103.天使と悪魔
タイトルそのまんまですね。
天使と悪魔
ダンジョン南のサウザンビーク山脈、その山頂付近に飛んでいるのをクナがみたらしい。外見の特徴を聞いたが、
「天使が白い羽毛の2対の羽を持つ、白い服を着たきれいな女性。悪魔は漆黒の2対の厚みのある羽に2本のねじくれた角を持つ醜悪な顔が見えた」
ということで、おそらく天使と悪魔と聞いて大半の人が思い浮かべるであろう姿をしているらしい。エルフの里の中心にある世界樹。今はまだ苗もしくは若木といったところだが、それでも高さは相当で、下を見るのが非常に怖い高さである。そんなところまで登った族長の家の展望台。そこから例の天使と悪魔たちが見えたということで、来てみたが‥
「見えないか」
「見えないね」
見えなかった。
「私、嘘言ってないですからね!?そんなベタな生物、いくらファンタジーっぽい世界だからといっても、いるわけないでしょ?みたいな目で見ないでよ!?」
「いや、そうは言ってないし、思っていないから。悪魔型、天使型のダンジョンマスターがいるって聞いたことあるし、それがこの山にいても不思議ではないから」
前に聞いたことがある。ダンジョンマスターの番号の末尾に3が付けば悪魔型、4なら天使型か有翼型と。そういえば、一番最初に魔神様に会ったとき、横にいたと思うのだが。まあ、僕もうろ覚えだから覚えていなくても仕方ないのかもしれないが。
「え!?ダンジョンマスターでいるの!?」
いるよ!?やっぱり覚えていなかった。
ここでどこかに行っていたミヒャエルが合流。
「山頂に天使と悪魔ですか!?」
あ、なんか嬉しそう。
「マスター。捕まえて研究したいんで、何とかなりませんかね?うちにはいない種ですから。捕まえたら、まずは刺して皮の強度を測って‥。魔法への耐性も調べないといけないですから‥くふふっ」
相変わらずのマッドサイエンティストぶりを発揮して、妄想の世界へ旅立っていったので、こちらの世界に戻ってきてもらわないと。クナはひいてるし。
「ミヒャエル。天使と悪魔は今は見えないからどうにもできない。ただ、ダンジョンマスターの領域があるのは見えるか?」
「え!?ダンジョンマスターいるの?」
あれ?クナが反応した。ミヒャエルは『魔力眼』という魔眼持ちなので、領域が見えるはずなのだが、クナは持っていないため見えない。より上位のマスターエルフのくせに。ミヒャエルはこちらの世界に戻ってきた。
「あ~。本当ですね。領域ですねぇ。ただ、随分小さい領域ですね」
「だが、だるまのように2つの領域が繋がっている珍しい形をしている」
「そうなんだ。マスターがいるってことは、こっちに来たらバトルになるかな?そうなったらイオがやってね」
「そうなったらね。でも現時点領域は小さくて、あっても半径十kmってところだから、こっちの領域を拡大しないとぶつからないね」
「あの領域の大きさからしてマスターが何か対処しなくてはいけないような事態ではないですね」
ミヒャエルの言う通り、向こうが領域を広げても100kmの壁で止まるだろうと思われる。なので、こちらへとぶつかるまであと数年はかかると思われる。
「クナ、こっちは特に何もできないから、このまま様子見で。いつものように何かあったら僕まで連絡がくるようにしておくから」
そういってエルフの里を後にして、また僕は孤児院へ。これから、あいつら鍛えないといけないからね。
今回はダンジョンバトルなしとなりました。次回から章が変わります。




