120.ダンジョンバトル3日目 ②
そろそろこっちは決着付きそう。
向こうはハイエルフ、ハイドワーフ、サイクロプスの混成部隊を加え、進行速度が一気に上がった。2日で6階までだったのが、半日で10階まで来た。ウチのダンジョンの西側10階層にはエリアボスとして黒い巨大蜘蛛、ブラックスパイダーを3体配置している。
ブラックスパイダーは進化するとナイトスパイダーになるが能力的には決して低くはない。糸で動きを抑えて仕留めるスタイルだが、体も固く、剣などが通りにくい。
しかし、それもあっさりとやられてしまった。
サイクロプスはなんとかなった。糸で動きを封じ、殴られても多少のダメージは負ったが致命傷にはならなかった。しかし、ハイエルフはどうにもできなかった。遠距離からの魔法攻撃には対応できず、あっさりやられてしまったのだ。
そのまま11階以降も進むが、雑魚のLVが上がり進行速度は鈍る。ハイエルフ、ハイドワーフ、サイクロプス以外がついて行けず、全滅。サイクロプスもブラックスパイダーで数が減り、前衛の盾役が減ったことで後衛のハイエルフたちも多少傷を負う場面が出て来た。この分だと20階層到達で潰れると思われた。
一方、ウチのドラゴン部隊は13階層以降、フレイムドラゴンの上位龍、レッドドラゴンが次の階層までの道にとりあえずブレスを吐く。するときれいに草木が燃え尽きて道ができる。そこを下位の属性竜たちが進み、罠などは周囲のゴブリン部隊が解除。フェアリードラゴンが周囲の警戒と探索に当たることで、ほぼ無傷で進む。
食料に関しては送ることができる上に、植物系ダンジョンのため困ることはない。しかもドラゴンたちは“悪食”。それも“悪食”として有名なゴブリン以上に。基本的には何でも食べる。上位になると周囲の魔力だけでも良いみたいだが、下位の竜はそういうわけにもいかず、肉、野菜はもちろん、ただの草や木、植物系の魔物などもお構いなしで食べる。さらには土や鉄、銀などの鉱物類ですら食べる。一体彼らの胃袋はどうなっているのか?
道中、適度に食事をしながら進むドラゴン部隊は15階層のエリアボスのところへ到達。
ボスは火炎草という動くことはできないが人の頭ほどの大きさの花から放射状に火を噴く草であった。それが3体。その周囲に魔力を帯びた雑草、マジックグラスが多数。このマジックグラスは道中にもかなりの数がいたのだが、すべて焼き払ってきた。旺盛な繁殖能力と打たれ強さが特徴で攻撃力はないが、盾としては優秀。なにせある程度の数になると減らしたそばから増えていくから。無限ループに嵌る間に火炎草が焼き尽くすという戦術ではないかと思われる。
だが、ウチのドラゴン部隊には意味がなかった。レッドドラゴンのブレスで焼き尽くされ、アクアドラゴンの上位龍ブルードラゴンのブレスで凍らされてあっさり全滅するマジックグラス。火炎草の炎は竜たちにすら全く効かず、火炎草はそのまま花ごと竜たちの胃袋へ収まった。
余談だが、マジックグラスはウチのダンジョンに導入後モンスターたちの食料自給率の上昇に非常に良く貢献してもらい、マジックグラスから抽出する薬液が上級ポーションの原料になることからも非常にありがたいモンスターであった。
トトークの部隊が10階層へ到達したころ、ウチの部隊は18階層まで到達していた。18階層にもエリアボスがいて、動く巨大花マンイーターにお供として先ほどの火炎草、動ける大樹トレントの混成部隊がいた。
マンイーターはバラのような棘のついた茎を振り回し、触れる物を切り裂き、根での自立移動が可能という肉食花で、数体で村が滅ぼされた記録もある。危険度が高めのモンスターとされている。
しかし、ウチのドラゴン部隊には関係なく、レッドドラゴンのブレスで焼かれてしまう。トレントは火に耐性があり、焼け残ったが、ブルードラゴンのブレスで凍らされる。その凍って身動きが取れなくなったトレントの枝葉を爪で裂き、竜たちが丸かじりする。竜たちにとっては少し歯ごたえがあるおやつ程度であった。
19階層もドラゴンたちのブレスで薙ぎ払いあっさりと20階層へ。これで最終階層到達となった。
20階層は広大なホールとなっており、ずっと先に扉があり、そこからダンジョンコアのある部屋へとつながっている。罠などもないことからこの時点でゴブリンたちやフェアリードラゴンはお役御免。コアの探索とダンジョンマスターであるトトークの探索をしてもらう。
だがトトークは配下を連れてドラゴン部隊の目の前に現れた。
トトーク編終わったら、学園編にもどります。もうしばらくお付き合いください。