109.オーク戦
色々諸事情があり投稿遅れました。すいません。
ワールハイトへ出発した僕ら。ここからは魔の森に沿って南下。道中の村で商売を手伝いながら移動の予定となっている。魔の森東側はゴブリンがメインだったが、西側はオークがメインとなる。人型の豚であるオークは、ゴブリンより強く、生命力と体力に優れているため長期戦になりやすく、長期戦はこちらに不利となる。オーク一体倒すのに熟練の傭兵団で当たることもあるくらいではあるが、僕らにとっては今までの鍛錬の成果を確認するという意味でも、そして収入的にも良い相手に思える。
オークは1体2~3mほどもある。解体すれば豚肉が獲れる。骨は豚骨として、内臓は基本的には廃棄となるが、睾丸は子供ができない夫婦に高く売れる。さらに魔石もある。1体当たりの総額で金貨数枚にはなるので、1~2か月の生活費分になる。うまいことはぐれのオークとかいないだろうか?今の皆なら問題なく狩れると思うんだよね。
しばらく移動してそろそろ次の村に着こうかという時、ついに発見した。オークが1体。周りに隠れている様子もない。はぐれオークで間違いない。ノフスも見つけたようだ。
「あそこにオークだと思う。1体いるよ。他に姿は見えない」
「初だな。狩るぞ。いいだろ?エルド」
「ああ、だが、全員で当たるぞ。今の僕らでは油断できる相手じゃないからな」
早速のやる気満々のライド。エルドの言う通り、まだ1対1では勝てないだろう相手だ。
道中の護衛用の武器としてもらった、ベルグさん手製の武器を各々装備した。オークもこちらを獲物としたのか、今にも襲い掛かろうとしている。オークが持っているのはただの棒きれだが、その膂力で当たれば無事では済まないだろう。力比べはこちらが圧倒的に不利。その辺りを考慮しながらの立ち回りが求められる。
ぼくらはいつものフォーメーション。ライドとエルドが挟みつつ距離を詰める。僕はその2人のサポート。後衛にノフスの弓、ルルの攻撃魔法。今回オークとライド、エルドの距離が近いため、ルルの先制攻撃はなしだ。ライドとエルドを巻き込む可能性がある。
ライドとエルドがうまくオークを牽制し、後衛にターゲットがいかないように動きつつ、隙を探しながら切りつける。しかし、厚い脂肪に阻まれ致命傷にはならない。だが、1つ1つの傷は小さくても多くなると動きが落ちる。
僕は基本的に手出ししない。だが、致命傷になりかねない攻撃が来るタイミングで妨害する。あとは後ろからの射線を塞がないように動くことか。
ライドとエルドが少し離れた瞬間、ノフスが弓で狙う。これは避けられたが、体勢は崩した。その瞬間、ライドとエルドが切りつける。たまらずオークはこちらと距離を取る。オークは巨体だがスピードはそこそこある。普通の人間相手なら対応するのが厳しいくらい。
一旦距離を取ったオークは苛立たしい様子を見せてこちらへ突っ込んできた。力技で来たが、これはチャンスだ。
「ファイアアロー」
「ブモー!?」
ルルのファイアアローが良いタイミングで決まる。
ルルは『略詠唱』ができない。だが、詠唱さえしておけば、1つなら魔法の発動待機状態にできる。味方を巻き込まないタイミングを見計らって発動する最高の攻撃だ。いくら厚い脂肪と高い体力があると言っても、これは効く。
通常ならこれで決まってもおかしくないのだが、さすがに体力、生命力の定評のあるオーク。まだまだこちらへの攻撃が落ちない。しかし、速さはかなり落ちた。エルドがその隙をついて切りつける。しかし、カウンター狙いだったのかオークは薄っすら切りつけられたが、反撃がエルドへの直撃コースだ。僕はピンポイントでオークの肩を狙い打つ。その反動でエルドへの攻撃コースが逸れる。そこをノフスがキッチリ狙い、今度は当たる。
オークは今までの冷静さを無くしたのか近くにいたエルドへ大振りするが、それに当たるエルドではない。きっちり避けて、大きな隙ができたオークにライドは渾身の一撃で切りかかる。
オークはライドの攻撃を避けきれず、まともに攻撃が入る。これが致命傷となり、動きが止まる。エルドがきっちりとどめを刺し、初のオーク戦が終わる。
オークはダンジョンバトルでは雑魚なのだが、人間相手だとこれくらいの脅威になるという認識の違いが僕にあった。
今回の戦いは僕含めて、皆の良い経験になった。次は大丈夫だと思うが、このままでは誰かを失うこともありえる。また鍛錬しなくては。
安全マージンを高めに取ることで今まで苦戦はなかった主人公ですが、今回大苦戦となりました。オークは雑魚ですが、人間相手には脅威です。ただ、まだ彼らは子供ですので。これから成長すれば変わるでしょう。
次回から学園編本格的にスタートの予定です。




