150.海王との話し合い
今回の話は色々うるさいです。
皆さんは“海王”と聞いたらどのような生物を想像するのでしょうか?
クジラ?魚?イルカやイカ、タコなどでしょうか。僕はカエルのようなタイプを想像していました。
実物はトド。
それもどことなくおっさん臭のする。
「ワシはニニムと名乗っておる、ドドマンと呼ばれるモンスター型のダンジョンマスターじゃ」
ベシンベシンッ
そういって尾びれを地面に叩きつけながら自己紹介する海王ニニム。
見た目は大きなトド。それも縦だけでなく横にも大きいので丸く見える。上半身は筋肉質にも見えるが、お腹はしっかり三段腹。
胸ビレを手のように器用に使い、どこから出したのかわからないが、何かをつまみながら、寝そべっている。完全に休みの日に家でゴロゴロしているお父さんといった感じだ。
こちらも自己紹介をし、本題へ入る。
「ほう。お前はイオと言うのか。お前じゃろ?ギガゴブリンの主は?ギガモンスターは野生では生きられんし、そもそも生まれないからな」
「そうですけど。もしかして英雄のことで怒っているのですか?」
「まあ、そんな者の生き死にはどうでもいいんじゃ。どうせいつか死ぬし。それよりおぬしのところの領域で死におったのが許せんのよ。せっかくのDPがわしのところに来なくなった」
ベシッ!
あ~。そっち?
てっきり、目をかけて育てた英雄を殺されたのと、庇護下にある街の衰退の原因はお前だ!的なことを言われると思っていたが、死亡DPのことか。
DP獲得の条件で対象が死亡した場合、MPだけではなく、HP、LVに応じたポイントが入る。それが英雄や勇者であった場合、さらにボーナスが入る。それを勝手に死亡DPと呼んでいるのだが、どうやらニニムは対象を増やすことによる継続的な収入より対象を殺すことで比較的大量に得られる収入を重視しているようだ。
まあ、街道を通る人を襲わせていたようだから、間違いではない推測だろう。
だが、その場合、ダンジョンマスターとしての方針の違いから、やはり争いは避けられそうにない。
「では、その手に入るはずだったDPをくれと?」
「くれるならもらうが、そうはいくまい?それに今となっては大した量のDPではないからの。こだわりはなくなったよ」
「あれ?ではどうしたいと?」
「何。より収入が大きい方が良いだけじゃよ」
ベシンッ!
あ~。この流れは僕を倒して『マスター支配』で配下に置きたいという流れかな?確かにそれができれば間違いなく大きなDP収入になるね。…そう簡単にやられるわけにはいかないが。
というか、いちいち尾びれで叩くな。うるさいなぁ。
生物殺害によるDP獲得を主な手段とするダンジョンマスターとして出したのが海王なのですが、キャラの関係で怖い感じが全くしない。というかむしろ面白いやつになってしまいました。反省。




