137.拷問?その必要はありません
タイトルに悩む。
襲撃者たちを何もさせずに捕縛完了した後、少ししたら、エルドが入ってきた。同じく襲撃者なのだろう3人ほどを引きずって。
「おーい、イオ。こんなの出て来たぞ」
そういって襲撃者であろう3人をこの部屋にいる襲撃者のところに放る。
「あ、ミヒャエルさん。お久しぶりです」
「エルド君、久しぶり。君の方も全く問題なかったようで何より」
「この程度なら。他の連中も捕まえようかと思っていたのですが、もう捕まえてしまっているとは。流石ですね」
「まあ、監視してたやつは逃したけどね。巣穴に戻るのだろうとは思うけど」
エルドには以前ミヒャエルを紹介したことがあるので、覚えていたようだ。
「その巣穴はミヒャエルに調べてもらっていたところかな?」
「その可能性が高いですね」
「‥ということはユニオンか?」
「おそらく」
ワールハイトの学校にユニオンからのスパイが教師をしていることがわかっている上、表向きは傭兵団や商会だが、実はユニオンからのスパイであったり、その補助をする組織であったりする。学校の試験結果は筒抜けのため、有望株を勧誘もしくはユニオンの敵になる前に刈ろうということなのだろう。
「まず、それを確認してみましょうか?」
そう言ってミヒャエルは襲撃者の頭と思われる人物を縛りつつ、話ができるようにする。
「起きろ、話は出来るはずだ」
「‥フン、何を聞かれてもお前たちに話すことはない」
「体に聞けば、すぐに答えてくれそうですね」
「拷問か?無駄だ。我らはそのようなことで話をするようにできていない。試してみればわかる」
そう襲撃者は強がるのだが、確かに拷問への訓練をしている暗殺者はいる。そう簡単に話をするとは思えないし、時間もあまりない。時間をかければ逃げられる可能性があるわけで。こういう時は『魅了』という闇魔法が便利だが、闇魔法LV5で、今の状態の僕では使えない。
だが、そんな魔法を使う必要は全くないのだ。
様子を見ていたエルドが襲撃者の肩を触りつつ
「あなたのお仲間、拠点はどこですか?」
「そんなこと答えるわけがないだろ?」
「ああ、ブフラルからですか。ということはユニオンからですね。ふんふん。この街にいるファエズ傭兵団からで、団長がワールハイトにいるスパイたちの総元締めのようですね」
「!!‥‥でたらめを!!」
襲撃者は否定しているけど、無駄だよ。エルドは相手の記憶を見れる。消費が大きいのだが、対象に触れていると消費が軽減される。エルドの質問そのものがブラフだ。ご愁傷様。
ついでにここ以外には暗殺者は送っていなかったこともわかった。
「エルドがいてくれてよかったよ。ほんと便利だよね。その能力」
「結構疲れるんだけどね。時間ないときは仕方ないさ」
「じゃ、約束どおり、こいつらはミヒャエルにあげるよ」
「ありがとうございます」
「じゃあ、エルド行ってくるよ。留守番任せた」
「了解。行ってきな」
エルドの『天照』の能力の1つ。記憶の読み取りですね。こういうことにも使えます。というか、こっちが本来の使用目的だったりします。




