、罠以外での転移は不可なんだよね?『憑依』は使えるけど」
「そうですよ。マスターがただの観戦者としての扱いなら問題なく転移も使えるのですが」
「ってことは、しばらくはクナに直接会うのは不可能か。コアごしでの通話だけになるから、忙しいときはうまくこちらの意図が伝わらないことも考えられるな」
「そこはご心配なく。クナ様直接が難しくとも、側近として私の配下を忍ばせておりますので、そちらを経由すれば問題はないかと」
「あ、そうなんだ。助かるよ」
よし、これで、僕は情報収集さえしておけば、致命的なことになる前に連絡はつく。
僕のダンジョンに入ってきた部隊はデーモンという悪魔族の中の小隊長クラスのモンスターを頂点とした、悪魔と天使系モンスターとゴブリン族やオーク族の混成部隊で、完全な諜報型の部隊しか入ってきていなかった。
いくら上層階が比較的弱いモンスターしかいないとはいえ、この程度のモンスターたちに突破されるわけはなく、徐々に剥がすように部隊を縮小させていき、ある程度規模が小さくなったら、そこそこの強さのモンスターで蹴散らした。
これで僕はこのバトル終了後、最下級とはいえ天使と悪魔型のモンスターが召喚可能となる。この時点で僕の望みはほぼ達成されてしまったので、あとはクナのサポートにまわるだけだ。
次回から本格的なバトルの内容となります。




