124.トトークの能力
いつもありがとうございます。
話し合いの終了後、自分のダンジョンに戻ったトトークは予定通りワールハイト北西のオリベイル湖付近の森へと転移した。そこで僕と落ち合い、さらに転移する予定だ。
僕は気配でトトークがどこにいるのかわかるので、近づいて話しかけることにした。
「きちんと来たね」
「ええ、それはもう。しかし、最低限しか持ってこれなかったですけど、コアもないし、良いんですか?」
「それで良いよ。さあ、向こうが気が付くまでに所定の場所まで連れていくよ」
そう言って転移してきた場所は
「森の中ですか?ここは?」
「ワールハイト東にある魔の森と呼ばれている森の南部だ。少し北に僕のダンジョンの入り口の1つがある」
「ここに僕の新たなダンジョンを作れということですね?」
「そうだね。それと色々作ってもらいたいものがあるから、それもお願い。ということで、はい。これダンジョンコア。早速自分のダンジョン作って」
予定通りトトークにダンジョンコアを渡す。これで、仮にニゴ帝国にあるトトークのダンジョンコアを壊されても、トトークが死ぬことはない。それどころか、現在トトークのダンジョン領域は僕の領域としても機能している。これでニゴ帝国の情報も入ってくるようになった。
ちょっと調べてみたが、勇者たちがどこにいるのかわからなかった。ニゴ帝国内の領域外にいるのかもしれない。トトークの領域はそんなに広くなくてニゴ帝国すべてを領域内に治めているわけではない。こっちはじっくり探していこう。
トトークに任せたいこととは薬品製作。固有能力『植物製品化』を持つトトークは記憶にある植物由来の品を作ることができる。例えそれの正確な製作方法がわからなくても、材料さえあれば作製可能という能力だ。
嬉しい誤算というか、最初は薬品製作に力を発揮するだけだと思っていた能力だが、思っていた以上に幅広く、チートに近い能力だということが色々試して分かった。
例えば、回復薬、この世界ではまず見れない効果のある回復薬の作製、強力な毒薬、化学兵器クラスのヤバいやつまで作成可能なだけではなく、植物由来の物であればなんでも作れるらしく、紙も簡単に作り出した。
この世界では紙は羊皮紙が最高級とされており、非常に高価ではあるが、品質は現代の地球の物と比べるべくもない。紙自体高級品で木だったり、石だったりに記録するのが当たり前である。そんな中、設備なしにいきなり上質紙を作成可能になる。もし売ればどれだけの売上が出るか予想がつかない。
さらに食事に関して、発酵調味料が作成可能。そしてお酒も。香辛料なども作成可能。このどれかだけでも大金が入ってくることは間違いない。
ニゴ帝国はこのことに気が付いていなかった。おそらく能力の効果がわからず、使えない能力として扱われていたのだろう。確かに知らなければ作れない。だから考えられなかったのだろう。今以上に効果のある薬品、紙など工業製品といった物を。だが、トトークに限らず、ダンジョンマスターは前世の記憶がある。トトークの場合はどうも僕の時代と同じくらいの時代の日本からの転生者らしい。当然今ある物がどのくらいの文明レベルの物なのかは理解している。
トトークは一部とはいえ、この世界の文明レベルのはるか先にある技術や文明を再現可能にする力を持っているということになる。
もっとも、トトークはトレント。まんま大樹の幹に顔がある。どう見ても人と仲良くできる見た目ではない。人相手の商売が非常にしにくいという欠点があるので、個人では能力を活かすことが難しいのだが。
おそらくトトークの能力は作者が思っている以上にチート能力だと思います。色々考えたら相当便利な能力だろうと。植物由来の品ってどれだけあるのか想像つかないですし。




